時代とともに変化する経済のかたち

こんにちは、そんべんです。
確定申告や会計士協会、税理士会の研修登録等、年度末ならではのイベントが重なり、大変久しぶりの投稿になりました。

今回のテーマは「経済の仕組みは今後どう変わっていくのか」についてです。
今の世の中では、経済を取り巻く様々な問題が起きています。
その最たるものが貧富の格差、経済面で勝ち組と負け組ができてしまったことです。お金をあまり持っていない人の中には、生活がギリギリの方もいます。一方で、一生かけても使いきれない程多くのお金を持っている人もいます。

この矛盾がなぜ起こるのか、その原因と対処法を長年にわたって考えてきたのですが、ようやくぼんやりと見えてきましたので、今回そのことについて触れてみようと思います。


「1の経済」から「2の経済」への移り変わり

前回の投稿で、この世界は物々交換(交換経済)を前提に成り立っていると書きました。
Aさんが渡してBさんが受け取る、Bさんは別のものをAさんに渡す。今は通貨を媒介として、この交換取引を行っていることから、「貨幣経済」と呼ばれていますが、私はこの取引の形を、2者間での取引ということで、「2の経済」と呼ぶようにしています。

もともと、経済の形は「1の経済」から「2の経済」へと進化発展してきました。
「1の経済」というのは、自分で育てて自分で食べるという「自給自足」型の経済です。人口密度も少なく、人の移動も少なかった時代の生き方です。
ただ、それだと季節によって栽培できる野菜が違ったり、育てられる野菜の数・種類・面積などに限界があったり、不作の時に困ってしまう等、色々と不都合があったように思います。

そこで1の経済の進化系として現れたのが「2の経済」です。「2の経済」というのは、2者間で物々交換を行う取引です。この方法によって、「1の経済」の欠点が補われ、人の生活はぐっと豊かになりました。
交換経済が始まると、役割分担ができるようになったのです。それぞれ違う野菜を育てれば色々なものが収穫できますし、地域差や季節差も調整できるようになりました。さらに、次第に役割が細分化され、食べ物だけでなく、家を作る人・道具を作る人も現れたことから、効率が上がり人の生活はより便利で豊かになっていきました。

それをさらに加速させたのは「お金」の存在です。お金を媒介にすることにより、物々交換の流動性が高まり、更には遠く離れた地域まで巻き込んだ交換取引が行われるようになり、物質的な豊かさは急激に拡大していきました。
しかし、この「2の経済」は世界中に普及しきったため、行き詰り、新たなひずみが生じています。新しい経済の形が求められているのです。

これからの時代を担う循環型の「3の経済」

私は今後、「3の経済」が存在感を増すだろうと思っています。
「2の経済」は、Aさんから受け取った物の対価を、受け取ったBさんがAさんに支払いをするという物々交換を基礎とした取引でした。
しかし「3の経済」では、取引主体が3者に増加します。
Aさんが渡してBさんが受け取る、そしてBさんは、その対価をAさんではなく、Cさんに支払います。これが「3の経済」のひな型です。

このように、サービスの提供者と対価の受領者を変えることにより、「交換」ではなく「循環」に変わるのです。

交換経済は個人間の取引であり、基本的に相手が望むものしか提供できませんでした。相手が求めるものを持っているから、初めて取引が成立します。逆に言えば、相手が望むものを持っていない場合には取引が成立しないというのが、2の経済の弱点だったのです。

しかし、循環経済になると違った経済のモデルが確立できます。

例を挙げると、地域全体にとって良い活動をしようと、街の清掃をしたいと思ったとします。
しかし、街をきれいにしたからといって、街を歩く人に「あなたのためにやっているのだから、お金を払ってくれませんか」と言っても、誰も支払いませんよね。
つまり、地域全体で共有しているものに対する仕事は、交換経済では成り立たないのです。
それは、交換経済が個人間の交換を前提にした仕組みだからです。

一方で循環経済を前提とすると、AさんがBさんに何か物を渡し、Bさんはその対価として地域全体に有用なことに自分の時間を費やすことができます。
「循環」を前提とした「3の経済」では、交換経済では手が付けられなかった領域に手を入れることができるようになるのです。

循環経済は私たちの身近ですでに始まっている

「3の経済」の話を聞くと、なんだか難しそう…と思うかもしれません。
しかし、実は私たちの身近でもう始まっています。
それは寄付型のクラウドファンディングです。
地域にとって良いこと、特定の人だけでなく社会全体の利益になる活動をすることを目的としたクラウドファンディングは、まさに3の経済そのものだからです。

「2の経済」は、個人の欲求を満たすことが基本にあるため、どうしても人にとって必要なものしか取引の対象にできなかったのですが、「3の経済」の比率が増えることで、社会全体にとって価値のある仕事が増え、世の中はより調和的で豊かな社会になるように思います。

加えて、循環経済は、特定個人にお金が集まる仕組みでは無いことから、貧富の差も起こりにくくなるような気がします。

ただ、私は、あらゆるものが循環経済で動かせるとは思っていません。
やはり、人の営みの大部分は、個人的な事柄(家を買う、車を買う、服を買う、ごはんを食べる等)で占められていると思うからです。
肌感覚ですが、おそらく8割程度は今まで通りの交換経済で回っていくのではないでしょうか。しかし、もし経済活動の2割が3の経済に移行したら、この世界は全く違う豊かさに包まれるような気がします。

最初の一歩を踏み出すのはだれか

私は、この「3の経済」が、これからの経済のメインストリームになると思っていますが、このモデルには1つだけ致命的な欠点があります。
それは「最初の一歩はだれが提供するのか」という問題です。誰かが無償でGIVEしなければ、この仕組みは動き出さないわけです。
それは、特定個人の資産家が提供するのか、それとも、非常に多くの個人が小さなGIVEを提供することで口火を切るのがよいのか。

私個人としては、ある人の意図が強くならないためには、後者の方がいいような気がしています。

さて、社会が成熟し、必要な物が十分に行き渡った現代において、経済のモデルは「2の経済」から「3の経済」に新たな進化を遂げるだろうと確信しています。もし新しい活動をしよう、事業を興そうという方は、ぜひこの「3の経済」を意識して、モデルの構築を考えてみてください。

きっとこれからの未来に繋がる新しい扉が開くような気がします。


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