どこよりも早い!国民民主党代表選

今年9月に行われる見通しの国民民主党代表選挙。3年に1度行われる党のビッグイベントです。3年前、新・国民民主党結党直後のタイミングでも行われたわけですが、今回は、前回と何から何まで違う可能性もあります。多くのことが明らかになっていない(まだ決まっていない)現段階ではありますが、注目すべきポイント、面白くなりそうなポイントを、独断と偏見で取り上げて、まとめてみました。それではさっそくみていきましょう!


①玉木代表は立候補するのか

やはり今回の代表選挙、まずはここありきの部分はあります。玉木雄一郎、現・国民民主党代表が、再選を目指して立候補するか否かという点です。
2017年、希望の党騒動の中で行われた衆院選の直後に行われた希望の党代表選に立候補、大差で当選して以来、①希望の党代表→②旧国民民主党共同代表→③旧国民民主党代表→④新国民民主党代表、と党や形態はその都度変わりながらも、約6年間、公党の代表を務めてきた最早ベテランです。
もし、今回の代表選挙に出馬し、当選すると、3年後の任期満了時には、丸9年国政政党党首ですから、仮に今回の代表選挙に出馬したとしても、次の任期中には、後継に関して見据える必要がある、という可能性があります。

玉木代表の動向は?


その上で、玉木代表は、現時点で、出馬に向けて、「自身も候補者になりうる立場」としながらも、具体的な態度は明かしていません。代表選に関する具体的な情報が代表選管から明かされた時点で、自身の代表戦への向き合い方を表明するとしています。
とはいえ、代表選が終わったら即衆院解散も否定できない中で、党所属議員の中では圧倒的な知名度の玉木代表以外での代表で、衆院選を戦えるのか、というと現実的には厳しいものがあります。衆院選直前になりうるタイミングでの代表交代は好ましくない、という意見にも説得力があるのではないでしょうか。
その一方で、新国民結党直前、つまり旧国民分党直後、新国民民主党の党所属「予定」議員らの「話し合い」で代表を続投することが決まった、という出来事がありました。その前、玉木代表は、その前年に行われた参院選での敗北の責任も踏まえ、新国民民主党では代表には就任しない考えを、所属「予定」議員らに伝えていたことを、増子輝彦・参議院議員(当時。その後、玉木代表が再度就任する方針を示したことに反発し、新国民の入党を撤回)が明かしています。その後の新国民民主党の結成大会でも、玉木代表が「これを期に、引くということも一つの責任だということは申し上げた」と認めた上で、「その上で、お前やれ、という声が多かったので(代表を)引き受けた」としていて、一部ニュアンスが異なる部分があるものの、両者の主張は概ね合致しています。玉木代表の真意はよくわからないものの、(+その年の末の代表選に再選を目指して出馬していることも状況を複雑化させていますが)代表引退を考えたことがあることも事実なようで、そのタイミングが「今回の代表選」になる可能性も、否定はできません。
いずれにしろ、玉木代表が出馬するか否かで、代表選の構図、争点、注目ポイントは大きく変わるため、まずはここがどうなるかを見極める必要があるでしょう。

②対抗馬は出るのか

この②では、まず、玉木代表が代表選に出馬した場合を想定して、話を進めていきます。不出馬の場合であれば、玉木代表も後任の擁立には動くと思われるためです。
まず最初に、今回の代表選は、無投票の可能性も十分にあると言えるでしょう。理由としては、前述の通り、このタイミングが衆院選の直前である可能性が否定できない点も大きいでしょう。もし、自分が出馬して当選した場合、玉木代表に代わって、党を衆院選勝利に導かねばならない。その時に、玉木代表と同等の、あるいはそれを上回る知名度を、世間で獲得している所属議員がそう多くないことも事実です。また、衆院選になれば党代表として全国を応援に行脚しなければならず、地元入りは限られます。実際、2021年の衆院選では、選挙期間中の玉木代表の地元滞在時間は計10時間ほど。出陣式もマイク納めも接戦区のテコ入れに入りました。対して立憲の枝野代表は苦戦が報じられ、マイク納めを地元でせざるを得ず、批判を招きました。よって、絶対条件ではないですが、地元に入らなくても選挙に勝てる(ことが見込まれる)議員が代表に相応しい、という考え方もあるでしょう。

