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SalaarはKGFに続く世界一のディストピア映画

公式動画はこちらから。もう絵面が暑苦しい笑

そして、これを書いている現在、まだ公開されて3日なのに、すでに3回見にいってしまっている自分がちょっと怖い。

人に薦める映画は何って聞かれたら「RRR」って答えるけど、一番好きな映画は?って聞かれたらためらいなく「KGF2部作」と答える私。
映画館の入り口のポスターや垂れ幕が、すでにバッキバキのインド映画オーラ出していて本当に期待しかなかった。

で、1回目の感想は、、、あちこちで本当に笑ってしまった。
完全にKGFの世界と同じディストピア。北斗の拳の世界。

暴力が苦手な人は絶対にこの映画見たらだめ、絶対。
暴力しかない映画。


映画のストーリーが分かりにくいという感想があちこちで見受けられるので、かみ砕いて紹介する。多少間違っているところがあってもご容赦ください。

以下、ネタバレあり。


設定とストーリー


1947年インドの独立。
1000年以上続くカンサールという3つの部族が生活する都市国家が存在した。第二次世界大戦後のタイミングで、マンナル族のシヴァ・マンナルはカンサールを治外法権の都市国家とし、組織を現代化させ、初代元首に就き、暴力と恐怖で支配することに成功した。
領地を101に分割したシヴァは、元首が一人で15、大領主が8人でそれぞれ3、小領主が61人で1つずつの領地と投票権を持ち、ニバンダナという紀律を制定。

1985年
初代元首シヴァが亡くなり、シャウリャンガ族の長、ダーラが元首に就任。するはずだったが、シヴァの息子、ラージャ・マンナルがシャウリャンガ族を突然虐殺・殲滅行為を行う。
そしてラージャはダーラに代わり元首の地位に就く。

ここまでが映画のストーリーが始まるまでの流れ。

ここからストーリーは1985年、2010年、2017年の3つの時代を進むこととなる。


1985年
元首ラージャの第2夫人の息子、ヴァラダ(主人公)の鼻輪を第1夫人の息子ルドラが奪いとり、ヴァラダを敵視・軽視する。
それにブチギレた親友のデーヴァ(主人公)がルドラの部下と引き分けに持ち込み、鼻輪を取り返す、というところからサラールは始まる。

ある日、ラージャの命令を受けた部下がデーヴァの家を襲うが、ヴァラダが大領主の腕輪を渡すことでデーヴァを助け、もうここではお前たちは生きていけない、カンサールから今すぐ去れと伝える。
それに対し、デーヴァは俺の名を呼べばいつでも駆けつけると伝え、母アンマとともにカンサールを後にする。


2017年
ストーリーは2017年に飛ぶ。

クリシュナカント(眼鏡をかけたおじさん、2010年はラージャの配下っぽい)の娘、アディヤはとある目的のために父親に黙ってインドへ渡航。しかし、アディヤを探していたラージャの第一夫人の娘、ラーダー(2010年では元首代行の女性)の配下オブランマがインド全土の配下にアディヤをとらえることを命令。
クリシュナカントはビラール(2010年ではヴァラダの部下。白いひげのおじさん、KGFのカシムみたいな白い帽子)に電話をし、とある男のところまで送ってくれと伝える。
ビラールは直ちにその男、デーヴァに電話をして指示を受け、オブランマ一派に拉致されたアディヤを取り返すことに成功、アッサム州ティンスキアという小さな炭鉱町まで彼女を連れていき、デーヴァの母、アンマに事情を隠して教師として住み込みで働くことにさせる。

しかしアディヤがティンスキアにいることがすぐにばれてしまい、追手によってアディヤがとらえられてしまう。
それを見たアンマはデーヴァに「やっておしまい!」と鎖を断ち切ると、直ちに相手は壊滅。しかしアディヤがクリシュナカントの娘だとばれてしまい、今すぐでていけ、私らもこの街から去ると伝える。

ビラールとアディヤはミヤンマー国境を越えて去ろうとたくらんでいたのもつかの間、小さな町から出ることすらかなわず、デーヴァが運転する車からまだ見えるぐらいの距離で二人は拉致されていく。
そして、アンマはデーヴァへ、二人を助けなさいと伝え…

現代編はデーヴァが大暴れして二人を助けたところでストーリーは終わり、アディヤが過去に何があったのかとビラールに問いただすところから、過去編が始まる。


2010年
元首ラージャの娘婿バーラヴァ(のちの元首代行ラーダーの旦那さん)が、そろそろヴァラダを許してあげてはいいのでは?と問いただすところから物語が始まる。

ある日、元首は議会の席で大領主ランガ(1985年、ヴァラダが大領主の腕輪を渡した相手の息子。大領主の地位を引き継いでいた)に大領主の座をヴァラダに明け渡すよう下命を受ける。とともに、しばらくカンサールから離れる、元首代理はラーダーに任せると伝え、カンサールを後にする。

