短歌です。 「真夜中に小説を読み、学ぶのはアイデンティティを失う恐怖」 お時間があるときに、お読みいただけると幸いです。

真夜中に小説を読み、学ぶのはアイデンティティを失う恐怖

小島信夫の『アメリカン・スクール』という短編小説を読みました。芥川賞を受賞した作品でもあります。

主人公は英語を話したくない日本の英語教師で、舞台は太平洋戦争敗戦から数年後の日本です。彼は英語を話すと自分が「別のにんげん」になってしまうと思っています。彼の英語を話すことへの恐怖が一つの軸となって物語が進行していきます。

別の言語を話すと、自分が別の人間になるという感覚は少しわかる気がします。自分もフランス語を話すときには、ときおり、少しテンションが上がっている気がします。
そして英語は戦勝国、アメリカの言語です。当時のの人々にとって英語を話すということは、戦争、敗戦と、切り分けて考えることができないと思います。
そして主人公のアイデンティティ喪失への恐怖は、敗戦後の日本が抱えていた恐怖でもあるのではないかと私は想像しています。

村上春樹さんが『若い読者のための短編小説案内』という本で、小島信夫の『馬』という小説に対する考えを述べられています。そこでこの『アメリカン・スクール』にも少々話が及んでいました。
この村上さんの『馬』の読み方は勉強になりましたし、より面白く『馬』を読めたように感じます。

以上です。少し長くなりましたが、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。


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