小児と高齢者 医療的ケアの考え方の違い
だいぶ前であるが、高齢者で、気管切開をすることは少なくった。
これは、気管切開をすると、受け入れてくれる療養型や高齢者施設が少ないためである。
20年くらい前であるが、胃瘻はずいぶん推進した記憶がある。背景として、自分で経鼻栄養をしてみると、随分と苦しい。
胃瘻であれば、そういった違和感がない。
ただ、最近は胃瘻もしなくなっている。
経鼻栄養は、延命治療の範疇となりつつある。
小児の世界では、気切も胃瘻も積極的に行われる。
理由は2つある。
一つは、未熟性が改善するまでの一時的な措置である。
これは、成長に応じて、瘻孔を閉鎖する。
二つは、延命という概念が、子どもにはそもそもない。
ということである。
苦痛を伴う延命治療という概念は、子どもの分野でも実存する。しかし、子どもは、ヒトの平均寿命を超えていない。
尊厳死、ACPなど、延命に対する議論は、日本でも少しだけ進展した。
ただ、延命という概念を捉えずに、気切や胃瘻という行為のみで「延命行為」と捉える人が少なからずいると思う。
先日、気切をした子どもが、役場から「延命行為だ」と言われたとのこと。
現在、重層的支援が注目されている。
この支援に従事する前に、お互いの立ち位置のQ&Aを作るべきだと思う。