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八月革命って (1025文字)

『憲法学の病』(篠田英朗著 新潮新書)の223ページから宮沢俊義教授の「八月革命説」についての批判が書かれています。
 私は、この説は明治憲法の憲法改正条項から日本国憲法(新憲法)が成立し得ないという制度上の欠陥を、日本国のポツダム宣言受諾を一種の革命と位置づけることによって治癒し、日本国憲法の有効性を説明したものと理解しています。
 実際には、さきの大戦中も大戦後も日本において革命など起きていないので、敗戦の決断であったポツダム宣言受諾を「革命」と同じくらいの法制度の転換となった出来事とみなすものと思います。

 この『憲法学の病』は、日本の憲法学者を問題視し糾弾する内容の本ですから、「八月革命説」を批判する姿勢はこの本の趣旨に沿ったものであり、また批判の筋も通っていると思います。

 私も「八月革命説」は、GHQの占領政策下における日本の法制度の手続き的一貫性の無さを補うアイディアという以上に有用性があるとは考えませんが、論理的には大きな綻(ほころ)びがなく、学説の一つということなら受け入れることが可能と思います。
 ただ、失礼ながら宮沢教授の弟子筋の方々が無批判にこの「八月革命説」を唱(とな)えるというのは、学者として法律学を尊重する姿勢が不足しているのではないかと感じます。
 敗戦直後の日本は、GHQに迎合しようとする派と、独立国としての日本の主張を通そうとする派があって、この両派の争いが続いていたと思いますから、大学においてもその争いの余波が及んでいて様々な議論があったろうと思います。
 また、GHQ内部でも派閥争いがあり日本の占領政策が一貫していなかったり、武装解除から一転して警察予備隊を創設したりと混乱に次ぐ混乱でしたので、GHQは日本国憲法作成に関しても「日本は憲法を作ればいいんだ。明治憲法との繋がりなんか知るか。」と思ったのでしょう。

 私は日本国憲法については、個人的に専門書を読んだだけですから、あまり立ち入ったことを書くことができません。だから、「八月革命説」を評価する資格がありません。

 でも、そろそろ日本国憲法が改正されそうなので(世論調査でも過半数の国民が憲法改正に賛成しています。)、「マスゴミや文化人やコメンテーター、それに一部政治家や一部政党、の声高な主張ではなく自分で本を読んで自分で考えて憲法改正国民投票に臨みたいと思っています。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #八月革命説 #憲法改正国民投票

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