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京成電車で下町散歩

 京成電車に乗って東京下町散歩に出かけた。今回の目的地は、墨田区京島の「たちばな商店街」だ。

 「京成電車」は、東京(上野)から成田山新勝寺への参拝客を運ぶ電車として開業したが、今では路線も増え、終点も成田空港に変わり、さらに京浜急行と乗り入れて西の終点は羽田空港や三浦半島の三崎口まで延びている。

出典:京成電鉄HP 路線図

  また、東京の下町巡りには便利な支線や乗り入れ線がたくさんある。商店街を中心に、ちょっと足を伸ばす範囲に限っても、京成沿線で言うと、柴又、堀切菖蒲園、立石、曳舟などがあり、乗り入れている地下鉄沿線には、浅草、人形町、戸越、さらに京浜急行に入れば、青物横丁など、魅力的な街が目白押しだ。

 今回私は、「京成本線(成田〜上野)」で青砥まで行き、スカイツリー線に乗り換えて京成曳舟駅で降りたが、青砥までは京浜急行の新型車両で、成田空港発三崎口行きという中距離電車だった。

 京成曳舟駅から5分ほど歩くと、たちばな商店街の入り口に着く。「下町人情キラキラ橘商店街」アーチがかかり、全長470メートル、幅員5メートルの商店街が始まる。約80店舗が営業しているそうだが、食料品店が多く、魚・肉・八百屋の他、揚げ物、煮物、焼き物、練り物など様々な惣菜屋が目立つように並ぶ。

 外食店は、蕎麦屋と喫茶店(なぜか、「コーヒーとうどんの店」と書いた紙が貼ってあった)が一軒づつあった。場所が限られているのと、住民は、惣菜を買って家で食べるのだろう。 

 行き交う人は地元の、やや高齢者が目立つ。夕方には、多分もっと賑わうのだろう。秋や冬の夕方にまた来てみよう。

 前回来たのは、20年近く前だ。雪が舞い始めた日の夕方で、東京の下町を撮っている写真家の案内で、この京島界隈を巡り歩いた。寒いので、思わずおでん屋に立ち寄り、ちょっとつまんだが、一つ100円もしなかった。散歩が終わり、商店街のはずれの居酒屋で皆で飲んだが、帰る頃には大雪になり、京成電車が止まらないか心配しながら帰った思い出がある。この20年で景色もずいぶん変わっていたが、人もまた同じだけ歳をとったのだろう。

橘商店街の南側の入り口。午前中なので、まだ人通りは少なく、店を開ける準備をする人が中心だ。
古くから続くコッペパン中心の調理パンの店。外から覗いただけだが、一個100円台のパンが多かった。
魚屋には、ちょっとした水産惣菜も並ぶ。
八百屋さんが店の片隅で朝採れとうもろこしを茹でていた。「写真? いいよ!」
植木鉢の植栽を並べるのが下町風。床屋さんも緑に埋もれそう。
古いブロマイドやSPレコードなどを売っている店。行き帰りに見たが、お客はいなかった。
この床屋と布団屋は、看板はあるが、営業は終わっているようだ。
昔寄ったおでん屋が朝から営業していた。寒ければ私も買っていた。
ちょっと視界が開けるとスカイツリーが見える。

  帰路、前から気になっていた、京成本線立石駅から広がる「立石駅通り商店街」に立ち寄ろうか悩んだ。タワーマンションを建てる再開発計画が進んでいるそうで、駅にも建設用シートがかぶさり、線路も切り替え工事が進み、旧商店街はシャッター通りになっているようなので、見送った。また一つ消えてしまうな。

 さて、今回橘商店街を選んだのは、2週間前に立ち寄った、谷中銀座商店街の経験が影響している。京成電車では、日暮里駅が近い。私は、荷物を届ける用事があり、車で行ったが、ちょうど昼時になり、せっかくだからと、蕎麦でも食べようと、谷中銀座を訪れた。

 日曜日だったせいもあるのだろうが、観光客でごった返していた。若い人、「山手風」の服装の中高年、外国人観光客も多い。どの店の前にも人だかりがあり、「有名なメロンパン」の店には、長蛇の列ができていた。メロンパンというのは、そんなに並んで食べるものなのだろうか?驚きの値段は書かないでおく。

 実は、谷中銀座は30年ぶりだったが、なんでも高くなっていた。海老一尾、南瓜、ししとう、生姜各一の天ぷら蕎麦¥1,500はしょうがないにせよ、入りかけて引き返した喫茶店のコーヒー¥750、2時間未満の駐車料金¥1,500は、下町の商店街らしからぬ観光地料金に思えた。

 もう40年行っていないが、東京の商店街の王様は、戸越銀座だと思っている。次回の目標にした。

(了)

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