タンパク質発現ベクター SV40プロモーター

タンパク質発現ベクター SV40プロモーター

■SV40プロモーターはHEK293T細胞やCOS-7細胞に 目的タンパク質を大量に発現させるための配列

■ネオマイシン/カナマイシン耐性遺伝子は薬剤スクリーニングによる細胞の選別に利用するための配列

HEK293細胞とは?HEK293T細胞との違いは?

HEK293細胞の読み方はヘックニーキューサン細胞

ヒト胚性腎臓細胞へアデノウイルス5(Ad5)DNAをトランスフェクションしました。

トランスフェクションとは

トランスフェクション(transfection)とは核酸を動物細胞内へ取り込ませる手法で、特定の遺伝子を細胞に取り込ませて、目的とするたんぱく質を発現させる過程のことです。
https://www.keyence.co.jp/ss/products/microscope/bz-casestudy/cultivated-cells.jsp

アデノウイルス遺伝子をHEK細胞のゲノムに組み込むことで、組換えタンパク質を効率的に産生できるようになりました。

HEK293T

HEK293T細胞は、 HEK293細胞にSV40 Large T抗原を発現させたものです。HEK293T細胞の”T”は、T抗原を意味します 。これにより、 HEK293T細胞では、SV40複製起点を持つプラスミドベクターを使えるようになり、大量のタンパク質を生産できるようになりました。

シミアンウイルス40


※※
1960年にSimian vacuolating virus 40(SV40)が発見され、SV40に腫瘍原性があることも報告されました。安村博士は腫瘍ウイルスとしてSV40の研究を始めることにしました。そこで、SV40を感染させやすいアフリカミドリザルの腎細胞を使う実験系を組むことにし、まず最初に実験の材料となる細胞株の樹立に取組みました。

培地の調製に使う試薬から細胞の培養に使うガラス瓶まで、実に入念に条件を調整しながら進めた結果、1962年に培養を始めた細胞が無事に実験に適した細胞株となりました。

この細胞がVero細胞と命名

Vero細胞
【安村美博先生】
「Veroね。あの細胞系はインターフェロンを作らない細胞系だったことが幸運だったね。サル腎臓からの細胞系は沢山樹立されたけれども、インターフェロンを作っている系が殆どで、それらはウィルスに対する感受性が低いんだよ」

Vero細胞の物語
https://www.niid.go.jp/niid/ja/chlamydia-pneumonia-m/818-biochem/5752-vero.html

ウイルス感染した細胞から放出されたI型インターフェロンは、細胞膜上にあるI型インターフェロン受容体に結合すると多様な細胞内事象を引き起こします。その結果として、ウイルスゲノム情報を発現するために必須であるRNA合成やタンパク質合成が阻害され、ウイルス増殖が抑えられるようになります。

同一生物種に発現している機能的に似た働きを持ちアミノ酸配列的にもお互いに似たタンパク質をアイソフォームisoformと呼びます。I型インターフェロンには多くのアイソフォームがあり、それぞれに遺伝子があるのですが、これら遺伝子は染色体上の限られた位置にかたまって存在しています。このI型インターフェロン遺伝子クラスターは、ヒトでは9番染色体短腕領域(9p22)にあり、この領域はアフリカミドリザルでは12番染色体の領域に相当します。

ゲノム解析の結果、Vero細胞の12番染色体に900万塩基対(9 Mbp)に渡る大きな欠失、それも二本の相同染色体の両方で欠失があることが判明しました。

ポリオーマウイルス小胞体─細胞質逆行輸送機構の解析
本稿では,ポリオーマウイルスが小胞体から細胞質へ逆行輸送される分子機構に関する知見について,サルポリオーマウイルスである SV40 を用いた研究結果を中心に解説する
http://jsv.umin.jp/journal/v67-2pdf/virus67-2_121-132.pdf

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