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【依頼分、分析・感想】1-15 Re;TRY!〜どうか、今度こそ殺されませんように!〜

 皆さん、こんにちは。
 書き出し祭り作品、分析・感想のお時間です。

 X(ツイッター)と「小説家になろう」連動の、非公式イベント『書き出し祭り』。
 今回は、現在開催中の21回の中から、作者さんご本人に依頼をしてもらい、無償分析・感想を、私・野菜ばたけが書かせていただいています。

・小説を書く勉強がしたい方
・小説の分析、感想ってどうやるのか分からないor知りたい方
・自分も読んだので、他の人の分析・感想も読みたい方
・小説のスキルアップがしたい方
・作者様ご本人
・人の振り見て我が振り直せな人

などなど……

 に、オススメの記事です。

 少しでも様々な方のお役に立てればな、と思って書いております。
 よろしければチョロッと覗いていってくださいね。


1.そもそも『書き出し祭り』って?

 書き出し祭りは、X(ツイッター)と小説家になろう連動の、非公式イベントです。
 簡単に言うと、プロアマごった煮な参加者100名が、「よーいドン!」で小説の冒頭を匿名で投稿(投稿は運営さんがやってくれます)。
 感想をもらったり、イラストをもらったり、投票してもらったり、交流をしたりして楽しむ『小説書きと小説読みのためのお祭り』です。

【注意】

 本企画は、批評会ではありません。
 参加者も、完全なエンジョイ勢から公募ガチ勢、書籍化作家、Web連載に弾みをつけるため……と、色んな方が参加しています。
 色んなスタンス、環境、年齢、好きなものがある中で、自分がいかに楽しむか(活用するか)の場ですので、それぞれに違う人間だという事を理解して、他人は他人、自分は自分の精神を持ちつつも、どの作者さんにもリスペクトを忘れず、お互いに言葉(書き方)の配慮をしましょう

【第21回のお祭りルールについて】

 公式アカウントにて、お祭りの詳細のルールや作者募集のアナウンスがあります。
 ルールは回を追うごとに進化したり、変化したりします。念のため、毎回確認しに行く事を習慣づけましょう。

【本文分析・感想をご希望の方は、こちらから】

 私の本文分析・感想をご希望の方は、以下の依頼募集をよく読み、ご応募ください。
 現在既に依頼種類②と③の募集は締め切っております。①またはXでの『第21回書き出し祭り、他薦&ステルス自薦作品募集』にて、ご応募ください。

