朝の全校集会で。
「のんちゃんとのぞみちゃんどっちがいい?」
突然、隣に座っていた女の子に声をかけられた。
わけがわからなかった。私の名前は一文字しか含まれていないし、"乃" は最後の文字だ。あだ名をつけられる時は、大抵捨てられる。
「"の" がいちばんかわいいから。」
意味がわからない。でも、嫌な気はしなかった。
女の子は、戸惑っている私を見て、お互いのフルネームを使い指先と指の間を伝って数える相性占いをはじめた。
「じゃあのぞみちゃんね!」
こころがじーんとした。
気にかけてもらえたからとか、実はのぞみちゃんの方がかわいいと思っていたとか、だけじゃない。
友だちの少なかった私にとって、最後の文字が良いと言われたことは、自分の存在を肯定してもらえたような気がしたからなのかもしれない。
私のことを"のぞみちゃん"と呼ぶのは、後にも先にも
その子だけだった。
『のぞみちゃん』
思い出すたび、言葉にならない感情が湧き上がる。
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