しげきステープル

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しげきステープルです!DMMバヌーシー、YGGオーナーズクラブ、広尾サラブレッド倶楽部で一口馬主やってます。一口馬主を通じて競馬の見方や楽しさを書いていきたいと思います。 目指すはJRA馬事文化賞です!

最近の記事

コトヴィア〜いつかあのウィナーズサークルで〜6

ゲートが開いてスタートを切る。 「あっ!」 思わず声が出る。15番の青い勝負服のコトヴィアが半完歩ほど出遅れる。 (これくらいの出遅れなら大丈夫···) レースはスタートダッシュを決めた馬が勢いそのままに2番手を離しての逃げ。 (ペースは早そう。後方の馬もチャンスはあるかも) コトヴィアに目をやる。出遅れをリカバリーして中団よりやや後ろの外側を追走。コーナーワークでの距離ロスをなくすためにどこかのタイミングで内に進路を取りたい。しかし3コーナーにさしかかっても内に

    • コトヴィア〜いつかあのウィナーズサークルで〜5

      「もしもし。おー、今ゴール前にきたで」 「俺ももうゴール前におるで」 「えっ?どこや?」 「ほんまにゴール板の近くやで」 「あっ、おったおった!」 「ん?どこや?」 「右斜め前、見てみー」 「おー!見えた見えた!」 LINEの通話を切る。スマホでのやり取りはほぼ毎週しているが、面と向かって会うのは実に15年振りくらいだ。 「真平、久しぶりやな!」 「おー!スーツ着て気合入ってるな!」 顔は少し赤みを帯びていてほろ酔い気分のようだ。そんな真平は半袖のシャツ

      • コトヴィア〜いつかあのウィナーズサークルで〜4

        仁川駅の改札口(ここの改札だけなぜか競馬のゲートに見える)を出て競馬場へと向かう地下道を歩く。最初のエスカレーターを下りると裃を着た馬の置き物が競馬ファンを出迎える。このキャラクターの名前は分からないが、ここを通る時絶対にこの馬の頭を撫でる人がいる(だいたいおっちゃん)。そしてのこの日も競馬新聞に赤ペンを引っ掛けて歩いてるおっちゃんが裃を着た馬の頭を撫でている。 「今日も頼むでー!」 馬券が当たるようにお願いしてるようだ。一種の願掛けなのだろう。撫でてる人をよく見かけると

        • コトヴィア〜いつかあのウィナーズサークルで〜3

          レース出走予定3日前、木曜日 (もうすぐだな) そう思いながら仕事の片付けをして帰宅の準備をする。コトヴィアは前走3着。未勝利戦で5着以内に入った馬は1ヶ月以内に次のレースに出走する場合は優先的に出走する事が出来る。コトヴィアはその条件を満たしていたので今週のレースに登録した時点で出走はほぼ確定していた。  職場を出て車を運転して帰宅、その前に広尾のホームページを開く。口取り参加のページをクリックし口取りに応募する。3つ目の関門をクリア出来るか···あとは運を天に任せる

        コトヴィア〜いつかあのウィナーズサークルで〜6

          コトヴィア〜いつかあのウィナーズサークルで〜2

          2月に出走したコトヴィアはその後牧場へ戻り休養も兼ねた体力強化を行う。 そして6月、約4ヶ月ぶりのレースに出走しそこで再び3着に好走する。いよいよ勝利が近付いてきたのではとワクワクしながら次走の予定の発表を心待ちにしていた。 「レース後も脚元など特に問題ありません。この感じだと感覚を空けず続戦出来ると思います」 レースの2日後に厩舎からのコメントがホームページにアップされていた。 (という事は中2週くらいで出走してくるかな) そう思いながらカレンダーを見る。3週間後

          コトヴィア〜いつかあのウィナーズサークルで〜2

          コトヴィア〜いつかあのウィナーズサークルで〜1

          2023年2月  4コーナー5番手から良い手応えで上がっていく。 「よし!勝つぞ!」 そうつぶやきながら自然とウィナーズサークルの方へ歩き出す。レースは最後の直線へ。 「いけ!いけ!!」 段々と速歩きになる。しかし逃げた馬を捕える事が出来ず3着。 「あー!惜しかった!今日も入れなかったか···」 朝から降る雨の中、ウィナーズサークルの方を向いてると悔しさが込み上げてくる。 「今日も記念撮影出来なかったなー」 妻がそう言いながら傘を差し出してくれる。  レー

          コトヴィア〜いつかあのウィナーズサークルで〜1

          ロディニア〜個性派の弟〜7

          火曜日 私の勤務先は火曜日が定休日なので毎週火曜日は大体休みだ。平日が休みでも競馬メインに過ごす事が多い。この日も例外ではなく··· 「お父さん今日は休みなんやしたまにはお父さんに保育所送ってもらう?」 「いや!お母さんがいいの!」 私が休みの日は絶対といっていいほど行われる妻と娘のやり取りだ。娘はどうしても朝はお母さんと一緒に保育所に行きたいらしい。この頑固な性格、誰に似たのか。結局今日も妻が娘を保育所へ送っていく。妻はその足で実家に向かい家業である農業の手伝いをす

          ロディニア〜個性派の弟〜7

          ロディニア〜個性派の弟〜6

          ロディニアはその後11月末にようやく美浦トレセンに入厩。デビューに向けてまずはゲート試験に合格。年明け1月の中山競馬場で、兄パンサラッサの主戦ジョッキーだった吉田豊騎手騎乗でデビュー予定と発表された。しかしレース前の追い切りではまだ満足のいく動きが出来ておらず調教タイムも詰めれなかったため、再び育成牧場へ移動。デビューが一旦白紙になる。 育成牧場でしっかり調整をした後2月末に美浦トレセンに帰厩。再びデビューへ向けての調教が始まった。 2024年3月 「行ってきまーす」

