「手伝いが必要な人がいる」と言って友人はさりげなく手を貸した
海外で友人といっしょに地元のスーパーに買い物に行きました。買い物を終えて駐車場に戻るとき、横にいた友人が突然「彼女は手伝いが必要だ(She needs help.)」と言って買い物カートを押している一人の女性に近づいていきました。女性の買い物カートにはたくさんの物が載っており、手には段ボールも抱えています。
友人はためらうことなく女性に手助けを申し出ました。女性は申し出を有難そうに受け入れ、自分の車までカートを運んでもらいました。
荷物を車に積み終えた女性は「ありがとう。とても助かったわ」とお礼を言ってそのまま車で走り去りました。小さな出来事でしたが私にはとても印象に残りました。そして、日本だったらどうかなと考えました。
同じような場面に遭遇したとき、身体が不自由な人や高齢者に声をかけることはありますが、そうでない人に声をかけることはめったにありません。ましてや他人の買い物カートを「運んであげましょう」と言って手を貸すのは稀ではないでしょうか。余計なことと思われたり、怪しい者に間違われたりするのを避けたいからです。申し出を受けた人もたとえ手助けが必要であっても「大丈夫ですから」と言って遠慮することが多いです。手助けをしてもらった場合でも恐縮して何度も頭を下げてお礼を言います。
友人は町中ではいつも周囲に気を配っており、手助けが必要そうな人がいたらためらわずに声をかけます。それまでにも似たような場面を私は何度も見ていましたが、彼の行為はごく自然に見えます。さりげなさにいつも感心していました。申し出を受ける人も必要ならば受け入れますし、必要がなければその旨率直に伝えます。不必要な遠慮は見られません。申し出た人にも「せっかく言ってあげたのに」という不満は見られません。支え合うというのは本来そうあるべきなのかなと思います。
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