211 瞬間瞬間の行為に集中する

 生きるとは、今の瞬間、何をやっているかということです。今の瞬間、この〈からだ〉が何かやっている。それが生きる、ということです。人生とは、瞬間の一つひとつで成り立っているのです。その瞬間ただ座っている。歩いている。本を読んでいる。人と話している、考えごとをしている、料理している、歯を磨いている。その瞬間にやっていることが、まさに生きるということです。それ以外、何もないのです。それ以外に神秘的な世界というものなど、ないのです。その瞬間瞬間の自分の行為を見るのです。一つひとつに集中していくと、次にやるべきことが明瞭にわかってきます。その瞬間に人生のすべてが入っているんです。その瞬間の出来事が真珠のひとつの珠のようなものなんです。それこそ、仏教がすすめる智慧の世界なのです。智慧のないひとは、人生をすごく大雑把にみてしまいます。なにか神秘的なものととらえたり、形而上学的なことを言い出したりします。そういった観念によって、足を引っられるのです。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第4章 幸福に生きるための秘訣《今を生きる》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【スマナサーラ長老の仏教塾(2016年) p104】

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