商業小説のイラストレーターって、どうやって決めてるの?
「はじめまして」の方もそうじゃない方も、こんにちは。
私、2023年3月に角川ビーンズ文庫より小説家デビューを果たしております、野菜ばたけと申します。
今回は『可能な限り一般的なものから一歩踏み込んだ創作論』の第三弾。
「商業小説のイラストレーターってどうやって決めてるの?」について書いてみようと思います。
必ずもこういうやり方をしていると保証できる内容ではありませんが(他のやり方でもやっているかもしれない、という意味で)、ありがたい事に現在三社と書籍化作業をさせてもらっている中で経験した流れに、作家仲間たちに聞いた内容を加味して、デフォルメ的に書いてみようと思います。
この記事は、
に向けて書いています。
尚、この記事は特定の出版社のやり方について触れるものではありません。
内容もデフォルメ、選定基準に至っては私自身が実際に作業をした肌感や、色々な作家さんの話を聞いて納得した事などを書いています。
出版社さんがどう思って作業をしている・裏でどんな作業をしているかなどにも触れていません。
この通りにやったからといって必ず何かに成功するという類のものではありません。
これらの点をあらかじめご承知おきの上、お読みくださいね。
これまでの『創作論シリーズ』はこちら。
小説のイラストは、本の売り上げを左右する大事なファクター!
皆さんは、店頭に並んでいる、もしくはWebサイトで本を買おうと思った時、何を基準に選んでいますか?
タイトル・あらすじを見て、面白そうな本をチョイスする。
本の帯に書かれた煽り文や「○○賞受賞」の文字に惹かれて、手に取ってみる。
作品レビューを見て、評判が良さそうなら買ってみる。
色々とあると思います。
私が本を初めて見て思わず手に取るのは、いいイラストがついた小説です。
あ、可愛い。カッコいい。そんな感想と共に作品を手に取り、タイトルやあらすじから作品を吟味します。
そういう読者さんも多いのではないでしょうか。
本を認知してもらうための、最初の取っ掛かり。
それが小説のイラストーー表紙絵です。
だから作家は、なるべく自分の作品にプラスになるようなイラストを描いてくれる方に表紙を書いて欲しいと思う人が多いでしょう。
まぁ単純に、自分の作品にイラストがつくと「どうしたんかね」というくらい嬉しいので、そういう意味でも「なるべくいいイラストレーターさんを!」と思っているのも否定しませんが。笑
それだけ作家にとって、イラストは大切なもの。
だからイラストレーターさんの選定には、作家本人の意向も強く加味されます。
イラスト選定の簡単な手順
具体的にイラストレーターさんの話が出てくるのは、作品の内容・登場人物の容姿などが固まってきた段階です。
どういう雰囲気の作品かが固まってくれば、書いてほしいイラストのテイストも決まりますからね。
1.編集さんと、書いてもらうイラストのイメージをすり合わせする
私自身や周りで聞いた話だと、少なくとも小説のイラストは、何らかのイラストを元に執筆するような公募などでもない限り、最初からイラストレーターさんを決め打ちする事はありません。
時期になると編集者さんから「イラストレーターなんですが、本作に合わせて○○が書ける人がいいですかね」とか「主人公の○○はこういう印象なので、そういうのを書くのが得意な人を選びたいですかねー」というお話をし始めます。
この段階ではまだ、アレもコレもと条件を挙げるのではなく、最も大事な人や物(大抵は主人公やソレに付随するもの・主題に関わる部分)のイメージを一つだけ固める方針が多いように思います。
2.「頼みたいイラストレーターさんとかいますか?」と聞かれる。
作品イラストの雰囲気のすり合わせが終わると、いよいよ具体的にイラストレーターさんの相談が始まります。
この時に大抵の編集さんは「あなたの方で気になっているイラストレーターさんとかいますか?」と聞いてくれるでしょう。
そういう方がいれば、その時に話をしてみてもよし。
いない場合も「じゃあ今話したものが上手に書けそうなイラストレーターさんを何人かピックアップしますねー」と言ってくださるので、お任せしましょう。
もし何も言われなかったとしても「数人当たりを付けてみますねー」と言われた時に「○○さんなんてどうでしょう」と話してみましょう。
その方にオファーしてくれるか、その方を含めて似たテイストのイラストレーターさんを数人、ピックアップしてくれます。
3.候補者の情報が数人送られてくる。
編集さんがどういう基準で選んでいるかは分かりませんが、何人かの候補者がポートフォリオ(作品集)のリンクと共に送られてきます。
※過去に会社として仕事をした事があっても、基本的に前の仕事ではどうだったなどという話にはなりません。
そもそも前回よほどの事が何かがあれば、候補には上がらないと思いますが。
この後は、それを確認後、編集者さんと相談しながら候補者を更に絞り込み、優先度順にオファーをしてもらう……という流れになります。
お断りされる事は普通にある!
