イギリステレビミステリドラマ『ルイス警部』を語る

 『ルイス警部』は現在(20230924)、衛星放送BS12でシーズン5が放送されています。週末の土日に放送され、この二日間で事件発生・捜査・解決までが描かれるので、いつも日曜の午後に二日分の録画を観ています。

 このドラマは、『主任警部モース』シリーズのスピンオフ(派生作品)で、モース警部の元相棒ルイスが活躍します。
 警部となったルイスの部下は、ハサウェイ巡査部長なんですが、私はハサウェイというと、アン・ハサウェイを連想します。といっても、アメリカの女優のアン・ハサウェイではなく、シェークスピアの奥さんのアン・ハサウェイです。奇しくも同姓同名です。(なお、今まで女優アン・ハサウェイについて、シェークスピアの奥さんと同じ名だということを誰にも同調されたことがないので、私一人の思い込みかと不安になったことがありました。)
 ルイス警部の活躍するのは、モース警部と同じで、大学の街オックスフォードです。

 実は私は、『主任警部モース』よりも『ルイス警部』の方が好きで、特にハサウェイ巡査部長とのコンビでの捜査のテンポの良さに好感を持っています。
 ルイスもハサウェイも感情を前面に出さないタイプで、このキャラクター造形によりオックスフォードの司法警察の捜査の客観性と公平性が担保されているような印象を作り出しています。
 犯人は、殺人を犯すくらいですから凶悪ですが、警察に発砲するということはありません。だから、警察も応射の必要がありません。そのため、最後まで静かに物語が進みます。ドラマ終盤に銃撃戦となる展開もいいのですが、淡々と警察力が犯人を追い詰めていき最後は自白させるというのは『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』のようで好きです(『ルイス警部』は倒叙式のドラマではありません。犯人は最後まで解りません。)

 ルイスは元上司であるモースと同様に、すぐパブに行きたがります。飲むのは黒ビールに見えますが、それを少しずつ飲みます。日本人はビールをグビッと飲む人が多いと思いますが、ルイスもハサウェイも違います。なぜかちょっとずつ飲みます。そして、あまりツマミ類を食べません。

 このドラマの犯人は、凝ったトリックを仕掛けたり、絶対的なアリバイ作りをしたりということはあまりしないようです。事件捜査と並行して真犯人による新たな犯罪が起きて容疑者が殺され、捜査範囲が狭まるので通常の能力がある警察官ならいずれは犯人にたどり着きそうですが、捜査途中に妙な邪魔者が入ったり、捜査に不当な圧力が掛かったりしてルイスとハサウェイを苦しめるので思わず二人を応援したくなります。

 イギリスの警察組織については、「ロンドンにスコットランドヤードというのがある」くらいしか知識がないので、殺人事件の捜査チームがルイス警部とハサウェイ巡査部長の二人だけでは人員的に手薄ではないかと思いますが、英米では捜査官の権限が日本より強いそうなので、「そういうものかな。」と思って観ています。

 そういえば、フランスの小説に予審判事が出てくることがありますが(例えば、カーの『夜歩く』のバンコランなど)、この予審判事は容疑者を起訴すべきかどうかを決める権限を持っています。日本ではこの権限は検察官が持っています。だから、このことを知らないと「なんでここに判事が出てくるんだろう?」と疑問に思っちゃいます。

 外国の小説や映画を読んだり観たりするときには、「ある程度その外国の制度や歴史を調べなきゃ。」と思います。

以上
 
 

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