入院生活〜うちの場合〜

ずっと子どもの入院中、笑わせてあげてくださいって言ってますけど、実際、うちの場合、どうやって過ごしていたのかを書きたいと思います。

「しっかりせんと」は呪いの言葉 

入院したばかりの頃は、白血病のことが分からなすぎてただただ呆然としながら病院に通っていたと思います。知り合いの人に「白血病になって」って話すと、だいたいの方は「大変やね。お母さんがしっかりせんと」って言って泣いてくれたりしました。病気のことが分からない上に「しっかりせんと」って言う言葉は本当にしんどかったです。

夫とは一日置きに泊まることにしていましたが、治療がしんどくて熱がずっと続いたりすると連続で泊まることになります。
毎日病院に通いながら、取り乱したりはしなかったけど、自分の中ではパニックを起こしていたと思います。

息子の笑顔に救われた

でも、病院に行くと、息子は熱が出てしんどい時も、抗がん剤を入れたばかりでゲェゲェ吐いたりしている時も、私の顔を見ると「おはよう」って笑いながら言ってくるわけです。毎日それを見ていると「落ち込んでる場合じゃないよね」って思うようになりました。ずっと書いてることですけど、息子は日々の日常が病院になっただけなので。

私は付き添いに毎日行ってる時に途中からずっと笑って過ごしていたので、それを見て「子どもが病気で大変やのに、なんであんたはいっつもヘラヘラ笑いゆうが。意味わからん」って言われることがよくありました。
この国の風潮で、病気の人、付き添っている人は笑ってはいけない、楽しんではいけない、悲しんでないといけない、みたいなところがあるじゃないですか。笑って過ごすなんて不謹慎、みたいな。でも、みんなが家で過ごしている場所がたまたま病院になっただけ。みんなが毎日笑いながら過ごしている場所が病院になっただけなのに病院にいるからって笑って過ごしたらダメっていうのは絶対間違っていると思います。
もちろん、治療を受けている息子はすごくしんどくて、代わってあげることは出来ないけど、でも出来るだけ家にいる時と同じように過ごしたいな、どうせ長い期間入院するなら家と同じように笑っていたいなってどこかで切り替えたと思います。
だって息子はどんなにしんどくても文句も言わず淡々と治療を受けているわけですから。

何をして遊ぼう…

私はそれまで仕事が忙しくてあまり真面目に子育てをしてなくて、こんなにべったりと関わることがなかったから、何をして遊んだらいいのか分からなくて。なので、まず息子の好きなことを一緒にやることにしました。
雑誌のてれびくんとか買って、一緒に組み立てのおもちゃやけっこう複雑なプラモデルを作ったり、プラレールが大好きだったから病院に持ち込んで、病室(個室だったので)の下にレールを敷き詰めてプラレールを走らせてみたり(今だと絶対怒られそうですけど)。
戦隊ものの超合金を買って、その基地を段ボールやティッシュの箱とかを使って作ったこともあります。
新幹線のペーパークラフトをハサミとか糊とかを使って作った時は、ちょうど輸血をしていて、看護師さんが見回りに来た時に「絶対これを切ったらいかんで!」って言われた直後に点滴の管を切ってシーツが血の海になって…。めちゃめちゃ看護師さんに怒られました。
そんな大きなものばかりでなく、折り紙やあやとりにハマったこともあります。本を買ってものすごく難しい、めんどくさいものを折ったり造ったり。トランプやUNOをやっても子どもだからって手加減はしません。本気で勝つつもりでやっていました。

最初は戸惑いながらも息子の笑顔を見ていたら楽しくなって、今まで忙しくて出来なかったこと、一緒にテレビを見て笑ったり、遊んだり、息子のベッドで本を読んだり昼寝をしたり。お互いに好きなことをそれぞれ別々にしたりして家で居る時と同じように笑いながら過ごすことが出来ました。

1日10分でも

たぶん今まで元気だった子どもさんが急に病気になって付き添うようになった親御さんで何をしたらいいのか分からない方、戸惑っている方、たくさんいると思います。そんな時はとりあえず子どもさんの好きなことを一緒にやってください。
忙しくて遊ぶ時間なんてないって言われる方もいるかもしれません。それでも1日10分でもいい。一緒に遊ぶ時間を作ってあげてください。そうすると子どもさんも笑うようになり、何よりすごく安心すると思うんです。子どもさんの笑顔を見ると親御さんも一緒に笑うようになれると思うんです。

退院した後で知り合いの方とお話ししてて「大変やったね」ってよく言われたんですけど私自身は付き添いが全然苦ではなくて。しんどいことは絶対あったと思うのですが、どちらかというと楽しい思い出の方が断然多かったから。今までのように仕事ばっかりをしていたらそこまで一緒に楽しむことは出来なかったと思います。それって息子が病気になってくれたおかげですよね。

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