当然不平をもったランガをバーラヴァとルドラが炊きつけ、3人でヴァラダを襲撃。あと少しでヴァラダを暗殺できそうなタイミングでカンサールに鐘が響き、ニバンダナの開催となる。
元首代行のラーダーは停戦命令を出すも、ルドラが停戦に関しての投票を求めることに。それにより、継戦か停戦かの投票が9日後に行われることとなる。

各領主は戦争に備えて世界中から傭兵を次々と集めて軍団を結成。それに対し小領主にすらバカにされるヴァラダは、部下たちと車を走らせてクジャラートで生活していたデーヴァたった一人だけを戦力として迎える。

25年ぶりにカンサールに帰ってきたデーヴァだったが、想像以上のヴァラダへの風当たりのきつさにへきえきとしていたが、、、大領主ナラングの息子、ヴィシュヌの行為についに狂気が爆発。ヴァラダも一切止めることもなく、小領主のヴィシュヌを殺害するに至る。

そんな事件を起こして無事に済むわけもなく、ヴァラダとデーヴァの二人は捕らえられて元首代行や大領主、小領主全員揃う法廷に連行される。
デーヴァは「犯人は俺だ、ヴァラダは無実、おれを殺せ、ヴァラダに触らないでくれ」と殺したヴィシュヌの父、大領主ナラングに懇願するが、彼は怒りのままヴァラダを手にかけようとする。

その時、デーヴァはナラングの首を落とした。

これにより、ヴァラダの弟含め、ヴァラダ傘下の幹部全員が牢屋につながれることとなる。

決選投票の日。

大領主と小領主1名ずつが欠け、97票にて継戦か停戦かを争うこととなる。
小領主と大領主の投票が終わったとき、元首ラージュが帰還し、停戦側に15票を投じる。これにて48票どうしとなり、最後の票は囚人のヴァラダにゆだねられる。

牢屋でデーヴァと話し合った結果、ヴァラダは元首の意思に逆らい、なんと継戦に投票する。
それにより、ランガ陣営が開発した薬によって赤いものを見ると興奮してバーサーカー化する囚人100人の牢獄にヴァラダは閉じ込められてしまう。

ヴァラダの部下と弟はルドラ、バーラヴァたちの部下に連れていかれ、青龍刀を磨く男たちの目の前で処刑台にのせられる。


ヴァラダはバーサーカーたちを何とかしのいでいたが、突如奴らが違う方向へ向かって走っていった。そう、本当に美しい、血の赤に染まった男に向かって走っていく。そう、ルドラ、バーラヴァの部下をすべて殺して血まみれになったデーヴァのもとに。

そこから二人はバーサーカー相手に無双。そして大領主ランガも殺害。


場面は変わり、ラージャとラーダーが元首室で何があったのかを語り合う。
「血族のカンサールは常に血に飢え、手を結ぶマンナル族」
「大量の武器を集める大領主ヴァールらガニヤル族」
「そして、お前の夫、バーラヴァはシャウリャンガ族」と、実娘のラーダーに衝撃の事実を伝える。
「25年前に滅ぼしたシャウリャンガ族・・・」


全滅させたと思った大人たちが命がけで子供たちを逃がした。
そして、ヴァラダはデーヴァを逃がした。

そう、デーヴァは25年前、元首の座につくはずだった、シャウリャンガ族のダーラの息子だとここで語られる。


ふたたび舞台は2017年に。
「ヴァラダを元首に就けると約束したデーヴァこそ、元首に就く資格の持ち主ってこと?」とビラールに問うアディヤ。

エピローグ

2017年、元首の席に座っているのはかつての友ヴァラダ。
なぜ、デーヴァは再びカンサールを去ったのか。


Salaarは幕を下ろし、2へ続く。



感想


3回見にいってる時点でお察し。
好き、って言葉しか出てこない。
以下、好きなポイントをとにかく書く。

①友情

なんでインド映画って友情をこんなに暑苦しい映像にできるんだ(めっちゃ褒め言葉)

最近ではRRRやPATHAAN、TIGER3等から少し昔ならきっとうまくいくみたいな物語まで、本当に友情というか魂のつながりというか、少年ジャンプ以上に心揺さぶられる友情を見せられてしまうとおじさん涙出てしまうんだよ。

少年期にアンマの手料理を2人が仲良く食べてるところからの、2010年回想で、小領主でもあるヴァラダが「腹が減った、アンマの手料理を食べたい」というところで、号泣。

ヴィシュヌの部下が少女を攫っていくところで、ヴァラダがデーヴァの影を見ながらも、目をじっと閉じて彼の行為を一切止めないところでも号泣。

投票前日の夜、牢獄の二人の会話に号泣。

そしてバーサーカー相手に2人で暴れまくるところで号泣。

本当にありがとうございました。

②設定

パンフレットにも監督の言葉が書いている「KGFの繰り返しといわれてもかまわない、むしろ賞賛だ」のとおり、映像も設定もKGFとほぼおなじ、暴力と恐怖が支配する都市国家で行われる政争がえがかれている。

