見出し画像

第9回学びのイノベーションフォーラム秋田大会

感想と決意

2023年10月28日(土)秋田県立秋田南高等学校
当日は秋晴れで穏やかな朝。日本海側は不安的な気候であるという天気予報で先日購入した折り畳み傘をバックにいれて秋田へ向かった。
小粥先生の「教員がワクワクする教材研究」をすることがWell beingであり、Steam教育の基本であるというご指摘をうけてとても肩の荷が下りた思いをしました。


主催者挨拶

小粥幹夫(国立情報学研究所特任教授)先生の挨拶から始まった。学びのWell-beingは学びの意欲から始まる。「ワクワクする」学びを教師がどれだけ準備できるかが大切である。みんな難しいというけれど、教科書と身の回りのものをつなげるネタを見つけることができればよい。Well-beingの研究者として紹介したいのは「慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科・教授 前野 隆司氏」(リンク)と中島さち子さん「株式会社steAm代表取締役社長、STEAM Sports Laboratory取締役。東京大数学科卒。NY大学ITP大学院(メディアアート)修士」(中島さち子)です。このおふたりは現在のSTEAM教育を先進的に行っている第一人者です。是非、このおふたりのお話を聴いて学んだほうが良い。そして今回はWell-beingのスペシャリストである齋藤みずほさんに来ていただいた。本日もよい学びをしていきましょう。

秋田県東成瀬村教育長 大沼一義氏

村の概要説明(高齢化・一つの小学校と中学校・子育て支援・予算)。成瀬ダムの建設で人口が増加しているが一時的なものであることは分かっている。このダムの建設方式は世界一の技術であり、その視察のために数多くの方々が村に訪問しに来ている。東成瀬の教育目標は「すべてが未来に向かっている」。子どもたちに「かたち」と「こころ」で『ゆめ』を与えてほしいということを教育関係者にはいつも言っている。未来に対する希望を持てば人は「学び続けられる」。工学院大学附属中学・高等学校の高橋一也教諭(高橋一也)が提唱されているレゴ型の学力(つなげる発想力の学力)が必要だと感じます。実際に小中学校では連携した授業研究会を秋田大学の阿部昇(阿部昇)名誉教授をお呼びして行っています。小中連携の協力学習活動を生徒間でも教員間でも行っています。村に赴任してきた教員には教師が「模範授業」を行い「村の教育はこういう教育」ということをはっきりと示しています。また、図書に関する予算は児童生徒一人当たり1万円でここが充実していることも特徴です。近年は県外からの移住者も多く、特に全国版で有名になったのは株式会社なるテックです。この会社はIT関係の会社で秋田に居ながらにして東京や世界で事業を起こしています。特に社長の近藤純光さんは村の教育について協力的でDXやプログラム教育には無償で協力いただいています。

秋田県立能代高等学校 校長 荒川正明

「Will ProjectⅡ」の効果
本校は進学したい生徒が多くいますが、公務員を目指す生徒もいます。学校の方針としては探究をメインにしていくということは全教員間で一致しています。生徒のビジョンは「主体的学習者に育てる」「夢と希望を自分の言葉で言える」というものです。そこで、生徒代表と先生代表で話し合いを持ち「目指す生徒像」を策定しました。それがレジュメにあるものです。Will ProjectⅡの大きな目玉は全員にインターンシップを課していることです。また、生徒の主体性を育成するためにポートフォリオを充実させており、生徒の活動内容を蓄積しています。本校の探究は1年生で地域課題探究を行っています。そこではAGHLT(Aguri.Green.Health.Life.Tourism)に分けて自分の興味関心で1年間探究のスキルを学びます。2年生では自由研究でさまざまな研究を行っています。先日NHKでさばの漁獲量が以上で処分に困っていることを本校の生徒が男鹿水産高校との共同で鯖缶を商品開発しているというものが放送されましたが、あれも生徒の自主的な活動です。発表では生徒の成果物に対して根拠を常に求めています。すべては生徒の幸せのためにという合言葉で先生方も日々学び続けています。そして能代のいいところは生徒と先生の距離がものすごく近いことだと思います。

