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可憐な女性が突然豹変した!

昼下がりの電車は空いていました。私が乗った車両にはほとんど乗客はおらず、ロングシートの座席に座る人もまばらです。

向かの席に若い女性が座っていました。金髪の髪を左右でカーリーなお下げにしています。アニメから飛び出したようです。20代くらいに見えますがもしかしたらそれ以上かもしれません。最近は年齢が判然としないことが多いですから。フリルいっぱいのワンピースを着ていて可憐な「お人形」みたいです。

電車が停車すると30代くらいの小太りの男性が乗り込んできました。男性は車両をきょろきょろ見回すと女性のすぐ横に座りました。「席がいっぱい空いているのにどうして離れて座らないのだろう」と私は疑問に思いました。

「おまえ、嫌がらせか!」しばらくすると女性が突然大声を上げました。そして車両中に響き渡る声で男性に怒鳴り始めました。「なんでくっついてくるんだよ! デブがくっつくとうぜえんだよ」「くっついてませんよ」と男性はか細い声で言い返します。女性は続けます。「こんなに(席は)空いてんだろ。他のところに座れ!」「どこに座ろうと自由でしょ」やっとの思いで言い返しているように見える男性。女性は黙りません。「デブにはそんな権利はないんだ。自分がデブだってこと自覚しろ!」

女性の口から「デブ」という言葉が何度発せられたでしょう。私は唖然としました。離れたところにいる乗客もびっくりした様子です。大変なことにならなければいいなと思って見ていましたが、男性は次の駅で黙って降りて行きました。

電車に再び静けさが戻りました。女性は何事もなかったかのように「お人形」にもどりました。



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