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ネタバレあり『僕の殺人計画』感想

Youtuberやがみさんの著書『僕の殺人計画』を読んだので感想をつらつら書いていきます。
以下ネタバレあります。




何度も驚きがあった1冊で楽しめました。初めは立花の自惚れというか、高飛車というか、天才だと自覚している態度が苦手でした。
しかしそれも犯罪を告発する「第4章」が出てからは、立花がやられた姿に満たされて読んでいました。
それでも最終的には立花の計画の中だったとは、となりました。立花は好きにはなれませんが、話は楽しめました。

「僕の殺人計画」という「僕」とは? という疑問を抱えながら読んでいました。初めは「X(羽島)」だと思っていましたが、彼は本当に立花のファンで殺意はなかったのだろう、と思いました。
その後立花は羽島を殺すので「僕」=立花なんだと思いました。それは最後まで変わらず思っていましたが、ふとエピローグを考えると「僕」=「息子」という見方もできるなと発見しました。

立花は「獄中にいるのに殺人を犯すことが出来れば究極の殺人」と言っており、子供という媒介を使って誰かを殺すことを考えているので、息子も殺人を犯す未来は十分あるな、と。
自首すると決めてすぐに息子への手紙をたくさん用意できるのは、こうなることを予測していたため。つまり本当の完全犯罪は「誰にもバレずに羽島を殺すこと」ではなく「息子を使って獄中にいながら殺人を犯させること」、もしくは「息子を社会的・精神的に殺すこと」だったのではないか、と思います。
途中で「子供を悪人にするのは親」という話もありますが、息子すら自分の思い通りに動かす、ということを立花は考えていたのでは? と思います。
(小野寺の母は立花の思惑に気付いて止めようとしていた?)

またプロローグが、息子が殺人を犯したことを示唆する鍵になってきます。この場面は「涼介」が殺害したのか、されたのか、という状況にあります。このシーン、種明かしは無いですが、読んでいる最中は「涼くん」こと立花が殺されたのかな、と思い、途中からは捕まるシーンかな、と思うのですが、彼は自首するのでこんなシーンは生まれません。
そこで「涼介」は「涼くん」ではなく「息子」なのでは、という説です。
ずっと名前が明かされていないことはプロローグのためなのではないか、と考えます。
また涼介=息子だとすれば、赤い花が玄関にある描写もプロローグとエピローグでつながります。

羽島の舞台装置感はありますが、西本ゆいも回収されて満足です。結構考えられてて面白かったです。

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