秋田県立湯沢高等学校 教諭平田恵子・高橋伊津子

レジュメ参照(レジュメ
平成31年度探究活動等実践モデル校C型:カリキュラム・マネジメントに指定され、そこから学校改革に着手することになりました。これからの湯沢高校の在り方を考える良い機会となり、「こうあるべき・これで子どもたちの未来につながる」という話し合いや研修会を行うことが多かったと思います。それまでも職員室では生徒の変容をよく話し合うことが多くありました。研修内容や先進地見学はレジュメのとおりですが、特にファシリテーターの平元美沙緒先生の「生徒と同じ目線」の研修会で職員間が生徒を大切にするようになったと思います。学部講師での研修では課題解決には様々なアプローチがあることに気づいたり、何より同じ方向を向いて教育活動ができるようになると思います。校内研修として互見授業や研究授業はよく行いますし、令和2年度から観点別評価についての話し合いも行っています。教科間でどのように行っているかなどを全体の話し合いにもしています。とはいえ、教員間に教育活動に対する温度差がないわけではありません。私たちは逆に「温度差は改善すべき大事なポイント」と捉えています。疑問ややりづらさはその先生が課題に思っていることですし、それが解決すればさらに成長できる伸びしろだと捉えています。Well-beingという目的が大きくあり、課題がその達成のためについてくるという感じです。
デジタル探究については、令和4年度からスタートしました。「デジタル教育 未来へRUNプロジェクト」として秋田県の普通科のある高校に「デジタル探究コース」を設置するという4校のうちの1校になりました。進学校として、データサイエンスなどを生徒の学びに生かす取り組みがよいのではという考えに至りましたが、そもそもデータサイエンスをどうやって学べばいいという話になりまして、そこで京都大学の久富望先生が登場することになります。デジタル探究(略してデジ探)ではプログラミング入門と批判的思考、データの収集と分析、データに基づいた主張の深化を令和4年度は行ってきました。令和5年度はデジ探と普通科の探究もデータを集めて分析するのは同じと捉えています。対話的論証モデルという考え方があり、これがとても大切だと感じています。実際は久富先生の思考や経験についていけず、何度も打ち合わせを重ねているというのが現状ですが、それでも先生が付き合ってくれました。湯沢高校は京都に修学旅行に行きますが、久富先生から「せっかくだから京都大学で学生と一緒に発表しましょう」と誘われてとても感激しました。まとめとして、Well-beingな職場とは①職員が話し合う環境づくり②共通の目標をもち、ゼロから何かを作り上げるということも時には必要で、③温度差は改善すべき大事なポイントということができればいいのかと思います。能代高校の荒川先生も話しされましたが、生徒自身の意見をとても大切にしています。それは大事だと思います。

Career Quest 代表 齋藤みずほ

モノの豊かさから、心の豊かさへシフトしている現在、DGPだけではなくDGWにも着目されています。100円ショップができたときはとても感動しましたが、今は安く買えることよりも誰がつくったか、どのようなデザインかを求めているのがよい例でしょう。その中で「Well-being」は新しいものさしです。この定義はとても難しいと思いますが、より包括的で個人のみならず、個人を取り巻く「場」が持続的に良い状態であることとします。The NIPPON FOUNDATIONによるデータによると、人生や生活の中で自分で選択して決断できる割合は日本はほかの国より高いにもかかわらず、自己肯定感が低いという結果になっていて、それは「自己決定が増えるほど幸せになる」という法則に矛盾する結果になっています。日本人はおそらく、自分と社会(他者)と両方の幸せを感じることで「幸せ」を感じているのではないかと捉えることができます。つまり「協働の中の幸福感」です。この点は、京都大学の内田由紀子先生の動画説明がとても素敵ですのでご覧になった方も多いのではないでしょうか。また、Well-being Model として「勇気の科学」ロバート・ビスワス=ディーナーはとてもお勧めです。
協調的幸福度は幸福尺度を見極めることが大事で、そういう組織をつくるため子どもの学びを幸せにするために必要なことは教職員の姿が幸せであることです。教育は持続可能でなければならないし、自分のWell beingを社会へと視野を広めることが重要です。
最後に、Well-being cafe に是非ご参加ください。
注)Kaggle(無料のデータベース)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?