白血病、発症〜骨髄移植まで

息子の罹患した白血病の種類

話が前後しますけど、今までずっと書かせてもらってて息子の白血病の種類とかを全然言ってなかったなと思って。

5歳の時に発症した白血病は、T細胞性急性リンパ性白血病でした。
白血病は大きく骨髄性とリンパ性の二つに分かれていて、それが更に急性と慢性に分かれています。息子が罹ったのはそのうちの急性リンパ性白血病でした。
急性リンパ性白血病もB型とT型に分かれているのですが、最初説明してくれた医師の話では、小児の場合はB型が多くて、それは治療成績も良いということでした。ただ、息子が罹ったのはあまり成績のよろしくないT型の方でした。
更に悪いことに白血球が27万8千もあって。正常な時の白血球は3千〜8千ぐらいと言われています。それが27万…。
同時期に同じ白血病で入院して来た子どもさんのお母さんに聞くと3万とか5万とか言われてました。桁が一つ違いました。
あの時に幼稚園に行きたくなくて「しんどい〜、しんどい〜」って言ってゴロゴロしてたわけではなかったんですね。

最初の治療は化学療法

最初は検査入院っていうことでしたが、そのまま8ヶ月入院して化学療法の治療をしました。化学療法の時の副作用としては、髪が抜けたり吐き気が強かったり、あと、髄注(抗がん剤を髄腔内に投与する治療)の時に本人がよく「抜くがはまだかまんがよ。でも入れるがはいかん。注射も痛いし、あとですっごい頭が痛いしすっごい気持ち悪い」って言ってました。
小児の場合、骨髄注射も髄液注射も全身麻酔でするのですが、息子は効きが悪く麻酔で眠ってても夢で見るらしく、それが注射を受けてる時と同じように痛いって言ってました。効き始めはしっかりと眠っているのですが、途中から半分覚醒して来てずっと「お母さ〜ん。お母さ〜ん」って叫んでみたり。ある時は「2÷3は…」ってずっと言ってて。注射してくれてた先生や看護師さんが「蔵、それは割れんが」ってあとで言われてました。今となっては笑い話ですけど。

髪が抜けるのも、私は聞いたことがあったので覚悟はしていましたが、息子はそんなことは知らないから、朝起きると枕が髪の毛だらけ。それも尋常じゃないぐらい抜けています。手で髪を梳くごとにすごい量の髪の毛が指についてきます。最初は「なにこれ〜。どうしたが〜」とか「髪、めっちゃ抜けるよね〜」って笑いながらベッドの上を掃除していたのが、そのうち笑えなくなって。毛という毛は全部抜けるので、変な話、眉毛もまつ毛もきれいさっぱり抜け落ちました。全部抜けるまでにそんなに時間はかかりませんでした。

抗がん剤を入れる時は利尿剤も一緒に使うので、すごい量のおしっこが出ます。500mlの紙コップ2個分とか普通に出ていました。それも1日何回も…。
隣のベッドのこどもさんは抗がん剤が青かったので、おしっこも真っ青でした。

そうこうするうちに白血病が寛解の状態になって、いよいよ退院になりました。5月1日のことでした。入院から実に8ヶ月経っていました。家に帰って、幼稚園にも2〜3ヶ月後から通い始めました。お友達にも久しぶりに会って、園でのイベントにも出来る限り参加させてもらいました。園の方には話していたので先生方には気をつけてもらい、しんどい時は休んだりしながら残りの幼稚園生活は楽しく過ごせたと思います。

2月の終わり頃、幼稚園生活もあと少しになった時のことです。
私は娘の保育園の発表会を見に行ってたんですが、家から何度も電話がかかって来て「なにしゆうが!早よう帰って来いや!」って言われて。

骨髄再発→骨髄移植へ

急いで帰ると息子が頭を押さえながら「痛い!痛い!ぎゅーって押して!」「そこじゃない!もっと上!」とか言っては吐いて。熱もありました。
病院に急いで連れて行って、検査をしてもらうと再発が分かりました。それから化学療法で治療をして寛解になりましたがすぐに骨髄再発が分かって。

もう骨髄移植するしかなくて、私や夫、それからまだ5歳になってない娘のHLA検査をしました。骨髄移植をするには患者と提供者のHLA(白血球の型)が一致しなくてはいけなくて、兄弟姉妹間での適合率は25%(4人に1人)と言われています。HLAの型は両親から半分ずつ受け継ぐので、最初から私と夫は合わないだろうなと思っていました。一縷の望みの娘の結果を待って…。先生がすごく嬉しそうに「全部合ったよ。さくらちゃんでいけるよ」って言ってくれたのを覚えています。

余談になりますが、その頃「臍帯血移植」が始まったばかりでした。今では移植といえば骨髄移植か臍帯血移植って言われるほどポピュラーになってますけど。主治医の先生に聞くと「まだまだ臍帯血移植は始まったところですから。これから臨床を重ねていく段階なので、今は骨髄移植の方が絶対安全、安心です」って言われました。同じ時期に白血病で入院していた子どもさんのお母さんは、臍帯血移植ために妊娠したって言われてました。

そうしてしばらくして教授から「妹さんのは使えません」って言われました。カンファレンスに一緒に参加させて頂いていた私たちもですが、主治医の先生たちも「え?」ってなって。
よくよく聞くと娘はまだ5歳になっていなかったので、それぐらいのまだ自分の意思を持ってない子どもから移植をするのは倫理的によろしくないと。
もう少し大きくなって、自分の意思のある人から納得の上移植しても、先々に何かあった時に「助けてあげたから見返りを」みたいなことになることも少なくないって言われて。なので5歳にも満たない自分の意思のない子どもに聞いても結局親に言われたとおりにやることになるから。結果、将来的に恨みつらみが残るかも知れないので、5歳未満の子どもさんからの骨髄移植はしないように言われてますって。

でも、もし娘のを使わなければ今からドナー登録して探してもらって、更に相手との日程の擦り合わせ(仕事をされてる方はその都合に合わせて休んでもらってとか、登録はしてるけど、いざ連絡があったら辞めるみたいな話も聞きます)をしないといけません。

そんな回りくどい事をしなくても私たちにとったら「ドナーならここにおるやん。ここで娘にやってもらえたら息子の体調に合わせて移植が出来るのに。連絡待ちとかしなくていいのに」っていう思いでいっぱいでした。

結局、娘が5歳になる誕生日を待って、無事骨髄移植を受けることが出来ました。

ただ、息子は移植前処置の抗がん剤大量投与や全身への放射線照射をしてもがん細胞がなくならない、いわゆる非寛解の状況での移植でした。なので移植前の説明では「移植をしなかったら助かりません。でも移植をしたとしても5年生存率は10%未満です」とはっきり言われていました。
それでも私たちには移植をするという選択肢以外はありませんでした。



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