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よろしかったでしょうかはやはりダメなのでしょうか。
前回のおまけから。名前は適当につけました。実在の人物とは全く無関係です。(モデルはいるけど)
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(本編)
好奇心は身を滅ぼすとは誰がいったかー。
つい数日前、ふと「よろしかったでしょうか」という言葉が気になり出しました。といっても、
「『よろしかったでしょうか』がダメってよく聞くなあ。よっし、言語学的に考えてみるか!」
という極めて単純な動機です。そのため、私は知らなかったのです。いかに「よろしかったでしょうか」が世間で嫌われているかをー。
noteで取り扱うにあたっていい加減なことは書けないので、私はGoogle先生に当該表現についていろいろ尋ねました。そして知ったのです。「よろしかったでしょうか」の嫌われ度合いを。正直、当該表現は違和感がないというと嘘になりますが、私個人的には特に目頭を立てるほどの表現でもないのです。したがって、「よろしかったでしょうか」を扱うつもりだと前の投稿で述べた時点で既に、私は手を出してはいけないものにがっつり出していたのです。例えるなら、知らぬ間にバイキンマンと手を繋いでパン工場にいたみたいなー。
まあ、宣言したからには仕方ないので、言語界のバイキンマン(よろしかったでしょうか)の弁護人になろうと思います。
そもそも、なぜ「よろしかったでしょうか」がー・・・いや、表現自体を見たくない人もいるでしょうから、以降、当該表現は「バイキンマン語」で代用しようと思います。
改めて、バイキンマン語がなぜ好ましくないかというと、「た」の部分が過去形だからというのが最も多い理由のようです。例えばレストランで、「ご注文は以上でバイキンマン語(自主規制)。」と言われたとします。言われた側は、まるでそこで判断を強制終了させられたような感覚に陥ってしまうんですね。それが、バイキンマン語が嫌われる理由です。
でも、ちょっと待ってください。そもそも、バイキンマン語を分解したら、
【よいの丁寧な言い方】+【過去時制】+【疑問】・・・①
なわけです。「強制終了させられた」とか「強気な表現だ」とかいう解釈は一体どこからきたのでしょう。それは、私たちの「過去形=終わった事」という認識からです。(前の記事のおさらいをすると、すなわち「フレーム」と呼ばれる背景知識です。)つまり、過去形に関する背景知識を呼び起こすことによって、部分には見られない全体的なニュアンスが出てくるというわけです。
このように、言語は部分の総和以上の意味を持つと言えます。
すなわち、①にように部分的な意味に分解してそれらを合体させても、実際に解釈される概念にはならないのです。これは認知言語学の基礎中の基礎となる考え方であり、形式(言葉そのものとほぼ同義)以上の意味を持つのが言語なんです。そして、どのように形式にはない意味が生まれるかというと、概念化者(言葉を解釈する側)が背景知識を引っ張り出すことによって全体的な意味が生まれます。つまり、言語理解とは、概念化者がどのようなフレームで言葉を解釈するかによるのです。
話を戻すと、バイキンマン語を嫌う人は、解釈時に「過去形=終わった事」のフレームを引っ張り出しているんですね。だから、当該表現に違和感を覚えるというわけです。
しかし、別の味方をするなら、「過去形=心的距離」というフレームを喚起することができます。時制的に距離のある過去形を用いることで、心的にも距離を表し、婉曲表現を実現させているわけです。そう考えると、誤っているとは言え、バイキンマン語を使っている人は、単に敬意が空回りしただけかもしれません。
言語というのは社会と相互作用の関係にあるので、社会の通念を反映します。そのため、社会的にどのように解釈されるかはある程度共有されており、故に日本語話者は日本語話者特有の見方を持つのです。しかし、個人の捉え方によって意味が変わることもまた普通のことです。バイキンマン語に関しては、否定的な見方と受容的な見方に分かれてしまったが故に、どちらの捉え方をするかで解釈が変わってくるのだと思われます。
結局、バイキンマン語を許せるかどうかは個人の自由だし、言葉の変化を防ぎたい人は間違った使い方をする人に指摘してあげてもいいと思います。
ただ、例え間違った使い方をしていても、捉え方が違うだけで敬う心はあるのだと、そう知っておくだけで、マイナスな感情になることが減ったらいいなと思います。
P.S. 以下は個人に向けたメッセージです。皆さんは関係ありません。
バイキンマンへ
嫌われの代名詞にしてごめんね。
きっと・・・傷ついたよね。
君の心を思えば、私も苦しくなる。
でもね、大好きだよ。
もう/// あと一回しか言わないよ。
私の推しは君だから。
心の友より
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