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モノに支配された家

コロナ前、家事代行で掃除の仕事をしていた。
今思い返せばほんとに辛い仕事だった。
当時の自分が何をモチベーションにしてたのかよく思い出せない。

「掃除をする」という仕事自体は良かった。
働いていた会社は富裕層向けの家事代行サービスとうたい、客をある程度ジャッジして代行を請け負ってるような感じを見せてはいたが…
実際はというと、とても良識があるとは言えない客が大半だった。

それはさておき・・・
掃除とセットでお片付けを依頼されるというケースもまあまああって。
私は掃除も好きだが、片付け大好きな人間なので、初回の仕事は興味深々で向かったものだ。
だがしかし、行ってみたら想像を絶するほどのモノ、モノ、モノ!
衣類の多い家、台所に食品が溢れている家、その家ごとに傾向はあったがとにかくモノだらけ。
この空間で何を思い暮らすのだろう?とその場所にいるだけで気が滅入った。

モノがたくさんある、という事は管理がしにくくなり、常にモノを探さなければならない、探す手間をかけたくないために新たに購入、さらにモノが増えるという負の連鎖が始まる。
特に貧しい時代に生活をした経験のある高齢の客は、買い込み癖が強かった。
それに加えとにかく捨てないのだ。
空のペットボトルに空き箱、紙袋などを必要以上に溜めこんでいた。
10年も前に賞味期限が切れた調味料も。

明らかに買い物依存症の女性客の家は、同じようなテイストの服が
部屋を埋め尽くしていた。

片付けたいという気持ちがあっても
「捨てたくない」という気持ちが強すぎれば、片付けのゴールは見えない。

客に「捨てる」誘導をするなんて言語道断。
私に出来たのは大量のモノを整然と並べた、それだけだ。

「捨てたくない」けど片付けたい。
「食べたい」けど痩せたい。似てる?

モノに支配された家に行った後、私は猛烈に自分の家を片付け整えた。

そして・・減酒58日目。





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