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41 「チクり」大歓迎!

授業であった出来事を担任に伝えたとき生徒に「先生、チクったでしょ」と言われました。言ってはいけないことを伝えたのであれば反省もしますが、そうではありません。悪いことを言ったわけでもありません。情報を共有する必要があると思ったから伝えたのです。もちろん生徒たちは半分ふざけてそう言ったのでしょうが、私は「チクる」ということばに違和感を持ちました。

生徒は「チクる」ことにとても敏感です。「チクる」ことはいけないことだと思っています。裏切りや不正な行為と捉えています。でも、情報を共有するのは「チクる」ことになるのでしょうか。何でもかんでも「チクる」ということばに置き換えて否定的に使うことには疑問を感じます。そのことを「不可解なことば」として生徒たちに伝えたことがあります。以下がその文面です。

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不可解なことば

友達のことを先生に伝えることをみんなは「チクる」と言います。大事なことを伝えてくれたのにそれを非難されている人がいると残念に思います。「チクる」は若者の間で使われる言葉のようで、みんなもよく使いますよね。秘密にしておくべきことを人にこっそり伝えたり、言ってはいけないことを言ったりした時に使われます。「告げ口」や「密告」と同じように使われますが、みんなと話していると最近は使用範囲が広がっているように感じます。伝えるべきことを伝えたても、必要なことを報告しても「チクった」と言って責められることがあります。何だか変だなと思います。

みんなの中にも「チクる」のは悪いことだと思っている人は多いようですね。でも、人に情報を伝えることを「チクる」ということばでひとくくりにして、必要なことを親や先生や友達に伝えることまで非難するのはおかしくないですか?友達のことを先生に伝えたり相談したりすることすべてをいけないと考えるようになったら問題が起きても何もできません。

友達がいけないことをしているけど自分では止められないことってありますよね。だれかが困っている時何とかしてあげたいけど自分の力ではどうすることもできないこともあるでしょう。いじめを目にした時に先生に相談するのは悪いことですか?いいえ、悪いことではありません。友達を裏切ることでもありません。密告でもありません。「必要な報告」です。先生たちは伝えてくれた人に感謝します。その人が困るようなことも決してしません。だから気になることがあったらどんどん言ってきてください。良い意味でどんどん「チクって」ください。

先生たちはお互いにみんなのことを報告し合っています。一人だけではみんなのために十分なことがしてあげられないからです。一人でできないことをみんなで助け合ってやっています。生徒を指導するのは担任だけではありません。授業で、生徒会活動で、部活でみんなはいろいろな先生と接していますよね。だからどの先生もみんなの先生です。その場その場でみんなのいろいろなところを見ています。でも見えないこともあります。だから情報を共有して自分に見えていないことを他の先生から教えてもらっているのです。生徒のみんなからもらう情報も貴重です。ほしいのは悪い情報や気になる情報だけではありません。良い情報もどんどんください。

学校ではたくさんの人が一緒に生活しています。自分を見ている目はたくさんあります。先生の目だけではありません。友だちの目もあります。大事な目です。先生が気づかなくても友達は気づいています。「〇〇くんがこんなことしているけどよくないんじゃない?」「これをやったのは△△さんだね。偉いね」とお互いのことを何でも言い合えるのが望ましい環境です。でもそれができないこともありますね。そんなときはぜひ先生たちに言ってきてください。よいことも悪いことも遠慮せず先生たちに「チクって」ください。「チクり」大歓迎です!

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