人気鳥飼のM

私は鳥飼である。詳細は伏せるが、数羽の鳥と暮らしている。
鳥専用のTwitterアカウントもあり、毎日仲良しなフォロワーのかわいいインコや医者の有益情報を確認して有意義なTwitterライフを送っている。
しかし、同じ鳥飼といえど好きになれない人もいる。その中でも群を抜いて嫌いな人がいた。そいつの話をしたいと思う。
そいつは仮にMとする。

Mとは同じ鳥種を飼っているという繋がりで相互になった。
3桁のフォロー数に4桁のフォロワーを持つ人気アカウントのM。短期間でいくつものツイートが万バズしている。
初めは気さくで話しやすく、鳥を大切にする良い飼い主だと思い、仲良く交流していた。
しかし、実際は決して良い飼い主とは言えなかったのだった。

相互になった当時、Mは7羽という比較的多めの多頭飼いだった。しかも鳥種はバラバラで、大きさや性格にも統一感はなかった。そういった飼い主は多いので、私の主義とは反するけどまぁそういう人もいるだろうと気にしていなかった。
Mが1Kに住まう独身女性だと知るまでは。
いやいやいや。狭い。狭すぎる。何帖かは分からないが、20帖1Kのようなバカでか1Kなんてそうそうないだろう。写真からも、そういった特殊な部屋には見えなかった。

その後Mはイベントでマウスをお迎えした!とツイートしており、よくよく確認すると1Kの家で7羽の鳥の他にげっ歯類・爬虫類がいるという。絶句。正気の沙汰じゃない。
Mは無保温飼育(温度を調整しない飼育方法)だと言い、生後二か月の新入りインコがいても室温は20℃を切っている。爬虫類大丈夫か?
もうすでに辟易する内容だが、Mにはもう一つ悪癖があった。
ベテラン仕草である。
鳥類の飼育歴だけはそこそこあるMは、(といっても10年には満たなかったと思う 鳥は長寿なので飼育歴ウン十年はザラ)自分がベテランであるかのように振る舞い、その振る舞いから「Mさんすごい!教えてください!」と信者が群がっていた。
無保温に関してもMは「無保温は難しい、保温した方が楽だよw」と自分がベテランだから難しい飼育方法をとれるのだと言わんばかり。
なんかもう全てにおいてきしょいのでブロックした。
しかし粘着質な私はヲチをやめられず、最後までMを見続けることになるのだった。

ブロックしてからしばらくは見るのをやめていたが、なんだかTLがざわざわしているので見に行くと

小鳥が入ったケージの上にいるインコに中型インコが襲い掛かる動画を「注意喚起だ」とTwitterにアップしていた。
リプ欄では「襲い掛かる前の動作がない、いきなり襲い掛かった」「だから〇〇インコ(襲い掛かった方)って怖いんだよね」などとやり取りしていた。
この時、
ケージ内の小鳥は”てんかん発作持ちの中高齢”
ケージ上のインコは”小鳥より二回りほど大きいくらいの小さめサイズの中型インコ”
襲い掛かったインコは”手のひら大の中型インコで生後二か月・お迎えして間もない”
という感じ。
お迎えしたてのインコは環境にも先住鳥にも慣れておらず、緩やかに慣らしていく必要がある。それをMは自分にはべた慣れだから(ブリーダーのお陰)環境にも慣れたと判断したんだろう。何も見えていない。
先住鳥だって、いきなり自分よりも大きい生き物が急に生活圏に入ってきたのだから警戒するのは当然である。
小鳥に至っては自分の家の真上で巨体が取っ組み合って転がっていくという恐怖体験。
みんな可哀そうだ。
決して〇〇インコの衝動性が原因なのではない。トラブルを事前に防ぐ努力を怠り、慢心して離れた位置から呑気に動画を取るMが全て悪い。何が注意喚起だ。
しかも飛び掛かる前の予兆はある。どう見てもある。それは〇〇インコを飼育している人なら全員わかるだろう。
〇〇インコの飼育者なら、あの動作をした瞬間に飛び掛からないように抑えるはずだ。
しかしMはその動作がわからない。〇〇インコをお迎えして日が浅いからだ。何がベテランだ。

それから数か月後、てんかんのあった高齢期に差し掛かった小鳥は亡くなってしまった。
それは避けられないものだっただろうし、懸命に治療して看取ったのだろうから、否定することはなにもない。お悔やみ申し上げる。

問題はその後だった。
Mはよそのインコを保護した。迷子の個体ではなく、ロクに飼えない家庭からの引き取りというもの。命の危機ではなくケージから出してもらえないとかそういった内容で里子に出されていたインコだった。

話はそれるが、鳥類飼育者が最も恐れているものがある。感染症だ。
有名な物だとオウム病・PBFD・BFD・ボルナウイルスなどがあり、致死率の非常に高い病気である。治すのも困難で長い道のりになる。
鳥には犬猫のようなワクチンがなく、とにかく病原になりうるものを避けるしかない。
だからまともな鳥類飼育者は新しい個体を家に入れる場合、遺伝子検査と健康診断で感染症の有無を確認する。
遺伝子検査は2~3週間かかる為、結果が出るまで自宅内で完全隔離をして過ごすのが一般的だ。

さて思い出そう。Mは1Kに住んでいる。1Kって隔離場所あるのか?
…なかったようである。保護インコを家に連れてきて他のインコとの接触など普通にさせていたが、検査結果は出てないし隔離する気もなかったようだ。
検査結果すべて陰性でした!隔離場所ないからしなかったけどよかった!といった旨のツイートがあった。もはや検査の意味をなしてない。
因みに上記の感染症は雛の〇〇インコにとって感染しやすく命に危険があるものもある。なんかもう頭ハッピーセットすぎて言葉がでない。結果オーライでよかったね。本当に。
生後数か月のインコを「今の雛の姿を綺麗に残したい」という理由から外に連れ出してスタジオで撮影していたことも考えると、感染症に対してなんの危機感もないのだろうな。鳥インフル真っ只中の時期だったよ。
なんかもうシンプルに引くわ。

そんなMだがベテラン仕草は相変わらずブンブンで、保護という大義を果たしたことで信者も増加していった。
保護インコはオーストラリア系で水浴びを頻繁にする種類ではないのに、無理やり浴びさせてずぶ濡れになって動かなくなっていた動画をツイートし、かわいいかわいいと万バズしていた。世も末。

そして2023年6月
Mはインコ二羽を殺したとツイートし、アカウントを消したのだった。

詳細はツイートされていないが、飼育されている鳥類の死で飼い主が関わるものは「ロスト」「家庭内事故」「ペット同士の諍い」が大半を占める。
ロストだとまず探すだろうから、恐らくはMが踏んだとか料理中に放鳥していての事故だと思う。
二羽同時に亡くなったのだから、一緒に寝ていて寝がえりで圧死させたんじゃないかな。
そもそも放鳥中に一緒に寝るとか言語道断なんだけど、Mは一緒に寝てくれる♡とよく言っていたし。

「落ち込まないで、誰にでもミスはある」などと励ましのリプが大量についていたが、Mに関しては全ての行動と環境が事故を引き起こしやすいものだった。決して突然起きた事故ではない。
Mに不信感を持ったフォロワーには軒並みミュートされていたし(本当のベテラン飼い主もいた)、残る信者たちはそれを指摘しなかっただろう。

こんな事になるのならDMでもしておけばよかったな。悪いのは飼い主なのにしわ寄せは飼育個体にいくのだから、動物を飼うという事は責任があり苦しいことだ。

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