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78 心が少し晴れてきたから

前回「学級通信が書けなくなった」という記事を載せました。「休刊」は2週間続きました。2週間後の学級通信です。

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学級通信を再開しました。「休刊」の理由は今さら説明する必要はないと思いますが、冬休みが終わったころのクラスの状態は決して良いものではありませんでした。みんなの心はふわふわとしていて落ち着かない状態でした。それが授業態度や生活態度、友達関係などすべてに現れていたのです。

私にとって何よりつらかったのはみんなの心が感じ取れなくなったことでsす。いくら話をしてもみんなの心に伝わらない、わかってもらえないというむなしさでした。先生たちが注意しても素直に聞かない、耳を貸さない、理不尽な言い訳をする、屁理屈で対応するということが多くなりました。

みんなにはそれなりの言い分があるのかもしれません。それならきちんとそれを伝えてほしいです。言い訳ではなく、納得のいく説明をしてほしいです。私はみんなの言い分に耳を貸さないつもりはありません。でもみんなの中から声が出ることはありませんでした。言ってもむだだと思われていたのでしょうか。そうだとしたら私にも責任があります。

そして起きた休み時間のあの度を越えた悪ふざけ。山形県でいじめによる死亡事件が起きた直後だっただけに私にはみんなの悪ふざけが事件と重なって見えました、「先生は心配し過ぎるんだよ」とみんなは言います。でも、ふざけていて死に至ることだってないわけではありません。

学級通信の「休刊」は私にとっては「賭け」のようなものでした。4月から休まず出し続けてきた学級通信ですから最後まで休まずにいたかったです。でもできませんでした。みんなの心に通じなければ出しても意味がないと思うからです。みんながわかってくれるかどうかに私は「賭け」ました。

この2週間毎日みんなに話しましたよね。授業の大切さ、他人への思いやり、友達はおもちゃじゃないこと、食事中のマナー、そうじのこと、教室のゴミのこと、そして生活態度全般について。みんなは聞き飽きましたか?個人的にも話をしました。この2週間は休み時間も放課後も絶えずだれかと話していたような気がします。班長会も開いてクラスのことを話し合いました。

その中で確信したことがあります。多くの人がクラスをよくしたいと思っていることです。みんなに迷惑をかけている人も「このクラスが好きだ」と言います。友だちを弄んでいた人も心のどこかに罪悪感を抱えていることを知りました。そしてみんなの態度が少しずつ変わってきていることを感じました。まず、授業態度がずいぶんよくなりました。時々おしゃべりもしますし、いたずらもします。でも以前に比べればびっくりするほどよくなりました。授業をしっかり受けようという気持ちが感じられますし、友達を注意する声も聞こえます。昨日の3時間目、美術室の前を通りかかった時、シーンと静まり返った部屋の中で黙々と野菜の絵を描いているみんなの姿を目にしました。みんな集中して作業していました。私はとても嬉しかったです。授業に取り組む態度は何よりも自分に跳ね返ってきます。真剣に取り組むのは周りの人たちのためであると同時に自分のためでもあります。自習もしっかりできるといいですね。

食事のマナーもよくなっています。だれもが落ち着いて食べられる時間をこれからもキープしてください。お弁当の時間っていちばん楽しい時間でしょう?教室のゴミも減ってきています。ゴミを落とさなくなったからでしょうか。それともゴミに気づいたら拾ってゴミ箱に捨てるようになったからでしょうか。一学期の頃のあのきれいな教室が戻ってきそうです。掃除用具入れや黒板の落書きも書いた人がきちんと消してくれました。掃除中も「プロジェクトチーム」の取り組みが功を奏したのか遊んでいる人が減ってきました。冷たい雑巾を洗っている人を見ると思わず「ごくろうさま」と声をかけたくなります。

みんなの中に「変化」を感じ始めたから私は学級通信を再開することにしました。「周りに流されないようにしよう」と自分に言い聞かせている人や変わろうと努力している人に私は心を動かされました。自習時間に教室からみんなの騒がしい声が聞こえてきたので注意をしに飛んで行った私に「騒いでごめんなさい」と謝ったWくん、「先生、授業のないときくらい職員室で休みなよ」と言ってくれたCさん、放課後黒板のいたずら書きを消していたら横に来ていっしょに消してくれたFさん、夕暮れの教室でひとりそうじをしていたAさんを見て、私の心は少しずつ明るくなってきました。

一年生もあとわずかで終わりです。「Gくん」にはあと少し私のメッセンジャーボーイを務めてもらおうと思います。

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