それでも、現時点ではKGFより設定はしっかりしているように感じる。
特に、カンサールの領主や世界観は「そもそもこんな都市国家ありえんだろwwww」ってのを除けば、内情は非常に面白い。口には出さないが、腹の中ではだれもが元首を狙っているというあたりが、ロッキー兄貴のカリスマで支配体制を築いたKGFとは様相は異なる。

といくら言ったところで、同じやんって言われたら同じやね、と答えてしまいそうなんだけど。

③映像

相変わらず砂塵が舞う世界で、カットが早くて強い男が暴れまくるのはKGFと同じ。「これこれ、これを見たかったんだ!」ってなっちゃった。見にいく前は、さすがにあの映像はもうおなか一杯かなあって思ってたけど、勘違いしていましたすいませんでした。

④俳優さんたちの演技

プラバースさんがかっこいいのはもちろん、ヴァラダ役のプリトヴィラージ・スクマーランさん、元首のジャガパティ・バーブさん(ランガスタラムの村長役だった人だよね?)はじめ、俳優さんたちの演技がすさまじい。
KGFでも感じたけどセリフが本当に少なくて、オーバーすぎるほどの表情やしぐさでの演技が多いんだけど、全員に100点満点の1000点あげたい。
現段階で一番気に入ったキャラは、大領主の座を奪われることになったランガ役のジョン・ヴィジャイさん。ちょっと小物風味なところから、少しずつ狂気に駆られていく様は天晴!でした。こういうキャラがいるから、映像って引き立つんだよな。

⑤どこかで見たような覚えのあるシーンが(褒め言葉)

KGFからも似たシーンやキャラがあるのはもちろん、今回プラバースさんを起用することで、いくつか過去作からのオマージュを感じる部分等があったのでつらつらと書いてみる。

・ビラールがKGFのカシムおじきと見た目同じ
白いあの帽子かぶってたら見分けつかないよ!おじき大好きだったからものすごくうれしい。

・デーヴァがこぶしを握ろうとしたときにかかるバイクのエンジン音。
たまたまだと思うんだけど、バーフバリ伝説誕生で、カーラケーヤに押し込まれて敗走している自軍を立て直そうとしているときに、バーフバリがつぶやく言葉と頭の中でシンクロしてしまった。

・元首代行シュリヤー・レッディ
完全にあのひとやん。目が飛び出す国王代行。国母ラージャマータ・シヴァガミことラムヤ・クリシュナさんに負けず劣らずの強気女性を代行に選ぶとか。とはいえ、国母ほどのカリスマは見られない。それでも眼力表情、強い女性に痺れる憧れるゥ!

・息子、父親の順に斃す
バーフバリでは息子バーフバリがルトラ、そしておそらく養父のヴァラーラデーヴァを、パパバーフバリがおそらくルトラの実父セートゥパティを斃すストーリー。
今回はデーヴァが少女とニャンニャンしようとしたヴィシュヌをあっという間に殺害、父親もその流れで殺害。そして…

・法廷で首を跳ね飛ばす
プラバースといえばこれですよ、と言わんばかりの見事な斬首です。ありがとうございました。
法廷にヴァラダとデーヴァが連れ出された時、一瞬頭によぎりました。ナラングがデーヴァではなくヴァラダに向かっていったときに「これヤバくね?」「昔、デーヴァセーナに触ろうとした人がいてですね」とかつぶやいたそのとき。
ナラングの手がヴァラダに触れた瞬間に、すっぱーん。
ラーダーやバーラヴァ、その他の大領主たちの表情がバーフバリと同じすぎて草。
このシーン、私、一人で拍手と爆笑してました。

・エピローグでのデーヴァの正体の明かし方と映像。
これはお約束なのかもしれませんし、全然違うと言われたらそうなんですが、サーホーが正体を現した時の演出がかぶりました。これは近くないって言われたらそうなんですけど、まあ。。。。それにしても、あそこのシーンかっこよすぎじゃないですか。後ろ姿だけですよ。鼻血出そうになりました。

・そのほか
映画見てるときにいろいろ思いつくんだけど、斬首シーンで全部記憶吹っ飛んでしまうので・・・思い出したら追記します。


まとめ

今、自分の中ではテンション高くて、読みにくい文章書いてるんだろうなって気がするけど、推敲している間に上映終わりそうだから、このまま投稿する。
やっぱりインド映画でしか得られない成分があるんだなあとつくづく感じたこの3日間。明日も仕事休みだからと見に行ってしまいそうな自分がものすごく怖い。

Salaarおすすめです。とくにKGFで盛り上がったって人はぜひ観に行ってください。
2,早く観たい!


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