私服の高校の卒業式、ブス子の場合

季節外れではあるが、高校の卒業式のことを書きたい。卒業シーズンには、病みすぎて書けなかったのである。

女子は、振袖や袴姿の女の子が多かった。
洋装の子も、結婚式のお色直し用のカラードレスの中古のを買って来ていた子もいた。シースルー生地のドレスを来ていた子もいて、クラス中の男子が「あれがシースルーか」と色めきたっていた。
 
男子は、普通のスーツの子が多かった。そのまま大学の入学式にも着るのだろう。

女装した男子生徒もいた。クラスの男子全員にも女装するように提案したのであるが、「親も来るから」と言って皆断わり、女装した男子は一人だけであった。

私はモノトーンの地味なスカート姿であった。テーラードカラーのジャケットも着て、地味ではあったが、カジュアル過ぎてはいなかったとは思う。

母は、私に卒業式には振袖を着せたかったのだった。私が振袖を着なかったことに母は大ショックを受けていたが、私は地味な洋服で良かったと思っている。何故ならば、私が国立大学前期試験に落ちたことについて、本人以上に同級生に衝撃が走っていたからだった。一番ショックを受けていたのは、担任教師であった。卒業式の日に私に酷い言葉を浴びせてきた。酷い言葉を浴びせる時以外には、私と目を合わせようともしなかった。実際の所、私より成績が下だった子達が大勢現役で受かっていたのだ。

母は、そんな私の気持ちを汲むことなど、全く考えなかった。母は、ただただ、自分の心が傷付いたことだけを私に攻撃してきた。自分の心が傷付いたことだけをギャーギャー騒ぎ、人を傷付けたことについては全く頓着しない人間である。自分が傷付いたことだけを恨み、娘の成人式には振袖を着られないように邪魔する人間であった。

そんなこんななので、大学の卒業式にも振袖を早々に諦め、スーツで参加したのであった。
 


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