2.今回読ませていただいた作品

 今回読ませていただいたのは、第一会場『1-15 Re;TRY!〜どうか、今度こそ殺されませんように!〜』です。

★作品リンク★ 

第一会場『1-15 Re;TRY!〜どうか、今度こそ殺されませんように!〜』

https://ncode.syosetu.com/n3558iw/16/

★依頼内容★

3.本文分析

 ※分析では、本文から読み取れた(予想できる)内容にのみ言及します。

★作者さんがこれを見る時の観点(推奨)★
 自分が想定している内容・情報が読者にきちんと伝わっているか

<0>作品概要

【ジャンル】現代ファンタジー
【視点】一人称
【文体】Web相当

<1>ストーリー分析

◎第一話の要約あらすじ◎
 28歳で彼氏に殺された主人公・唯は、自称神様から9つの命(唯としての人生のやり直しの機会)を得たものの、悉く彼氏に殺される事でバッドエンドを迎えてきた。やり直す度に死の間隔が早まってきてもいる中、8回目の高校初日を迎えた唯は、「今回は、毎回自分が命を落とす元凶の彼氏・誠との出会いイベントを回避しよう」と試み、成功。しかし、その彼に追い詰められていた。
 カッターナイフを片手に近付いてきた彼の急所に蹴りをお見舞いし、無事に逃走。しかしその後、あと1回残っている筈の巻き戻りの権利が、何故か消失している事に気が付く。それでも彼女は改めて「どうあがいても生きてやる」と覚悟を決め、彼と同じ高校に通い続ける事にした。
 翌日、朝から騒がしい教室で小学生からのいじめっ子・美也子に強引に促されて渦中に連れてこられた唯は、唯に会いに来たという誠と対峙。昨日の今日でどういうつもりだと身構えるも、彼は土下座で昨日の事を謝り、足に縋りついてきた。
 以前の彼は真面目で成績もトップクラスだったが、今の彼の様子はその見る影もない。自分が知っている誠とはまったく違う姿を目の当たりにし、混乱。しかし自分の目的はあくまでも生きる事。そのために、誠のタイプ、かつ将来の浮気相手にもなる美也子に彼を押し付けようと試みる。拒否する美也子にも、その様子をただ面白がって見ているだけの周りにも、唯には今までの7回分の恨みがあった。唯は、『生きる事』だけではなく『この場の全員に復讐する事』も、最後の巻き戻りの目標にした。

◎ストーリーの大枠(第一話時点)◎
 過去7回の巻き戻りで悉く殺されバッドエンドを迎えている主人公・唯の、最後の人生を掛けた復讐劇&生還劇。

【設定提示内容(要約)】
・復讐劇
・死に戻り(逆行)
・高校生
・シリアス

【テンプレ活用】
なし。

<2>構成分析

【役割】
①設定説明
②キャラクター説明
③テーマの提示
④きっかけ(イベント)
⑤悩みの時(④に立ち向かう理由)
⑥ターニングポイント

◎セットアップ~
 最初の人生と、9つの命を貰った話【②④】⇒1回目から7回目までの話【①】⇒8回目、死の原因の彼氏との出会いを回避した筈なのに、何故か追い詰められている。どうしよう【①④⑤】⇒急所を蹴って無事逃走成功【⑥】⇒これが最後の巻き戻りだと気が付く【④⑤】⇒「どうあがいても生きてやる」【③⑥】
 翌朝、誠が教室に会いに来た【②④⑤】⇒いじめっ子・美也子に誠を擦り付ける事に【⑥】⇒この場のすべての人たちに倍返しをすると決意【③】

<3>キャラクター分析

名前:久屋 唯(ひさや ゆい)、高校生
 
性格:物事に対する考え方がドライめ(一人称の地の文から受ける印象が比較的淡々としているから。人生を何度も繰り返したせいで形成された性格の可能性もある)。咄嗟の時の行動力がある(誠から逃げる際の様子から)。

物語上の役割:主人公
 
その他:自称神様に9つの命を貰い、唯としての人生を過去に7回やり直しているが、彼氏のせいで悉くバッドエンドを迎えている。8回目の巻き戻りで残り一回巻き戻りの権利がある筈なのに、いつの間にか1回分消失していた。
 

名前:星丘 誠(ほしおか まこと)、高校生
 
性格:ヤンデレ?(カッターナイフを持って追いかけてくる様子から)少なくとも外面は真面目で成績はトップクラス……だった筈だが、今回の彼は土下座で許しを請うキャラ崩壊を起こしている。

物語上の役割:敵?
 
その他:8週目の今回、何故か初めて出会った筈の日なのに、唯への強い執着心が感じられる。

名前:一社 美也子(いっしゃ みやこ)、高校生
 
性格:強引。自分より弱い立場の人間以外には、おおらか。

物語上の役割:敵
 
その他:小学生からのいじめっ子。未来の誠の浮気相手。鍵っ子。料理がうまい。

4.本文感想

 ※感想では、本文を読んでどう感じたかに言及します。

★作者さんがこれを見る時の観点(推奨)★
 物語を読んで読者がどう感じたか、どうしたらより良い作品になるか。

 本作は『ライブ配信希望作品』のため、感想は箇条書きとなります。
 詳しい感想は、下記のアーカイブをご覧ください

<1>所感(気軽な褒め感想)

