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読書メモ「コーチングアジャイルチームス: スクラムマスター、アジャイルコーチ必携」

表記本を読んだので感想を記載します。

 アジャイルチームに対するコーチングの本です。アジャイルコーチ、スクラムマスター必携とありますが、まさに色々なシチュエーションでヒントとなる内容がちりばめられてました。コーチングの本というだけあって、答えというより、考えるきっかけをたくさんもらって、読んでいて前向きになれる本でした。原著は2010年の本ですが、まったく古さを感じませんでした。
 私はアジャイルコーチでもスクラムマスターでもないですが、これからの管理者/リーダーについてはこういった内容は必須だなーと思って読んでいました。

気になった点

今ここのプラクティス
自分の反応に気付き、意識的に行動を選びましょう。これは訓練して身に着けるスキルです。(中略)
自分が出会った人とどのように接しているかを常に感じ取っておきましょう。物として扱っているのか、人として考えているのかを把握してください。あなたの影響力を高めるため、より多くの時間をかけて、人を人として捉えるようにしましょう。

「第3章 自分自身を究める」より

 自己認識の重要性について書いていて、それはトレーニングで得られるスキルだと書いています。この辺の認知力は自分は本当に弱いと感じていて、今年はしっかり向き合っていきたいです。本書では出会う人のおでこに「O」(Object「克服対象」が見えるのか「P」(Person(人間)が見えるか意識して、Oが見えたら判断するのを止めて好奇心を強めましょうと書いてありました。こういった記載はとてもワクワクする示唆だなと思いました。

本書を読み、心から言葉を受け止め、自分の心と体に染み込ませていますか?あなた自身や考えを変えようとしていますか?もしそう思っているなら、この瞬間、あなたは完全に存在することになります。

「第3章 自分自身を究める」より

 自分が「今ここにいるのか?」という問いは本当に大事だなと感じました。

観察結果が「強化」と「深化」という2種類に分類される傾向があると気がつくかもしれません。
 「強化」は、アジャイルを堅持するような言動に気付くタイプの観察結果です。アジャイルのプラクティス、原則、役割、価値などを連想させるものです。コーチのメモには「良かったこと」や「おっと、これを見逃した」などと記録されます。
 「深化」タイプの観察結果は、グループ内部で起きていることを明らかにするケースが多いようです。グループに伝えるときには、「私にはこう見えたけど、あなたはどう思った?」というパターンになります。

第6章 ファシリテーターとしてのコーチ

 観察内容についての分類の考察でした。観察する中で上記のような区分を気付いている事自体がとても良い示唆だなと思いました。漠然としか観察できてないなと気づきましたし、その漠然と観察している内容からも何かしら自分自身の区分を分類できると学びが多そうだなと感じました。

ここで「チームビルディング」といっているのは、互いについて学び、共有の目標に向かってお互い協力し合うことです。ふわふわしたものは要りません。
 このような理解を深めるために、私が定番として使っているアクティビティは、「ジャーニーライン」「マーケット・オブ・スキルズ」「コンステレーション(布置)」「バリューズ」です。

第7章 教師としてのコーチ

 合宿でやったら面白そうなアクティビティだなと思いました。詳細のやり方も本に書いています。

私の教訓:問題はチームに持ち込む

第8章 プロブレムソルバーとしてのコーチ

 問題解決にすぐに動くのではなく、チームでしっかり問題に向き合うことが大事ということが書かれていて、身につまされました。

5段階のコンフリクトレベル
レベル5:世界大戦
・すべてをぶち壊せ!
・会話はないか、合っても少ない
レベル4:宗教戦争
・自分のグループを守ろうとするあまり、周りが見えていない
・妄信的な言葉
レベル3:競争
・解決より勝利
・個人攻撃が入っている言葉
レベル2:不同意
・協力より自己防衛
・言葉選びが用心深く、解釈が多め
レベル1:解決できる問題
・情報交換と協力
・オープンで事実に基づく言葉

「第9章 コンフリクトナビゲーターとしてのコーチ」

 とてもとても分かるメタファーでした・・・・。観察とレベルを下げる動きについて説明がありました。(「不満を聞く」「エネルギーを感じる」「言葉に集中する」「何もしない」「分析と対応」「構造を利用する」「種明かし」)

アジャイルコーチの失敗モード ※いくつかを抜粋
シーガルは、デイリースタンドアップの場に飛び込んできて、善意の観察やアドバイスの形でチーム中にプリッと落とし物をして、また飛び去ってしまう。
オピニオネーターは、頻繁に自分の意見を述べ、それに執着し、本来ならチームの中でディスカッションするようになるコーチングが必要なのに、客観性を失わせてしまう。
ハブは、チームメンバー間のコミュニケーションやタスクレベルの調整において「宇宙の中心」的存在として振る舞う。
バタフライは、チームからチームへ飛び回り、ご大層な知恵を授け、高尚な問いかけをしては去っていく。
ナグは、デイリースタンドアップの開始、ストーリーボードの更新、コミットしたタスクの完了など、チームの「リマインダー」として役立つ。

「第11章 アジャイルコーチ―の失敗モード、回復モード、成功モード」より

 本書ではどのような場合でも、コーチがいるべき場所が中心になる事はないとありました。この点はマネージャやステークホルダーとしても同様だあと思っていて、上記行動についてはギクっとするところがありました。この点も観察や好奇心がとても重要だなと感じました。

感想

 マネージャー、ステークホルダーとして組織で成果を上げるためにどうすればサポートできるか?といった点でも非常に良い内容が書かれた本でした。また、全体的に前向きで好奇心を刺激される記載が多く、一気に読むことができました。ありがとうございました。

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