          ロディニア〜個性派の弟〜6

          ロディニア〜個性派の弟〜5

          2023年3月 ミスペンバリーの21は馬名が決まり「ロディニア」という名前になった。そのロディニアだが募集を開始してから半年以上過ぎたが、依然売れ残っている状況だった。 しかし兄のパンサラッサがサウジカップを制すと弟のロディニアにも注目が集まり、どんどん売れて行き約1週間で満口に。ロディニア自体は特に何かが変わったという訳ではないのだが···こうして弟にも期待が高まっていく。 そんな頃真平から連絡がくる 「YGGに入会したぞ!それともうすぐ広尾にも入会予定!あくまで最

          ロディニア〜個性派の弟〜5

          ロディニア〜個性派の弟〜4

          2022年6月 そろそろカタログが届く頃だ。仕事終わりの車の中で思う。ホームページ上では既に募集馬のラインナップ、価格、馬体は見る事は出来る。でもやっぱり紙ベースのカタログを見る方がいいんだよなぁ。アナログ人間、時代に取り残されないようにはしたいが。 帰宅すると予想通りカタログが届いていた。夕食後、娘が妻のスマホでYouTubeを観てる隣でカタログを開く。倶楽部に縁のある血統の馬が今回は多い。その中でカタログが届く前から気になってた馬のページを見る。 ミスペンバリーの2

          ロディニア〜個性派の弟〜4

          ロディニア〜個性派の弟〜3

          「DMMは2000口募集で基本的には1頭につき4口までしか出資出来ないけど先着順で出資出来るからほぼ希望の馬に出資出来るよ!募集馬の血統レベル、質はシルクやキャロットと遜色ないと思うで。ただ募集馬はセレクトセールで仕入れてくることが多いから価格はちょっと割高な感じ。 広尾サラブレッド倶楽部は新規会員は4口分馬代金無料で出資できる。但し馬の当たり外れがかなり大きいイメージ。パンサラッサみたいな馬を見抜いて出資出来ればええけどなぁ。 YGGは渋めのダート血統馬が多め。来年から

          ロディニア〜個性派の弟〜3

          ロディニア〜個性派の弟〜2

          サンデーレーシングと一口馬主というワードを見ただけでテンションが上がる。 ストーリーをアップした主は森村真平。高校時代の同級生。当時から競馬と野球が好きで意気投合。それまでは同年代で競馬の話をする相手がいなかったが←よくよく考えると当然かもしれない)真平は話が合うどころか私よりはるかに多い競馬知識をもっており、国内の血統はもちろん海外の血統にも精通していた。何を聞いても返答が返ってくる。「歩く血統辞典」って感じだろうか。当時ダビスタ、ギャロップレーサー、ウイニングポストをし

          ロディニア〜個性派の弟〜2

          ロディニア〜個性派の弟〜1

          正月休みも終わり、世間では仕事初めという空気感の中、観光施設で働く私はこれからようやく休みがとれる。世間とは逆の動きだ。  久々の休み、妻と娘と3人でドライブがてら初詣に行く。目的地は徳島の薬王寺。妻が厄年の時に参ってから毎年行くようになった。車で片道約2時間の距離。ドライブが好きな私にとってはちょうどいい所要時間だ。ただ3歳の娘にとっては2時間も車の中にいるのはさすがに退屈なようで、しまじろうとアンパンマンのDVDは車の中に常備しておく。困った時はアンパンマン、神だ。

          ロディニア〜個性派の弟〜1

          ゴールドブレス〜蘇る名馬の記憶〜4

          ゴールドブレスのデビュー当日。土日は基本仕事の私はこの日も普段通り仕事へ向かう。 (土日が仕事って一口馬主にとっては痛いなぁ。でも仕事をしないと家族を養えないし、もちろん一口馬主も出来ない。だから仕事をするんだ!) 出資馬が走る時はいつもそう思う。もう何千回同じ事を考えた事か。そんな事を思って仕事のモチベーションを保っている。  小倉競馬の6レース12時30分過ぎの出走、もうすぐだ。小倉は天気が悪いようで馬場状態は重馬場。初めてのレースだから出来ればきれいな良馬場で走っ

          ゴールドブレス〜蘇る名馬の記憶〜4

          ゴールドブレス〜蘇る名馬の記憶〜3

           ブーケドロゼブルーの21はその後出資者から馬名を募り、投票の結果「ゴールドブレス」という馬名になった。父ゴールドシップの「ゴールド」に息吹という意味の「ブレス」。黄金の血脈の覚醒を願って、とホームページに書いていた。そんな想いを背負い(馬自身はそんな気はないだろうが)デビューへ向かっていく。  ゴールドブレスは2歳の1月時点では400kgにも満たない小柄な馬体だったこともあり、馬体の成長を優先し、栗東トレーニングセンターへの入厩は11月と少し遅くなった。しかし小柄だった馬

          ゴールドブレス〜蘇る名馬の記憶〜3

          ゴールドブレス〜蘇る名馬の記憶〜2

          2次募集馬のラインナップでは馬格も小さく募集開始後数ヶ月が経ってもまだ売れ残っていたブーケドロゼブルーの21。兄弟達もそれほど目立った活躍馬がいない。しかし私はこの馬の血統表を見てある名馬の思い出が蘇ってきた。  このブーケドロゼブルー、実はコスモバルクの妹なのだ。 コスモバルク  2003年、当時私は19歳だった。俊と同じ専門学校に通ってたその年の年末の2歳重賞レース「ラジオたんば杯2歳ステークス」にコスモバルクは出走した。地方競馬のホッカイドウ競馬に所属の馬、そんな

          ゴールドブレス〜蘇る名馬の記憶〜2