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  • 北海学園文学会ウェブエッセイ

    • 26本

    北海学園大学文学会の共同運営ウェブエッセイとなっております。

最近の記事

北海学園文学会ウェブエッセイ㉕「散歩」

 『燃え尽きる月』を聴きながら夜道を歩いている。周りの音をちょっとだけ遮断して、Kyrieの声をいっぱい響かせる。  心地よい冷えと夜と曲を聞いていたらなんとなく、家に帰るのはもったいなく感じた。だから散歩している。  どこへ向かうかも決めずにただ、道には迷わないように大きめの通りを歩く。ポケットに飴が入っていたから口に放る。キリエのうたを観たあと友人と行ったラーメン屋でもらったやつだ、これ好きなんだよな。  喉が乾いたからスーパーでお茶を買う。散歩にちょっと気合が入る。そ

    • 北海学園文学会ウェブエッセイ㉔「キリエのうた」

       レポのような感想のようなものなので一応ネタバレ注意。  先日ようやく『キリエのうた』を観に行くことができた。  友人と待ち合わせして映画館に。平日昼前だったため映画館は人が少なく空いていた。チケットを購入してエスカレーターに乗っているとき、ふつふつと楽しみな感情が湧いて出た。ぐるぐるとめぐるそれに嬉しくなって「やばいめっちゃ楽しみになってきた」と友人に言うと、「毎回なるよね」と。慣れないものである。  席に座って広告を見つつぼーっとしていたのだが、いつもより長いように感じ

      • 北海学園文学会ウェブエッセイ㉒「ひさしぶり」

         7月のことだが、高校の同級生に三年ぶりに会った。  駅で久々の再会。思っていたよりお互いはしゃぐことはなくて、「変わってないね」と常套句のようなことを言いあった。なんだかお互い大人になったことを感じさせる。  社会人三年目の友人と大学生の私。高校を卒業してから全く違う進路に進んだ私たちは、存外その価値観がゆがむこともなく、高校のときのように話が弾んだ。それが私は嬉しかった。  プレゼントを目的に予定を立てたものの、まず向かったのは書店だった。目的の本を探しながら「これ面白

        • 北海学園文学会ウェブエッセイ⑱「ストリートピアノの彼」

           僭越ながら、部誌に自由作品を掲載させていただく運びとなった。  ウェブエッセイ④「私と創作」にて、音楽を流しながら創作することが好きだ。と書いたことがあるのだが、今回掲載する作品もある音楽からインスピレーションがわいて書いたものである。衝動的に書いたものの、なかなかいい出来だと思う。  タイトルは『祝福』 特に深い意味はなくて、ただその音楽を演奏する男性の動画があまりに神秘的で儚かったから神話的なイメージがついたらと思い、祝福にした。  このウェブエッセイのタイトルは「ス

        北海学園文学会ウェブエッセイ㉕「散歩」

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        • 北海学園文学会ウェブエッセイ
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        記事

          北海学園文学会ウェブエッセイ⑫「2枚のレンズを通した景色」

           私は写真が苦手だ。撮るのも、撮られるのも。  ピントだとか、構図だとかよくわからない。良い写真を撮る自信がないからカメラを向けるのは好きじゃない。自分が整った顔でない自覚があるから、被写体になるのは好きじゃない。  そんな私だが高校生のときに一眼レフを持って写真を撮りに撮っていた。部活の活動の一環である。○○高校放送局という腕章をつけて、首からカメラをぶら下げて、「写真撮ってもいいですか?」と学校行事のたびに会場をうろうろしていた。大方予想はつくだろうが、結構な確率で逃げ