もちろん先方にもお仕事やご予定がありますから、納品日の相談があったり、お断りされる事も普通にあります。
納品日の相談があった場合は、それによって作業スケジュールがどれくらい遅れるかを加味した上で、待つか待たないかを決める事になります。
良心的な編集さんは、その辺も情報共有の上お伺い・相談をしてくれるでしょう。
イラストレーターさんからのお断りの理由としては、
様々な理由があるでしょう(後者二つは完全に憶測ですが、そんな理由もあろうかと。笑)。
しかし大丈夫!
基本的に編集さんはその辺は教えてくれません。笑
普通に「ちょっと無理でしたので、次行ってみますねー」とか「新しい候補者をまた出してみたんですけど、どうですか?」という連絡が来ます。
他の作家さんに聞いてもオファーをお断りされる事はよくあると言いますし、編集さんの反応的にもあまり気にしていないようです。
作家のメンタルも守られます。
だから断られても大丈夫。笑
因みに、おそらく先方にも「最初は誰それさんにオファーしたんですが、無理だったので……」などという内情は、届きません。
イラストレーターさんのメンタルも守られます。
安心してください。笑
「優先順を付ける」とは言ったけど……イラストレーターさんにこれだけは伝えたい!
「優先順を付ける」とは言いましたが、便宜上必要だからオファーの順番を付けているというだけで、オファーの順番が後だからと言って誰かに劣っているという意味では絶対にないので誤解はしないでくださいね!
むしろ順番を付けるのに、こちら側が血の涙を流しながら苦渋の順位付けをせざるを得ない事の方が多いです。笑
そもそもイラストレーターさんなんて、私たち作家にとっては神のようなものなんですよ!
私になんて絶対に書けないんですよ。
人形師さんが最後に目を入れる事で人形に魂が籠る……みたいな話がありますが、それと同じ事をやってくれているのが、小説におけるイラストだと私は思っています。
自分にできない事ができる人に対して、リスペクトの気持ちを持たない筈はないです。
オファーをするイラストレーターさんたちには等しく、リスペクトの気持ちを持っています、どの作家であっても! これは絶対に!!!
……という事を、これを見ているイラストレーターさんたちには、ぜひ知って帰ってもらいたいです。
本当にいつもありがとうございます。
イラストレーターさんの選定基準(作家目線)
イラストレーターさんを探す時、絞り込む時。
必ず作家は何かしら編集さんと相談をします。
しかし、おそらく編集さんは「作品が作家が書いたもの」という一種のリスペクトを持ってくださっているのだと思います。
最後には作家の意向が優先されます。
自分で決めなければなりません。
しかし、いざ選ぶとなると難しい。
どんな物差しでイラストレーターさんを見ればいいのか分からない……。
私自身、そういう経験をしました。
特に初めての時は「よく分かっていない私が決めちゃって本当にいいの?」と思いながら決めました。
なのでここでは、私が実際に三社、三作分のイラストレーターさん選定をした上での「やっぱりこれは大事そう」「ここは気になって見ちゃうよね」という部分を書いていこうと思います。
私個人の主観ですから、もちろんすべての作家と同じ基準ではないでしょう。
それでも作品単位の基準ではなく『小説のイラストを描いてもらう人を選ぶ時の基準』という、汎用的な内容を心掛けて書きます。
作家さんは、この基準を参考にするもよし。
イラストレーターさんはこれを読んで自分の身の回りの準備をするもよし。
冷やかしに覗いてみるもよし……。
ただ、広く知らしめる内容でもないと思いますので、ここからは有料公開にしておきます。
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