第一声は長崎一区、マイク納めは茨城5区でした。


このような諸々のことが、玉木代表に対する対抗馬を生みやすい状況か、といえばもちろんそうではありません。よって、玉木代表以外に立候補者はなく、無投票で玉木代表が再任、というシナリオも十分に考えられます。
ただ今党内には、政党の「政局的路線」として、明確に玉木路線とは違う方向性を考える、党所属議員が(前原誠司・衆議院議員をはじめ)いることも事実。前原氏も最近、メディア露出が活発で、選挙ドットコムちゃんねるでは「路線の問題はしっかり党内で議論したい」、東洋経済の対談記事では「野党共闘路線で行くのか、あるいは自民にすり寄ってでも連立に入るということを考えるのか、路線はやはり明確にしなければいけない時期に来ていると」と述べており、どちらが国民民主党の進む路線として正しいか、これが大きな争点となり、前原氏、もしくは前原氏に近い考えを持つ議員が代表選に出馬する可能性もあります。ちなみに前原氏は前回の代表選時も「待望論がある」と報じられていましたが、見送っていました。


このパターン以外にも、玉木代表自身、前回の代表選を踏まえて、「次世代を担う若い政治家が出てきて戦うことには意味がある」と、代表選を、各議員が知名度を上げる機会にすることにも期待感を示しています。前回に続いての伊藤孝恵議員、また玉木代表からも「若手のホープ」とされ前回衆院選では小選挙区当選を果たした浅野哲衆議院議員にも、支持者の中で待望論があります。選挙戦になれば、「若手」とされる議員の中から、立候補者が出る可能性も高いでしょう。


ちなみに、代表選に出ないことが確定しているメンバーもいます。それは、代表選管の委員に選出された、西岡秀子衆議院議員、田村まみ参議院議員、鈴木義弘衆議院議員の3人です。代表選管は、代表選の日程の決定から、実施、開票などを全て担うことになっており、その委員が代表選に出馬することはありません。(規約上も)
いずれにしろ、玉木代表は出馬するのか、衆院選はありそうなのか、後述のことも見極めながら、各議員がギリギリの判断をする夏になりそうです。

③日程はどうなるのか

繰り返しますが、今回の代表選直後に、衆院選がある可能性が十分に考えられます。任期切れが9月末、その中で、規約等々を踏まえると、実施時期がかなり限られてきます。
まず、現在の規約通りに進めると、最も早くで8月末に行うことができる、とのことですが、この時期は、議員外交(衆参議院の委員会の海外派遣など)が行われる時期で、所属議員が揃わない可能性が極めて高く、この時期での実施は厳しいと思われます。
規約の改訂で、7月〜8月の中旬とすることも選択肢ですが、玉木代表の記者会見での発言を見るに、あまり積極的ではなさそう(直近2、3回の代表定例会見を参照)。
よって、8月が終わり、衆院選の予想日程より少し早い、9月上旬が本命と考えられます。が、この時期だと、行われること自体はほぼ確実の、内閣改造や自民党の役員改選と時期がダブる可能性があります。玉木代表も、このダブりによって、代表選が埋没することに懸念を示していて、ここはよく政局を見ながらの判断になります。

④推薦人制度はあるか

個人的にはここが最も面白くなりそうだな、と感じているポイントです。推薦人について、簡単に説明すると、代表選に立候補する時、候補者になる人物は、自らの主張などに、賛同する人、つまり応援者、推薦人を、立候補時点で集める。選管から決められた人数を集められた者のみが、代表選に立候補できる、というどこの党でも基本的に採用されているシステムです。脱線しますが、この推薦人制度、よくドラマを生みます。例えば維新の代表選では、「30人以上」が条件なのにも関わらず、馬場氏が300人を超える推薦人を集め、対立候補となった梅村氏は当初40人を集めていたものの、引き剥がされに引き剥がされて、30人ギリギリとなってしまったというように。玉木代表も、実は最初の最初、民進党の代表選に出馬した時、推薦人集めに苦労した、というエピソードがあります。蓮舫氏と前原氏の一騎打ちの構図に割って入る、「第3の候補」としての立候補を目指した当時3期目の玉木氏は、党内の力学(具体的には「第3の候補」を一本化するかどうか)などに翻弄されつつ、告示日の前日から当日にかけての深夜に愛知まで飛び、議院の自宅を訪ね、お願いに回り、告示日当日の朝、東京に戻り、最後の1人の承諾を得て、推薦人を確保しました。結果は3位での落選でしたが、全国的に知名度を上げる一つのきっかけになりました。

