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【Power of Fashion 連載企画 DEAR ME 編 最終章】 みんなで共に創りたい未来がある。 NPO法人DEAR MEの目指す世界とは?

「Draw Your Dream on The Runway」をテーマに、2015年からフィリピンで子どもたちのためにファッションショーを行ってきたNPO法人DEAR ME。「貧困という過酷な環境下で暮らしている子どもたちに、夢や希望を持ってもらいたい」という熱い想いから立ち上がった団体の活動を「Power of Fashion」の連載企画にてお伝えしています。5回に渡って綴ってきたストーリーも今回が最終章。ファッション業界の裏を知り私たちが感じてきたこと想いや、これからパワーアップしていくDEAR MEの活動と、新たなプロジェクトについて発表があります。

ファッションと向き合うことで知った悲しい現実

写真1 (出典True cost HP)

出典元:「ザ・トゥルーコスト〜ファストファッションの真の代償〜」の公式ホームページより

私たちDEAR MEは、今まで大好きなファッションの力を信じ、ファッションの力で自信を持ち、胸を張って生きる人々を増やしたい想いで活動してきました。しかし、ファッションと向き合っていくにつれ、ファッション業界が及ぼすマイナスな側面を知ることになりました。その大きなきっかけとなったのが「ザ・トゥルーコスト〜ファストファッションの真の代償〜」という映画です。安価なファストファッションの裏側に隠された地球環境の破壊現場や、途上国での劣悪な労働環境を語ったドキュメンタリーです。

ファッションが生産過程で与える地球環境への影響。生産背景での生産者の人権問題。私たちは大好きなファッションが、実は地球を破壊し、人を傷つけている側面もあるということに衝撃を受けました。そして、今まで慣れ親しんできたファストファッションの大量生産・大量消費のカルチャーに対して疑問符が浮かぶように。「大好きなファッションは人々を傷つけるものではなく、人々を幸せにするものであって欲しい.....。」「フィリピンでファッションショーを開催するだけでなく、何かできることがあるのでは.....。」そう考えた私たちは、日本でも本格的に活動を始動することにしました。


企業と消費者の二人三脚で初めて実現できる、サステナブルな社会

写真2

写真:Timeless Worthプロジェクトの一環 工場見学の様子(株式会社ツバメタオル様)

ファッション業界の裏にある事実として、途上国での低賃金労働や劣悪な労働環境、生産工程での温暖化ガス排出や土壌汚染、海洋汚染などさまざまな問題があります。では、こうしたアパレル産業の地球環境汚染や人権問題は企業だけの責任なのでしょうか。“買い物は投票”といわれるように、その企業を選び、商品を購入しているのは紛れもなく私たち消費者。

そこでDEAR MEは消費者も共に考えていく必要性があると感じ、2020年4月より私たちは新たに、企業と消費者が持続可能な社会を共創する、Timeless Worth(タイムレスワース)プロジェクトを始動しました。Timeless Worthプロジェクトでは、企業と消費者が生産背景を共に学び、知るために工場見学を行ったり、オンラインイベントを開催したりしています。この“企業と消費者の共創”はアパレル業界に限らず、持続可能な社会を目指す全ての業界に通ずる大きなテーマだと考えています。

「企業は知ってもらう開示を、消費者は知る努力を。」

企業と消費者が共に持続可能な社会を築いてくためには、互いに寄り添いあい、理解していくことを前提にTimeless Worthプロジェクトを進めていきます。


誰もが描いた夢に向かって努力できる環境をーcoxco Lab(ココラボ)での挑戦

写真3.1

写真:フィリピンで開校予定のcoxco Lab(ココラボ)の候補生たち

もう一つ、私たちが活動を続ける中で浮き彫りになった課題があります。2015年からフィリピンで「ランウェイの上で夢を描く」をテーマに行ってきたDEAR MEファッションショー。しかし、フィリピンの貧困地区で暮らす子どもたちには、どんなに夢を描いても努力できる環境が用意されていないことに気付かされました。

彼らの親は、ゴミ拾いで生計を立てるスカベンジャー*や路上での物売り、トライシクル*やバイクタクシーの運転手など、その日暮らしの仕事をしている人が大半です。また新型コロナウィルスによるロックダウン施策で、彼らの仕事は真っ先に影響を受け、仕事を失った人々が多くいます。さらなる貧困状況に陥った子どもたちは、物売りを手伝ったり、学校をドロップアウトしたりしてしまう可能性が高くなっていってます。

彼らの限られた未来の選択肢の中に、新たな選択肢を見出したい。夢に向かって努力できる環境を創りたい。そんな想いからスタートしたのがファッションスクール coxco Lab(ココラボ)の構想です。


自分自身と社会にときめきを感じることのできるラボラトリーへ

写真4のコピー2

写真:coxco Lab(ココラボ)では「自分の心と体を大切にし、自分のための選択ができる」社会創りを目指します!

当初は2020年夏の開校を予定しておりましたが、新型コロナウィルスの影響で延期に。しかし、こんな状況だからこそ、改めてcoxco Labの存在意義を見直すことができました。当初はファッションや美容のスキルを習得し、雇用創出に繋げることを目指していたcoxco Lab。もちろんその要素は継続しつつ、もう1つcoxco Labの柱となる「自分の心と体を大切にする」という性教育の活動を始めます。

実は、若年妊娠率がとても高いフィリピン。人口と開発に関するフィリピンの委員会 Popcomの調査によると、毎週10歳〜14歳の妊娠が40件〜50件ほど報告されています。若年妊娠自体が悪いわけではありませんが、望まない妊娠による育児放棄からストリートチルドレンを生んだり、物乞いなどの児童労働から貧困のサイクルを生み出す可能性も高くなります。

そこでcoxco Labでは、「自分の心と体を大切にし、自分のための選択ができる」社会創りを目指すために性教育にも力を入れていきます。


一個人や一団体では解決できない社会課題も、みんなとだから解決できる

写真5

写真:ファッションの力でより良い社会を創るために。

貧困問題や地球環境問題の解決。そう言うと、すごく壮大で到底実現しないように感じませんか。そうなのです。私たちが挑戦し目指す社会は、一個人や一団体で実現できるものではありません。ですが、みんなで共創すれば、実現できると信じています。

あなたやあなたの子ども、孫が10年後、20年後、30年後、生きる世界はどんな世界になっていて欲しいですか。もし今、社会に対するもやもやがあるのなら、おかしいと感じることがあるのなら、実現したい未来があるのなら、一緒なら解決できるかもしれません。一緒なら実現できるかもしれません。

私たちは、大好きなファッションの力で誰もが輝き、平等に夢を描き、努力できる世界を創っていきたいと思っています。これからもファッションの力を信じ続ける皆さんと一緒に、より良い社会を創るため。私たちDEAR MEの挑戦は続きます。


*スカベンジャー:ゴミを拾い、ゴミからプラスチックや廃材などを売り、生計を立てる人々

*トライシクル:バイクの横に荷台がついた乗り物。フィリピンでの移動手段の一つ。

Instagram
DEAR ME :https://www.instagram.com/dearme_fashion/
coxco Lab :https://www.instagram.com/coxco_lab_official/

TEXT & PHOTO : MOE
EDIT: HIROCO, ASUKA, MARIE

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