北海学園文学会ウェブエッセイ㉕「散歩」

 『燃え尽きる月』を聴きながら夜道を歩いている。周りの音をちょっとだけ遮断して、Kyrieの声をいっぱい響かせる。
 心地よい冷えと夜と曲を聞いていたらなんとなく、家に帰るのはもったいなく感じた。だから散歩している。

 どこへ向かうかも決めずにただ、道には迷わないように大きめの通りを歩く。ポケットに飴が入っていたから口に放る。キリエのうたを観たあと友人と行ったラーメン屋でもらったやつだ、これ好きなんだよな。
 喉が乾いたからスーパーでお茶を買う。散歩にちょっと気合が入る。そんなテンションでするものでもないかもしれないけれど、まあいい。

 歩いているとピアスに付けたチャームがイヤホンにぶつかってカチカチと鳴る。馬蹄?蹄鉄?の形をしたチャーム。運を引き寄せるとか逃さないとかそんな感じでご利益があるらしい。何かいいことあるといいな。

 せっかくだからとキリエのうたのサントラを始めから流している。これが終わるまで歩くのは飽きが来るかもしれないけど、きっとそれも悪くない。

 今日から『夜明けのすべて』を読みはじめた。以前購入して一気読みしたのだが、2月に映画もあることだし復習している。この物語は暖かくていい。

 夜の道はいいな。静かで人通りも少ない。車は通っているし開いている店もあるから孤独感はない。
 昼は多分、自分には情報量が多すぎる。たまにはそういうのもいいけどね。

 結構歩いたから家に進路を変える。耳も冷たくなってきたことだし。もう白い息が出る季節になったのかと思う。雪も降ったし、積もるまでそう時間はかからないかもしれない。
 早いところ帰宅して温かいコーヒーでも飲もう。

 一人でとぼとぼちまちま歩いているのも寂しいので軽く実況のようなものを書いてみた。結構楽しかったのでまたやるかもしれない。

ゆうたろう

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