これはある虎のお話です。 その虎は今になっては遠い昔、遠い国のお姫様のもとにいました。 お姫さまはたいへん美しく賢い人でした。 王様のもとに仕えています。 二人の間には儀式のようなものがありました。 夜毎、眠る前にお姫さまが王様にお話を語るのです。 毎晩です。 もし語らなかったらどうなるのでしょう。 王様はお姫さまを処刑してしまうのです。 このお姫様だけではありません。 今までこの王様に召された女の人はみな次の朝には処刑されていたのです。