 8回目の人生を生きる主人公の、復讐系現代ファンタジー。最後を読むまで、私てっきり単に死を回避するだけだと思っていたんですが、なんと復讐も決意してしまった。笑 思っていたよりもずっと意志の強い主人公で、ビックリしました(いい意味で)。
 こういう作品って、過去を変える上で起きる変化が、結果的に誰かへのざまぁになる事は多いと思いますが、それでも尚大々的に復讐(本文では「倍返し」と書いていますが、これってすなわち復讐で合っていますよね……?)を決意するからには、さぞえげつない復讐が為されるのだろうと期待したい! 期待して、いいですか?!
 物語的には、出会った初日の筈なのに、何故か唯を認識して追いかけてきたり、次の日には打って変わって土下座謝罪をした、様子のおかしい彼氏・誠がきっとキーパーソンなのでしょう。この人、何でこんな感じなんですかね? 二重人格? それとも今回の彼は唯一、今までの唯と同じく前回の記憶を引き継いでいる? よく見ると、1、2回目の巻き戻りの時の死因は、間違いなく意図的に殺されている風なんですよね。でも、3~5回目は偶然に見えて、6、7回目はストーカーなり誰かなりの、直接的な関与が見受けられる。誠は唯に「すべての死の元凶」と思われているみたいだけど、3回目以降は果たして本当に誠のせいなのか。そんな疑問も浮かびます。
 もしかしたら何故か減った一回分の巻き戻りは、前回の誠に使われたのかもしれない。気付いたら浴槽に沈んでいたのは、少なくとも誠の本意ではなくて、彼女を守るために側にいたかったのに唯が出会いイベントを避けたから、混乱して初日はあんな強硬手段に出たのかも……なんて、考えすぎですかね?
 という感じに、感想を書いているうちに、いつの間にか探偵になってしまっていましたが、もしこの推理が当たっていた場合、良し悪しは作者さんの意図によって変わってくると思います。
 短編か復讐に重きを置いて読んでもらいたいのなら、成功(この辺の疑問を早めに読者に教えておく事で、読者は復讐メインで読める)。そうでないなら、情報を出すのが早すぎる可能性もありますね。上記の推理が間違っている場合も、同じく作者さんの意図によって成功・失敗が変わると思います。よろしければ一つの物差しにしてみてください。

<2>惜しいポイント(ちょっと深堀りアドバイス感想)

 一人称作品の本作、地の文が淡泊めだった(あまり感情が出ている感じはしなかった)ので、自ずと「主人公も淡泊めな物の考え方をする人なのかな」と思ったのですが、冒頭の最後の最後で『復讐』という、自ずと強い恨みの感情からくるだろう展開に向かいそうに思えたので、「もしかしたらもう少し地の文やキャラクター設定などを使って、感情の起伏が見えやすいようにする方が分かりやすい作品になるかもしれない」と思いました。
 たとえばですが、地の文を改善する場合は、もう少し心の声を地の文の中に混ぜる、セリフの語尾をもう少し感情的なものに演出する。キャラクター設定を改善する場合は、美也子には昔から虐められていた(?)ようなので、中学生の時に付けられた傷や、壊されてしまったけど大切だからずっと持ち続けているものを作る。高校時代にも社会人時代にもある建物や場所を8回目の唯の行動範囲内に作り、そこで過去に美也子の浮気が判明したという設定にするなど、キャラクターが視覚で恨みを思い出せるようにする。
 ……などなど。ザッと思いつくあたりではこのくらいでしょうか。この辺りの導入を検討してみるのもいいかもしれません。

5.さいごに。

 本分析・感想に応募いただき、ありがとうございました。
 楽しく読ませていただきました。

 色々と書いてしまいましたが、終始楽しく読ませていただいた結果、所感で自然と考察をし始めてしまうくらいハマったのだと思っていただければ。
 この感想が、少しでも作者さんの執筆のヒントになれば何よりです。

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