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平屋への回帰

私が一番悔やんでいるのは、家を二階建てにしてしまったことだ。
もし、阪神大震災の後に建てていたら、きっと平屋にしただろう。
あえて田舎で土地を買ったので、敷地面積は100坪もある。
平屋は確かにコストは高くなるかもしれないが、歳をとった時のバリアフリーに適しているし、何よりも地震への不安が減る。
このところ、近所で建てる家は、田舎で土地が広いせいもあって、ほとんどが屋根裏付きの平屋である。

そもそも、二階建ての家に皆が住みだしたのは、高度経済成長期くらいからである。
私は中学生まで、平屋に住んでいて、二階のある友達の家がうらやましかった。
本家は最初平屋だったが、二階建てに立て替えた後に、山崩れで全壊し、再び中二階付きの平屋を別の場所に建て直した。
おそらく山崩れの恐ろしさからそうしたのだろうが、それを知っておくべきだった。
ただ、二階建ての利点もあって、川の洪水には二階建ての方が強い。
ということは、洪水の危険の無いところで、平屋に住むのが一番なのだ。
そこで思い当たるのが、台地に築かれていた縄文時代の竪穴住居だろう。
縄文時代は1万年続いたのだから、竪穴住居はそれ以上の歴史に耐えた。
また、洪水の被害を考えるのであれば、東南アジアのように高床式が良いのだが、こちらは台風への対策で防風林や高塀で守る必要がある。
しかし、今更竪穴住居や高床式住居は無理なので、その構造を発展させた現代建築を日本では目指すべきだった。

琉球や薩南地方は分棟式の家屋が引き継がれていった。
台風などの災害に強かったからだろうと思うが、沖縄では今はコンクリート造りが主流になっている。
私の知っている奄美大島地方は、分棟式の家屋が残っていて、屋根はトタンで葺いている。
これは風雨には強いが、強い雨が降るとうるさくて、テレビの音もまともに聞こえない。
そして、火事になると茅葺きの頃は、上から水をかけて初期消火できたそうだが、今は全焼してしまうと言う。
近所にもこの分棟式の家があって、こんな家が良かったと思っている。
世代を超えて、しかも、それなりの独立性を保てるし、災害にも強い。

高層ビルやタワーマンションも長周期地震動には脆いということが知られている。
土地の液状化の被害も鉄筋造りのビルでも考えられる。
東南海地震の危機が迫っている今こそ、補助金を出して日本列島の建物の多くを改造する必要があると思う。
特にその危険性が高い大都市の機能や、事業所を安全な地方に分散化する必要があるだろう。
それが地域活性化と雇用対策にもつながると思うのだが・・・・


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