88 思考が止まると智慧が生まれる

 とにかく私が言いたいことは「なぜ思考をするのか?」ということです。なぜ、雑念があるのかと言えば、分からないからなのです。思考は推測です。外れる可能性は大いにあります。我々は、思考を大事にして生きています。不確定で不安で、正解か不正解かわからない世界でびくびくして生きているからです。それで怯えが現れます。不正解だったら恥ずかしいと自我が傷つく。悩み苦しみが生まれる。あれやこれやと問題が実にいろいろ起こるのです。だから「いったん思考を止めましょう」と言います。無理だと思うかもしれませんが、無理であることも知っています。しかし、続けていけばいつかは思考は止まります。いつか思考を止めることができたならば、逆に言うとどういう状態でしょうか? すべて知った状態なのです。考える必要はなくなったのです。この状態を智慧というのです。そこまで瞑想を進めなくてはいけないのです。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第2章 仏教の教えを理解する《修行》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【観察 「生きる」という謎を解く鍵 想田和弘氏との共著 (2018年) P305】

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