旅　going to U.S.A

 私という人間は自己肯定感が低く、プライドが高く、自分は繊細なくせに人を簡単に傷つけるような人です。それでも、独りぼっちになることがどうしても苦しくて、他者とまともに関わることが出来ないまま終わるのが嫌でした。

父が外国人の母と不倫して駆け落ちした末に私と妹と弟が生まれ、新興宗教と虐待と、親に無理矢理作らされた借金に苦しみながら私は地元を捨てて毒親から逃げてきた。

親は、不倫や浮気という言葉を使わず「駆け落ち」という単語をよく使い、慰謝料のことは「借金」と説明した。私が「自分がよその家庭から幸せを奪ったその上で生まれてきた存在だから、事情を知っているあの人達は私が何もしていなくても私のことが嫌いなんだな」とようやく理解したのは高校生になってからだった。

奨学金は母が私以外の家族を連れて自分の故郷の海外へ旅行したり、家のリフォームにあてたり、自分の実家へ仕送りするのに何故か使い込まれた。母がいないすきに父の気に食わないことを言ったことがきっかけで殴ったり蹴られたりして吹っ飛ばされた。

それでも何故か、私は「私が家族を愛していて、とても大事にするべきだ」と思っていた。

家を捨てた当時も、事情を聞いて助けに来てくれた人に「私は裏切り者だ」と泣いて戻ろうとしてしまった。家から離れて淡々と事実を並べられて、「自分は自分が思っていたようには愛されてはいなかった」と認めるまで長い時間がかかった。縁あって、沢山の人が私を助けてくれた。血がつながった人でも何でもない、赤の他人が私に安全な場所と働ける場所を見つける手助けをしてくれた。戸籍閲覧禁止の手続きも、親の金の無心や追跡を逃れながらなんとか出来た。

それから、実家にいる当時中学３年生の弟からどこから見つけてきたのかTwitterのアカウントにDMが来た。聞くと、私がいなくなったことで虐待と搾取の対象が弟に移って攻撃を受けているということだった。私はいてもたってもいられず、その言葉を信じて彼を自分のところに避難させた。親の追跡や、ばったり出くわして警察沙汰になりつつもなんとか弟を学校に通わせ、私と同居人の三人で生きていこうと力を合わせて生きてきたつもりだった。

それから数年後の先日、弟が私と同居人の物を無断で売り払い、総額６０万の借金と生活費を踏み倒して蒸発しました。連絡はすべて絶たれており、部屋には「旅　going to U.S.A 〇月〇日（出て行った日）」と書かれた紙が脱出ゲームかなんかのギミックみたいに隠された場所にあった。

旅の文字の場所きも

ずこぉ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ｯｯｯｯ

ちなみにこれは彼が蒸発したのが発覚してから３日後に発見されたものである。

私と同居人はそれまで彼が何故家を出て行ったのかさっぱり分からず、彼が高校卒業後進路も定まらず遊び暮らして専門学校にも落ち、自力で電気工事士の免許を取るのにも苦労し、だらだら２３歳になるまで定職につかなかったとしても彼を追い出したり無理矢理お金をせびることなど一度も無かった。常々、「何か困りごとやしたいことがあれば、話し合おう」とも話していた。唯一、彼が私達に一言も何も言わず生活費を踏み倒したり、問題事を起こしてお金を貸した分だけは同居人の為にもきちんと清算してから独り立ちしたいならしなさいとは言っていたのだが……２か月分の彼の分の家賃光熱費食費等の踏み倒し、私達の留守中に買い取り専門店にて家電をこっそり売り払い、ろくなメッセージも謝罪の言葉も何もなく逃げて行ったことに、かなりうちひしがれている。

この紙が見つかるまでは、「もう彼は死んだことにして、粛々と彼が残していったものを整理すｒ……ってこれ前のバイト先で支給された制服じゃね！？！？！返しに行けよ！！！！！（制服の名札から会社名突き止めて連絡して郵送にて代わりに返却しました）」とかなんとか言いながら、とはいいつつも血の繋がった唯一の肉親だったり、一緒に沢山面倒を見てくれた同居人にとっても数年も一緒にいた弟のような存在が突然消えてしまったことに数年分悲しんで苦しんだ。「弟は死んだと思って受け入れるしかない」と思いTwitterの方にも「肉親が亡くなった」と報告したが、実際は私達から借りたお金＋バイト＋消費者金融での借金から高跳びしてアメリカへ逃げたということだ。

ぶっちゃけ〇んでてくれたほうが億倍よかったのになとも思った。自分がどれだけ一生懸命育てて来ても最後にこんな形で後ろ足で砂をかけられるとはさすがに思ってもみなかったし理解したくも無かった。同居人にも、私が弟を助けたいだなんて言い出さなかったらこんなに迷惑かけずに済んだのにと悔やんでも悔やみきれない。何より、私はとことん血の繋がった肉親を愛してもその気持ちは伝わらないという事実を受け入れるのが死ぬほどしんどい。

遠い赤の他人のほうが、私の気持ちに寄り添ってくれて、助けてくれて、温かい言葉をかけてくれるのが心から嬉しくて、悲しかった。

ただ死ぬほど絶望してはいるけど、それでも朝は目が覚めるしお腹は空くし息もしているし、何か感じている。もう人を信じて近寄るのが億劫で怖くてきついような気もするし、本当に自己肯定感ぶっ壊れたんじゃないかと思うんだけど、それでもやっぱり孤独は嫌。そこを諦めるのだけは嫌だ。

こんなきっしょい野郎のためにメソメソするなんて絶対嫌なのだ！！！！！！！

過去に今の自分の悪癖の原因を求めても仕方が無いので、今後も私は立ち直って幸せに生きてやろう！！！！

とは言いつつ、やっぱり流石に辛いし力がへろへろと抜けてゆくし、立ち直るまでには時間がかかる。だけど内に引きこもっていたら多分どんどん人と関われなくなるかもしれない。だから、時間をかけながら、自分のしたいことをして思ったことを書いてそれを知ってもらいたい。知ってもらった上で、友達になりたい。遊んだり話をしてくれたら嬉しい。そう思ってアカウントを作りました。

もう少しシンプルに方向性を決めるなら、「ゲームをしながらゆっくり立ち直っていく」とかかな。これからよろしくおねがいします！