魔女の招待状。カフェでお待ちしています。第一話

やばい。このままじゃ家にも帰れない。
どうしようか。

そんなことを考える少し前のこと

いつも通りに実家から出て三年勤めている会社に向かうため
私、佐藤希望は駅に訪れていた。会社はここから二駅先の為
比較的、近い方なのかも知れない。
さあ、電車に、、、、という所で足が止まった。私は列の最後尾だったから
待たせている人もいない。だけどこの電車に乗らなければ遅刻は確定だ。
都会に住んではいるがいつも起きるのがギリギリのため電車もギリギリになるのだ。
前からおじさんの声がした。
「お嬢ちゃん乗るのかい?乗るんだったら早く乗りな。」
その声で私は引き返せなくなり電車に乗った。
電車の中は朝のラッシュといった所だろうか。満員電車だ。
そんなことを考えているうちに
「次は魔女ヶ谷〜魔女ヶ谷〜お出口、右手になります」
私の目的とする駅にすぐに着いてしまった。
駅の出口まで降りるとそこからもう足が動かない。
行かなきゃいけないのに。
ああ、なんか今日はダメかも。
私は咄嗟にスマホを出し、
「すみません。ゴホッ今日なのですが、38度の熱が出てしまい、お休み
をいただきたいのですが、、」
と会社に連絡していた。
流行りのウイルスのせいか答えはすんなりイエス。
人生で初めての嘘をついた。
という感じで冒頭に戻る。

会社に行けないからといって涙とか落ち込むとかそういうのは今のところない。
でもこのままここにいると会社の人に見つかる。それはまずい。どこか店にでも入ろうか。

「いった!」
と頭に何かが当たった。
ふと、その場所を見てみると紙飛行機が落ちていた。
こんな都会で紙飛行機なんて誰かに当たるに決まってるじゃん。
拾い上げてみるとそこには何か書いてあった。
どうせ広告か何かで誰かが作ったものかも知れない。
まあ、一応見るか。
パラっ
『招待状
あなたをカフェにご招待します。内装、雰囲気、選べます。
行きたいカフェの雰囲気がありましたら
下記へお書きください。

※魔女とも会話できるかも』
なんとも怪しい。
魔女ってこの地名ともかけているのかな。でも行くところもないし
書くだけ、、、と紙飛行機についていたボールペンで書いてみせた。
森の中のカフェ。
こんなところかな。
こんな都会じゃなくて森林浴なんてしてみたいし。
書いた所で住所書いてないし行けないんだけどね。

見つめていると下に文字が現れた。
『ありがとうございます。それでは紙飛行機についてきてください。』
え、何これ。
と思っているうちにまた紙飛行機の形に変形し、飛んでいる。
まるで付いてきてというように。
「あ〜もう。」そう言いながら行くところのない私は紙飛行機について行くことにした。






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