          北海学園文学会ウェブエッセイ⑫「2枚のレンズを通した景色」

          北海学園文学会ウェブエッセイ⑩「わたしの好きな本」

           私が20年生きてきて一番印象に残っている本は太宰治の人間失格である。  初めてそれを読んだのは中学三年生の頃だった。高校受験にむけて色々動き始める時期で、その中の一つに「最近読んだ本はなんですか?」という質問の回答の用意があった。特に読みたい本もなかった私は、母親に助けを求めた。どんな本を読んだらいいだろうかと。そうして薦められたのが人間失格だった。我が母親ながら、何を薦めているんだと思う。  中学校の図書館で、日焼けして古くなった青いハードカバーの太宰治の作品集を借り

          北海学園文学会ウェブエッセイ⑩「わたしの好きな本」

          北海学園文学会ウェブエッセイ⑨「季節のうつろい」

           五月もあっという間にすぎて、もう六月がすぐそこにいる今日この頃。六月目前にしては風が冷たく、五月の始まりを思い出させるようである。しかし確実に日は長くなっている。  先日、大学を出て空を見上げたら夕方と夜の境目を象徴するような、不思議な色合いの空が広がっていた。夜の暗さもあるけれど、まだ夕暮れの日の明るさが感じられる、そんな空だった。  今の時期は本来梅雨なのだろうか。生まれも育ちも北海道なもので、梅雨には縁がない。天気予報をよく見る人間でもないのだが、たまにふと見上げる空

          北海学園文学会ウェブエッセイ⑨「季節のうつろい」

          北海学園文学会ウェブエッセイ⑧「最近の楽しみ」

           久々の投稿、になるのだろうか。こんばんは。ゆうたろうです。数回のサークル活動を経て感じたことをそっとしたためようかと。  まず、今現在サークル内で“テーマ小説”というのをやっている。ちなみに私は失恋ものを書こうとしている。……最初は結ばれる予定だったんだ。最初は。しかし、その、猪突猛進に書きすすめたものだから、可哀想なことに主人公が相手に好きになってもらえる理由がないのだ。ごめんよ。主人公ちゃん。平和に結ばれておめでとう!チャンチャン☆というのはつまらなかった。あまりにも

          北海学園文学会ウェブエッセイ⑧「最近の楽しみ」

          ぽつり。

          文章を書こうとしたら大抵マイナスな話になる。思考回路のわかりやすさに笑えてくる。 元々明るい人間ではない。いわゆるコミュ障?でも初対面の人と話すのはそこまで……いや、話題提供できないし得意ではない。 自分の長所はなんだろうな。人にはよく素直で粘り強いと言われる。ただ人の言いなりになるのが楽で、やめるのも面倒だから続けているとそう言われるようになっただけ。自覚無かったことを良い所だと言われるのは……うん、嬉しいようでそこまで嬉しくない。 正直将来なりたいものは高尚なもので

          北海学園文学会ウェブエッセイ④「私と創作」

           音楽を流して創作するのが好きだ。音楽からインスピレーションがわいて書いたり、または描いたりすることが多いからというのもある。  歌詞というよりメロディに感性を刺激される。どうしようもなく寂しくなるな、とか、身体を動かしてリズムに乗りたくなるな、とか。そんなものである。  しかし私はその“そんなもの”が大切だ。気分がコロコロと変わってしまうから、一つの気分に自分を引き留めておかないといけない。そうしないとすぐに飽きてふらふらとどこかに行って、もうほとんど戻ってこない。思い

          北海学園文学会ウェブエッセイ④「私と創作」

          北海学園文学会ウェブエッセイ③「はじめての部室」

           今日初めて文学会の部室に入った。3年次にしてサークル活動を始めたものだから、まず部室に行けるかと不安になりながら向かった。  私が入ったとき、すでに6人集まっていた。まずはさらっと自己紹介。それから役員を決めたいという話を少し。  全員が集まったわけではないので具体的なこれからというより、オンラインで話していたこれからの活動について認識をすり合わせるくらいの軽いものだった。  「これ使いたいね」「こんなのもあるんだ」と部室を物色をするのが何気に楽しい。これまた宝探しみ

          北海学園文学会ウェブエッセイ③「はじめての部室」