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記憶のなかの微笑
私たちの前に1台の車が止まり
後部座席の窓がスーッと開く
そこにいたのは・・・・・・
モータースポーツが好きで
10代の頃からF1を観ていた
なのに、50代の現在までF1を語れる友達には
1人しか出会えていない
その友達とは20代の頃職場で出会い
今風?に言うと
彼女は「ミカ・ハッキネン」
私は「ミハエル・シューマッハー」 推し
一緒に観に行こうよ!と意気投合し
さっそく彼女が探してくれたツアーに参加することになった
新婚旅行で参加している方がほとんどだったので
それ以外での参加の数人とグループになった
観戦後の集合場所が、ドライバー達が宿泊している
ホテル前だったのでほとんどの人はお目当てのドライバーさんに
会うことができたんだけど、私だけ叶わずにいた
そこで、グループのみんなで「入り待ちしようよ」ってなり
決勝の朝パドック入り口へ向かった
英語ができる子が、係の人に聞いてくれた
「シューマッハーはいつも一番早く来るから
もうとっくに入っちゃってるよ」
絶対に一番最後だと予想していたみんなは苦笑い
途方にくれる私たちに
「アイルトン!アイルトンが来るぞ!」とカートに乗ってきた
おじさんが後ろを指さしながら叫んでいる
日本人な私たちは、予想外の展開に「絶対なんちゃってだよ~」
といって信じなかったが、もしものために役割を決めた
「ボクは英語ができるから話しかける」
「こっちは写真班」など
私は「あんたはただそこでみてればいいよ」と
何もしない役割をいただいた(笑)
そんなこんなで数分後・・・・・・
なんちゃってじゃなかったのだ
あのアイルトン・セナが目の前に
後部座席にもたれて足を組み
身体をななめにしてこちらに向けて
微笑ながら手を振っている
ほんの数分、数十秒かもしれない
私たちのためだけの時間
ものすごいオーラ!
あっとうされて
だれも何もできなかったよね
役割を果たせたのは私だけね(笑)
その翌年だった
あの事故が起こったのは
遠い別世界の人だけど・・・・・・
まだ、あの笑顔とオーラが頭の中に見えていた
私と友達は、なんだかものすごい喪失感だった
あれからだいぶ時はながれていったけど
記憶のなかの微笑は私にずっとおしえてくれている
奇跡っておきるんだよ!
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