北海学園文学会ウェブエッセイ⑱「ストリートピアノの彼」

 僭越ながら、部誌に自由作品を掲載させていただく運びとなった。

 ウェブエッセイ④「私と創作」にて、音楽を流しながら創作することが好きだ。と書いたことがあるのだが、今回掲載する作品もある音楽からインスピレーションがわいて書いたものである。衝動的に書いたものの、なかなかいい出来だと思う。
 タイトルは『祝福』 特に深い意味はなくて、ただその音楽を演奏する男性の動画があまりに神秘的で儚かったから神話的なイメージがついたらと思い、祝福にした。
 このウェブエッセイのタイトルは「ストリートピアノの彼」となっているが、これは作品を完成させたあとに思いついた第二のタイトルである。『祝福』のなにもわからない雰囲気もいいけれど、何に焦点を当てた作品であるかはじめに示すのもいいのではないか、と悩んだ結果である。そのままタイトル変更も考えたが、相談した際に「ストリートピアノの彼」というタイトルでウェブエッセイを書いてそこで作品について書いたらどうか?と提案され採用した。

 『祝福』を書き上げたのは深夜の事だった。翌日も授業があるのに「今書かなければこのアイディアは死ぬ!!」と必死になった。わいたインスピレーションが消えないようにずっとその音楽を流し続けながら、思い浮かべているその風景をいかに綺麗で、美しく儚いものか表現するために自分の中の比喩表現を絞り出した。
 その曲は冬がイメージとして濃かったから、作品中では逆に夏のワンシーンとして描いた。書いたその日も暑かったからというのもある。
 次に悩んだのが視線誘導。まずピアノが目に入って、そこから演奏している“彼”へ緩やかに自然に表現を移動させたかった。緩やかでありながら“彼”の美しさにくぎ付けになるような、そんな表現をしたかった。はたしてその願望は叶っているのかその真偽は定かでないが、私は気に入っているのでよしとしよう。

 ここまで長々と書いたが、部誌の発行はまだ先のことで、本文自体を読んでいただけるまでまだ時間があるのが悔やまれる。
 少しでも興味を持っていただけたら、文学会の部誌を手に取るきっかけになれば幸いである。

ゆうたろう

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