散文まる

何も浮かばない。煙草の火を消そうとしてまだ吸えると引き返す。下半身は下着から羽が生えている。あの人のことを思い出す。あの人も、あの人も、早く私に触れてほしい。ふたりでひとつの百均のサンダルみたいなやつが寄り添ってたてかかっている。3本の指でトイレットペーパーの芯を三つつまむ。使い物にならない乾いた柔らかい紙がはためいている。埃まみれの蓋を開けて磨いてない歯に不快になる。味わった後に冷静になり捨てる。無くした指輪をみつける。見つけてからの方が不安になる。腕の傷をみてみぬふりしたあの人の気持ちを思い返す。次見たときにどうとも言わないのかわからない。四つの車輪と共に石畳を滑る音と共にまたくるのかわからない。次は身軽だと手がつなげるが、人の目が怖いか、私に興味がなくなったかだ。好きと呼ばれるとうまく返事ができない。愛していると言われると好きとしか言い返せない。この病気が終わるときはわたしは二度目消えてうつわだけが残るだろう。いつ終わりますか。


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