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わしの日常(2022年5月)

今月は2つのマラソン大会にエントリーしている。両方とも100㎞の部。しかも2週連続だ。
ちょっと無謀じゃないか? いや、2つとも完走したらカッコいいじゃないか。
二兎追う者は一兎をも得ずにならないか? いや、両手に花ということもある。
弱気と強気が交互に湧きあがり収拾がつかない。少しでも自信をつけるために、1ヶ月以上にわたり本気で禁酒・禁ポテチを断行し、さらに「バックランジ」という筋トレも朝・昼・晩と毎日みっちり行った。その結果、鏡に映った自分を見ると心なしか少し引き締まったように見える。「よし準備はできた、大丈夫だ!」

5月22日 山口県 周防大島ウルトラマラニック


午前4時55分。スタート5分前。大会MCのトモティさんが場を盛り上げる。スタート前のこの一種異様な雰囲気。これはやはりリアルな大会でこそ味わえるものだ。
期待と不安、自信と過信・・様々な想いが交錯する。周りは今から100㎞走ろうという強者、いや変わり者、いや変態達ばかりだ。傍目からは僕もその一人に見えるのかな。やがてカウントダウンが始まる。3・2・1・スタート!これだ。この瞬間が好きで僕は何度もウルトラマラソンにチャレンジしているのだ。

ここに再び戻るのは何時間後だろう?

2時間経過。ずっとアップダウンの繰り返しだ。今更ながら、島というのは一つの山でできているということに気づかされる。上り坂のあと下り坂、しばらく平地があるかと思えばまた上り、下り・・。

7時間経過。50㎞地点通過。まだ半分、もう半分、捉え方は人それぞれ・・。

12時間経過。75㎞地点通過。走り続けることが出来なくなっている。数十m走ると、しばらく歩く。そしてまた走る。だけど脚を動かし続けなければならない。止めた瞬間、レースは終わり・・。

13時間経過。80㎞地点のエイドステーション到着。残り20㎞を午後9時までの3時間で走らなければならない。
どうだ、行けるか?自分の気力と体力に問いかけるが何も答えが返ってこない。
「ここでリタイヤします」声を震わせ大会スタッフに告げる。

5月29日 島根県えびす・だいこくウルトラマラソン


周防大島から1週間。脚の調子は驚くほど良い。痛みはまったくない。今週は「鶏むね肉」を使った料理ばかり食べてきた。
南蛮漬け、照り焼き、フライ、ステーキ・・全て自分で調理し、朝昼晩食べ続けた。もうすっかり飽きたが、疲労回復と筋肉増強の効果はあったようだ。

この大会は4度目の挑戦で過去3回はいずれも「未完走」に終わっている。毎回走りながら「もう2度と出ない」と誓うのだが、エントリー受付開始になると申し込んでしまう。一種の麻薬だ。恐ろしい。

午前5時30分、スタート。美保神社からしばらく海沿いを行き、やがて山に入り島根半島を縦断して日本海側に出る。例年だとこの辺りから既に息が切れるのに今年は違う。先週の周防大島がちょうど良いウォーミングアップになったようだ。

コースから須々美海岸の鬼の洗濯岩を見下ろす

4時間経過。31㎞地点通過。アップダウンの繰り返しにうんざりしながらも脚は動いている。

9時間経過。61㎞地点通過。脚が痛い。いや、気のせいだ。痛いような気がするだけだ。鍛えてくれてありがとう、と脚が言っているだけだ。

それにしても、僕の前にも後にもランナーの姿がまったくない。もしかしてコースを外れていないだろうか。

10時間経過。65㎞地点。後から自転車が近づき僕の前で止まる。「最後尾」と書かれたゼッケンをつけた大会スタッフだ。
「制限時刻になりました。ここで競技を終えて、収容車に乗ってください」今年もまたダメだったか。悔しい気持ちと裏腹に、ホッとしながらいそいそと車に乗り込む自分がいた。

わざわざ迎えに来てくれてありがとう、とお礼を言いたい


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