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今も思い出すと沸々とする、大雪の日の話

10年くらい前にあった出来事です。

起きてピンチ

北海道内陸部の豪雪地帯。その日の朝は、現在の夫となる彼の家に泊まっていた。玄関のドアを開けると景色が一変していた。

真っ白。真っ平らで真っ白。おそらく一晩で1メートル近く降ったのであろう。
玄関に続く道はすっかり埋まり、車は窓から下が埋まっている状態。
こりゃあ大変だ!わたしのピンチ!2時間後には出勤しなければいけない。

・彼の家(賃貸アパート)には車で来ていた
・彼の家から自宅まで車で約30分
・自宅から職場まで車で約20分
・雪の中から車を掘り起こすまでの時間
・道路の雪を除雪し、車を走らせられる道の確保
これを夫と2人で??お正月期間であり、周辺の住民さん達は起きて来ていなかった。

懸念事項は、大通りや自宅周辺の道路状況だ。どう考えても、市内の除雪は間に合っていないだろう…。
アパート前から抜けられたとしても、道中進めなくなる恐れがある。こりゃあ遅刻確定だ。詰んだ

当時わたしは、ドラッグストアでパートタイム勤務をしていた。(日本語合ってる?)
その日の責任者は副店長。キリリと仕事に真面目な年上の女性だ。
とりあえず相談しよう。

電話越しに寝起きと思われる副店長の声。状況を説明し、そのお返事は「2時間遅刻しても良いので来て下さい」だった。

はー?はーーーー!???
あなた外の状況を見ていないでしょ?まずは見てみなさいよ!移動距離を考えて言ってる?!
「はい…。(マジかよ」

さて、あなたならどうする??
①2人で除雪後、車で進んでみる
(先の道路状況不明)
②バスを乗り継ぐ
(ガラケーにつき、乗り継ぎ方法不明)
③歩く
(吹雪いてはいない。車で30分の距離)

人生は選択の連続だ。
わたしは ” ③歩く ”  を選んだ。
歩くのであれば、立ち往生する心配はないから。

前半2時間

彼、ごめん!今のわたしには、除雪で体力を使うわけにはいかないのだ。キミはお正月休み中だから頑張っておくれ!!
そんな気持ちで覚悟を決めて、道ならぬ道を歩き始めた。

彼のアパートを抜けるまではスコップで道を作りながら進み、その後は膝下まで埋まるくらいの深さだった。
腰まで埋まる覚悟だったので、想像よりも歩きやすかった。

30分程歩いたら大通りに出た。車が普通に往来していた。…きっと、街を抜けたら車が埋まっていたりするんだから…。
街を抜けても車が走っていた。
みんな除雪に追われているのだろう、走行している車は少なかったけれど。

市街地は降雪量が少なかったのだろうか?
主要道路が多いから除雪車が早めに入ってた??
20センチちょっと位の高さで、歩きやすかったように思う。

後半2時間

歩き始めてから約2時間。彼の家と職場の中間地点の自宅に到着。家族は総出で除雪をしていた。
「車で送るかい?」父に声をかけてもらったが、これまたこの先の道路状況は分からないし、除雪も大変なので断った。

ここから副店長より授かった猶予時間内(2時間)に出勤する必要がある。
パパッと着替えを済ませて再び歩き出した。

自宅から職場までは、車で約20分。信号が少ない田舎ゾーンなので、距離的には前半戦とそんなに変わらない。
歩く人も車も少なく(そりゃそうだ)、心無し雪が多く積もったように感じた。

あと2時間…。
ズッポズッポ、転ばないように一足一足踏み締めて歩いた。遅刻しないことだけを考えて歩いた。車で来れていたのかな?と薄っすら思いつつ。

無事にお店に到着!!
猶予をもらったとはいえ、遅刻をしたことを謝り、労いあった。副店長は1時間歩いて来たらしい。
近距離の人が歩いたのならば、歩く選択をして間違えていなかったと安心した。

就業

さて仕事。
4時間近く歩いたのでヘトヘト。
身体はヘトヘトだけど、頭が非日常の興奮状態で仕事にならない。

年始早々のお正月期間で大雪の日。想定通り、お客さんなんて来やしない。スッカスカのスッカスカ!そりゃそうだ。

大雪で配送業者さんからの荷物は遅れている。そんな事も想定内。

当時のわたしの担当は食品管理。ベテランのスタッフさんも多く、わたしが一日くらい居なくてもお店は回るのだ。

彼の家に泊まった自分が間違えていたのだろうか?車で来ることを選ばないのが間違えていたのだろうか?
4時間分の労力が無駄だった気がしてならない。グルグル考えてしまう。
わたし、出勤しなくても良かったよね???

帰りは、副店長に自宅まで送っていただけた(助かった)
彼の家に置いてある、わたしの愛車は当日か翌日に取りに行ったように思う。その手段は忘れちゃった。

後日

後に、本社から表彰をされた。
大雪の日にお店のために4時間かけて出勤をしたことを喜んでいただけたのだ。お礼にと基礎化粧品セットを戴いた。
全く嬉しくなかった。

お店のためじゃないし、そもそも出勤したくなかったし、副店長の裁量に腹が立っていたからだ。

わたしなら遠距離にいると知った時点で、その人をお休みをさせていただろう。
同じ町に住んでいるスタッフに声をかけて、交代要請をしていたと思う。

表彰されたことで、顔見知りの店長達と話す機会があった。
「俺なら休ませてるわ」
みなさん同じ感想だった。

今の気持ち

大雪のニュースを見ると、この思い出が呼び起こされてイライラするわけですよ。笑い話半分、怒り半分な気持ち。
なんでだろう???

大雪でさ、車からの視界も悪く交通事故に気をつけなければならない。そもそも大雪の日に長時間歩く事はしない。先が分からない状況で時間制限もある。
使命感が優位だったけど、生命を守る緊張と怖さもあったのだろう。
安全を優先する対応をしてほしかったんだな。

大雪が降ったって出勤が当たり前の文化だからさ、副店長は真面目な方だったので、仕方ないと言えば仕方ないんだけどさ。

今振り返ると、副店長は引っ越してきてから年数が経ってなかったような記憶もある。
土地勘が無かったのかもしれないし、初めての大雪だったのかもしれないね?分からないけど。

でもな〜と思いつつ…、
noteのネタになったから良しとしよう( ̄∀ ̄)


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