75 仏教が否定する「邪見」の正体

 仏教が語る邪見は、「仏教だけが正しく、他宗教の教えは異端だ」という話ではありません。また、仏教以外の教えを信仰すると地獄に堕ちるという脅しでもありません。物事は原因によって現れます。その原因がなくなると消えます。これは因果法則です。ですから、いま現在の現象は、ある原因と条件によって現れるものです。我々は、原因と条件を変えることによって結果を変えることもできます。これくらいのことは、事実です。誰にも否定できません。絶対的神様を信仰したり、唯物論を語ったり、道徳を否定したりする人々もいますが、原因に結果がないとは言えないはずです。神を信じる人々は、因果法則と業を何の躊躇もなく否定します。しかし、厚顔無恥にも、神を信仰すれば最後の審判で裁かれない、永遠の天国に生まれ変われると言うのです。その話は、たとえ内容は間違っていても「原因と結果」の話であることに気づかないのです。邪見とは、一言でいうならば、因果法則の否定です。因果法則によって生きていて、因果法則を否定するならば、その人の思考は相当おかしいです。支離滅裂な話を真面目に信じるなら、それが邪見ということです。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第2章 仏教の教えを理解する《仏教》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【瞑想経典編 ━ ヴィパッサナー実践のための5つの経典(2013年 p42】

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