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祖品ですぅ。よろしゅうに。

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  • 万博の思い出

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ある男の後悔

私の名前は目単 賀須男。 それだけしか思い出せなかったのだが、主治医の柳本先生の見立てによると、それも一時的なものであり、次第に記憶も回復してくるであろうということだったので、少し希望が持てた。 私はその後、看護師の北野さんに付き添ってもらい、脳波の検査をし頭部MRIを受けた。 柳本先生の見立て通り、脳波は正常。 頭部MRIの結果においても、脳の記憶を司る海馬周辺にも障害は見当たらなかった。 私は少し安心した。 検査室から病室に戻ってまもなく、私に面会したいという者たちが

    • ある男の憂鬱

      ふと目覚めると、そこは見慣れない場所だった。 どうやら、どこかの病室で寝ているらしい。 急に起き上がったせいか、不意に鋭い頭痛が走った。頭の奥のずっと奥の方にまで響く。 頭痛が過ぎ去るのを何秒か待って、またゆっくりと瞼を開ける。 やはり、ここはどこかの病院のようだ。 大部屋だが、私以外患者はいないようだ。 まだ頭痛が続いている。 ここに至るまでのことを思い出そうとするが、頭痛の先にある白いモヤモヤの先には何も見えず、なぜ自分がここで寝ているかが思い出せない。 自分が誰なのか

      • 万博の思い出

        今日は高校の同窓会の日だ。 実に、20年ぶりになるのか。 これまで同窓会などには興味もなく、高校の同期の集まりにはまったく顔を出さなかったのだが、今回は恩師の芳村先生が声をかけてくれたので乗り気ではなかったが、どうしても、というので出ることにした。 実はとある事件を起こし卒業間近に退学処分を食らったこともあって、当時のことをあまり思い出したくない、という気持ちもあったのだ。 ただ、その時には芳村先生にはかなり世話になった。 退学後の仕事の斡旋もしてくれて、今の俺がある。 俺

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