民進党代表選2016は三つ巴に。


話を戻します。前回の代表選では、多数の候補の立候補を促すため、この推薦人制度は特例的に廃止されました。結果として、玉木代表に挑んだのは、伊藤孝恵議員1人でしたが、事前の説明会には4陣営が参加し、選管のメンバーだった足立信也参議院議員(当時)も、「3〜4人の立候補が望ましい」とするなど、党の露出を増やすためにも、多数の立候補が望まれており、それを促すための措置、という意味合いでした。ただ、代表選規約には、現在も「推薦人制度」の項目が残り続けており、前回が特例であったと考えると、今回は通常通り「推薦人制度」が復活すると考えるのが自然でしょう。


これは「②誰が立候補するのか」にも関わってきますが、規約上の条件は「党所属国会議員の15パーセントもしくは20人(どちらか少ない方)以上25人以内の推薦状及び、同数の党籍を有する地方自治体議員の推薦状を添えて、代表選管に届け出ることを要する」とあり、現在の所属議員数に当てはめると、4人の推薦人が必要です。これを集められなければ、ならないわけで、そこも代表選出馬の一つのハードルになります。
前回の代表選は、推薦人制度もなく、「誰に投票したか」を公表する議員もいませんでしたが、推薦人制度復活となれば、誰が誰を応援するか、ということが一部見えてくることになります(よっぽどの候補乱立にならない場合、特定候補の推薦人にならない所属議員の方が多いため、あくまで一部ですが)。もし制度復活の上、代表選が行われた場合には、出身労組、選出選挙区などの背景情報もチェックしつつ、推薦人一覧をニヤニヤ眺めるのも楽しいでしょうし、そこからまた新しいドラマが生まれるかもしれません。

⑤代表選はお祭りだ

はい、代表選はお祭りです。国民民主党には、某党のような「対立候補を干す」風習はおそらくないため、純粋な政策論争、路線に関する議論がなされると思われます。その証拠に、前回の代表選で敗北した伊藤孝恵議員を、玉木代表は副代表、そして代表会見などの司会進行を務める、ある意味代表に最も近い役職「役員室長」に任命し、また、参院選では出陣式、マイク納めの両方に応援入りました。
特に代表選中は、政策論争に重きが置かれ、玉木代表が旧国民時代から掲げていた「第3子に1000万円」の支援を行う政策に、伊藤孝恵議員が「多子礼賛の響きを覚える」と猛反発、代表選後、玉木代表は伊藤議員の意見を取り入る形で、「第一子からの支援」で公約を設計する形になりました。
このように、代表選は、特に国民民主等の代表選は、細やかな政策論争が行われ、その中から政策のアップデートが行われる可能性さえ秘めているのです。また前述の通り、今回は、前回の代表選の時点ではなかった政局的状況も生まれており、それも大きな争点になる可能性があります。
そして、代表選中は、主にyoutube上でさまざまな討論番組が実施され、夜のニュースにも断然映ります!また前回はコロナの感染拡大で見送られた全国各地での街頭演説会も、衆院選の状況次第ではありますが、実施される可能性も十分にあるでしょう。
そして、最後は、候補者の中から自分の「推し」を見つけて、「投票」という形で、国民民主党の新しいリーダーを選ぶことに。そしてその1票に国民民主党の新しい3年間が託されることになります。


ここまでどうだったでしょうか?国民民主党の代表選について長々と書いてみました。そもそも実施されるかどうかも(無投票かも)、まだ決まってない段階ですので、それ知ってるよ!とか、いや結局どっちやねん!とか、読みにくっ!とか色々あるかもしれませんが、あえて予想はせず、ファクトに基づいて書いてみました。読みにくいのはさーせん。また写真は国民民主党公式HP、民進党HPからの引用です。
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