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中編

25
1話完結ものです
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2022年7月の記事一覧

僕は君を知っている

僕は君を知っている

思い出せ

見かけたことはあるはずだ

気のせいだろうか

胸が締め付けられる

『やっぱり運命だったんだ。』

なぜかそう言っていた

「離して!」

思い出せ

初対面じゃないはずだ

ポスターとそっくりの人だったか、

ドラマに出ていた俳優だったか、

見間違えじゃないはずだ

「誰ですか?!」

名前も知らないあなたから目が離せない 

『誰かわかる?』

「わかんないです」

どこの誰だ

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いつも来るお客様の話。

いつも来るお客様の話。

「ねぇ、、、、みたらし団子もう一本食べたいぃ。」

最近越してきた家族かしら。

男の子がもう一本食べたくてごねている。

そりゃそうよね。
一本サービスしちゃおうかしら。

『ダメよ。これはねお腹の子の分だから。』

前言撤回。
いらないことはするもんじゃないね。

『みたらし団子食べたいぃ、、、。』

「ダメだよ。
 お使い頼まれただけなんだから。」

可愛い妹ちゃんだこと。

でも流石お兄ち

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眼鏡のある世界

眼鏡のある世界

長い雨がはじまった。
眼鏡には水滴がつく。

「なんでコンタクトにせぇへんの?」

眼鏡のレンズについた水滴を見て
彼女は言った。

「なんでやろ?」

特に理由もなかった。

コンタクトにアレルギーがあるわけでもない。
コンタクトをつけるのが怖いわけでもない。

なぜか眼鏡が好きだった。

「絶対コンタクトのほうがいいって。」

「別にええやん。」

口悪く返しているが、
別に彼女が嫌いなわけじ

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