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潰瘍性大腸炎患者の就職面接

伝えるか、伝えないか

 潰瘍性大腸炎を患っていることを就職活動の時に相手企業に伝えるか、伝えるとしたらいつ伝えるのか、という問題はよく話題として見かけます。
 実情としてはやはり、病気を患っている事実は就職にマイナスに作用すると思われます。この点はリクルーターに聞いても同意見で、たとえ寛解状態であったとしても、定期的な通院を必要としている時点で大きなマイナスになるようです。
 一方で、伝えずにいた場合、採用まで至ったとしても「重大な事実を告知していなかった」等の理由で内定取り消しになる可能性もありますし、健康管理の面で不安が残るのもあります。
 私としては、内定取り消しのリスクを考えて(健康診断等でどうせバレてしまうので)、書類選考等の早い段階で相手企業に伝えておくのがいいだろうと思っています。その段階で病気を理由に選考外とする企業であれば、おそらく採用されても体調面で大きな苦労をするだろうと思っています。
 また、大企業(または公務員)か中小企業か、という選択もあります。大企業や公務員は福利厚生が充実している場合が多く魅力的ですが、等質的な人材を多く採用したい意向があるため、潰瘍性大腸炎患者は初期の選考段階で弾かれます。潰瘍性大腸炎患者に限ったことではないですが、例えば転職の場面では大企業においては「新卒での就職後、続けて3年間勤務したこと」がスクリーニング条件になっている、といった話があります。一方、中小企業は福利厚生が充実していない(時には法定の健康診断すら怪しい)ですが、場合によっては個別具体的な事情を配慮してくれるところもあります。しかしそもそもそのような優良な中小企業は発見が困難な上、求人がでていることが稀(よい企業であれば退職者がでることは少ない)で、偶然よい休職している中小企業を見つけて、偶然スキルセットが適合して、となると、現実問題厳しいのはあるだろうと思います。

「病気」をアピールポイントとして使う是非

 書類選考等の段階で相手企業に伝えるときに、多くの潰瘍性大腸炎患者(に限らず、何かしら病気をした人)が使うであろう表現があります。

「病気になって弱い立場の人の気持ちが分かるので、その経験を活かして弱い立場の人のために~していきたい」

といった内容です。
 自分も結構な回数使っていると思いますが、やめた方がいいのだろうなと思っています。

よくない理由1

 人事担当の面接官等は、そういったエントリーシートを見飽きているだろうと思うからです。
 「自分が弱い立場に立ったから」という経験を活かす、という内容ですが、人は誰しも弱いポイントがあるものです。病気もそうですが、極端な例でいえば「女性」というだけで弱い立場になることも残念ながらあるでしょう。しかし昨今の政治の場面などで「女性ならではの発想を活かして」などと表明するのを見る限りでは、あまりうまい戦略ではなさそうな印象です。

よくない理由2

 結局のところ、「それは弊社にどのように役立ちますか?」ということになるからです。
 企業は利益を追い求めているので、利益に繋がらないのであれば「弱い人のために~~する」ことはありません。また、「弱い」立場の人は企業のターゲットゾーンからは外れていることが多いです。女性を「弱い」立場とするならばまだしも、特定の病気の患者は絶対数としても多くないため、仮にターゲットとすることがあっても多くの利益は見込めない対象となります。企業としては社会的な評判のためにそういった弱者に対しても配慮があることを示さねばなりませんが、特別な対応をする分の余計なコストがかかっている部分であろうとは想像できます。

仮に「病気」をアピールするならば

 それでも「病気」をアピールするならば(実際問題、あまり社会経験を積めない環境に長くいることになるので、それぐらいしか書くことがないという実情はあります)、エピソードに具体性を持たせるのが改善手段になるのではないかと思います。
 例えば、「毎日の記録、睡眠時間や食事内容、行動内容を詳細に記録し、何が体調悪化の原因に繋がっているかの分析を長期にわたって行い、その結果自分にとって影響が大きいポイントはこういうことだと見出したので、改善のためにこんな努力をしている、こんな対策をとっている」というものであれば、問題発見をして解決する能力があると評価されるのではないでしょうか(これもたぶん、面接官は見飽きているパターンだとは思いますが)。
 他にも色々な書き方はあると思いますが、「つらい状況にあるあなたは、具体的にどんな行動をとるのか」を、客観的な様子を添えて伝えられるのがよいと思います。


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