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「愛してる。」(短編小説)

「愛してる。」って、いつか誰かに言ってほしかった。夢だった。誰かに愛されたかった。大事にされたかった。でも、愛してくれる人がいなかった。僕も「愛してる。」って言ったことはなかった。そんな僕にも、好きな人が出来た。あの人が前に僕に優しくしてくれた。恋をしたのが、初めてだった。僕は、友達もいないから、この気持ちを分かち合う人がいなかった。どうすればいいか分からなかった。授業中も、目で追っていた。あのコもあまり友好的な子ではないようで、友達があまりいなかった。僕はある日、学校に花束を持ってきて、その子に告白しに言った。「付き合って。」と。その子は一瞬困ったような顔をして、「…いいよ。」と、言ってくれた。今日からその子は彼女になった。これで僕はやっと愛してるって言ってもらえる。と、思った。
…長い月日が経ち、クリスマスという時期に入った。彼女とはあまり会っていない。どっちも人任せだからだ。みんなは友達や家族や彼氏や彼女などと会うらしい。すると、珍しく彼女がデートをしようと誘ってきた。僕は「良いよ。」と、言った。
…クリスマス当日、イルミネーションを見に来た。彼女は先に来ていた。歩き始めた。手などは繋がなかった。周りのカップル繋いでいた。僕が馬鹿だった。イルミネーションなんて見るのはすぐ終わるからだ。帰ることになり、暗い夜道を歩いた。人気はなかった。道がついに別れ、僕は帰り際の彼女に「愛してる。」と。僕は返事を待った。彼女は一瞬振り向き、また目をそらした。彼女は「ごめんね。」と、言った。僕はなんだかびっくりした。「私、愛してるって言えない。」と、彼女は言う。僕は「なんで?」と、聞いた。彼女は「好きじゃないから。」と、言った。僕はポロッと涙を流し、「バイバイ。」と言って、その場を去った。

END



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