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身近なところに潰瘍性大腸炎患者がいたら

 身近なところ、例えば家族、職場の人、同級生、その他毎日顔を合わせるような人が潰瘍性大腸炎だと分かったあと、どういう接し方をすればいいのか気になっているという人向け。潰瘍性大腸炎患者の視点から、こういった点に配慮がほしいという記事です。

症状の治まっているとき

 潰瘍性大腸炎患者といっても、ずっと寝ていなければならないものではありません。再燃期と寛解期とがあり、寛解期にはほぼ普通に活動できます。

 ここがまず一般的な認識で大きく誤っていると思われるポイントです。指定難病であるということから、「24時間テレビ愛は地球を救う」に出演しているような、寝たきりであったり、車いすや杖を使った移動しなければならなかったりといった難病患者のイメージを持つ人もいるかと思いますが、潰瘍性大腸炎患者においては、そのイメージはやや実態と乖離しているといわなければならないでしょう。元首相の安倍氏も潰瘍性大腸炎患者としてよく知られていますし、タレントやスポーツ選手の中にも潰瘍性大腸炎であることを公表しているしている人もいます。体調管理がうまくいっている状態の時は、潰瘍性大腸炎でない人とほぼ何も変わらないのです。

 したがって、基本的には普通に接してほしい、が、患者としての希望となります。

できれば、のお願い

 そういう前提の上で、できればこうしてくれた方が助かる、というものは、たぶん潰瘍性大腸炎患者でない人にもそうして欲しいものとそう変わらない気がします。たとえば、
・お手洗いの個室で、不要に長時間居座らない
 (たまに休憩のためか、お手洗いの個室で寝ていたり、スマホゲームをやっている人がいるようですが、そういうのは困ります)
・宴会や食事会の時に、過度な飲食を勧めない
 (辛いもの、脂っぽいもの、アルコール類等、量を管理すれば食べても問題ないですが、嫌といえない雰囲気で無理に飲食すればそれが切っ掛けで体調を壊すこともあります)
・理不尽なストレスをかけない
 (怒っている側からすれば理不尽でないのかも知れませんが、八つ当たり等は誰に対しても悪影響です)
等かなとおもいます。

 潰瘍性大腸炎患者は急な腹痛に見舞われることに(悲しいことに)慣れているので、一般的な場面においてはそれぞれ各自の対処法を編み出していることが多いです。周囲の人達は、その各自の対処法を妨げるようなこと(上記のようなことですね)を避けてもらえれば、あとは潰瘍性大腸炎患者のほうである程度対処すると思います。

いわれて悲しかった言葉

 多少記事の内容とは離れますが、潰瘍性大腸炎関連でいわれて悲しく感じた言葉は以下のようなものです。

・「私もお腹痛くなりたいものだわ」
 翌日病院のために休みます、と伝えたときにぼやかれました。若干立て込んでいる状況であったため、負担がその発言者にいってしまう状態でした。そういう状況で欠席になるのは確かに申し訳ない以外の何物でもないのですが、だいぶ前から欠席を伝えていて、色々段取りの準備もしていた上でのことだったので、がっくりきたのを覚えています。「障がい者がみんないい人って訳じゃないことを覚えとけよ」ともいわれました。詐病だと思われていたような気がします。

・「薬飲まないと生きていけない身体なんでしょ?」
 同級生からにやけながら揶揄される感じでいわれました。私は一体どのように答えるのがよかったのか、未だに分かりません。

・「そろそろ治ってもいい頃なんじゃない?」
 数ヶ月不調が続いたときにかけられた言葉でした。どうやら仮病と思われていたらしく、そろそろその仮病をやめろ、ということでした。

症状があってつらい、ということを理解してほしい

 安倍元首相に対する風当たりを検索すると、潰瘍性大腸炎患者に対する揶揄は色々探し出すことができます。彼への評価は政治的な側面も含まれているのは確かですが、政治的な面はおいておくとして、同じような揶揄(「お腹が痛いだけで仕事を投げ出した」、「都合が悪くなると病院に逃げ込む」、「都合がいいときだけおいしいもの食べられる」等)をする人は確かに存在し、そしてそれらの揶揄は潰瘍性大腸炎患者に対しては等しく浴びせられるものと考えた方がいいでしょう。
 この記事を読んでくれているような人は、おそらく潰瘍性大腸炎患者を理解しようと努力している人なので、症状がつらいときがある、寛解しているときもある、といった病気の特性も理解していて、上記のような揶揄をする方は少ないかと思います。一方で、その相手を否定的に評価したいがために潰瘍性大腸炎を不必要に持ち出す人もいるので、どうかその辺はしっかり切り分けてほしいです。

(潰瘍性大腸炎を言い訳に使っている人、確かにいると思います。私も心が弱って、病気を言い訳にしていることがあると思います。ただその指摘に踏み込むのは注意を要することで、頭に血の上った勢いで口にしていいことではないというのは、考えてほしいです。)

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