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学べるワイン会vol.1 20240211

ドイツでワインの醸造をされているNagiさんの一時帰国のタイミングに合わせて、人気ワインブロガーのヒマワインさん、恵比寿ガーデンプレイスにあるワインマーケットパーティの店長の沼田さんとともに開催された比較的規模の大きなワイン会に参加させていただきました。


学べるワイン会vol.1


昨年はNagiさんの以前の職場である、プリンツザルムのリースリングの貴重で素晴らしいグローセスゲヴェックス(ドイツにおけるいわゆるグランクリュに相当します)3種類を飲み比べるというとんでもない会でしたが、今回はもっとカジュアルに、テーマに沿ったワインを飲み比べて理解を深めようという内容です。

開かれた場所は銀座線の田原町駅からすぐにあるダイニングバーの101 ICHI-MARU-ICHIさん、かなりの人数が余裕を持って参加出来る会場です。知っている方もちらほら、総合司会をされたヒマワインさん、Nagiさん、沼田さんの挨拶とともに早速最初のテーマの泡で乾杯となります。

シャンパーニュのドサージュの違い

左ドゥミ セック 半辛口 右ブリュット レゼルヴ 辛口
  • テタンジェ ブリュット レゼルヴ ドサージュ8.5g/L

  • テタンジェ ドゥミ セック ドサージュ35g/L

シャルドネ40%、ピノノワール&ピノムニエ60%は共通

大手の造るシャンパーニュ、それぞれにNV、今回はベースワインは同じ、加糖の大きな違いはその味わいにより全く別の目的に使用されることが想定されます。ブリュット レゼルヴは食事全般に合わせて、ドゥミ セックは食事の最初のアペリティフ、最後のデザートやフルーツと合わせて本領発揮出来るとの話。

最近の潮流としては(確かにドサージュゼロなどもあるが)糖分をしっかり足すものも割と多く、長期熟成で糖分多い方が大きく変化、それにより味わいや、色彩が変わることを楽しめる。色彩変化についてはメイラード反応による褐色寄りに変わる事が良く知られています。

Nagiさん、沼田さん

色彩は光の屈折率で変わるかもしれない、液体の比重が変わることで見た目にも影響する、ドサージュに何を使ったかでも変わる、砂糖、液糖、アイスワイン、濃縮果汁を使うケースもあり得ます。

Nagiさん


Nagiさんからの挑戦状! みんなでブラインドティスティング

唐突にブラインドティスティング開始

これらをフィルムで覆い、素性が隠されていました

2番目のテーマは、アルミホイルのようなもので覆われている2本のボトルからサーブされた白ワイン、最初はノーヒントで、全員が香りを取り口に含んでしばし考えたタイミングで、「この2本、何をテーマに出題したのでしょう」というもの、思わずどよめく会場。

品種を当てることが設問の目的ではなく、リースリングである事、ともにNagiさんの醸造した、以前の職場のナーエにあるプリンツザルムのものものという情報がヒントとして明かされ、さまざまな解答が出されますが正解者は出ず。

正解は土壌の違いによるものですが、土壌単体でどうこうというものではなく、生育状況における地温や水分の量が違いに影響しているとのこと。

  • 方や、やや濃い、なにか藁のような色彩の雰囲気 残糖感ありつつフルーティ、ふわっとした香りは幸福感溢れる。 緑色粘板岩 収穫時酸量多い 7.3g(1Lあたり?)

  • もう一方は苦味、ペトロール香を少し感じ、比較的シャープな口当たりも美味しくいただきました。赤色粘板岩 土壌温度が高くなり易く乾燥気味、水分のストレスの関係から酸量は減る 酸量6.1g 、Nagiさんのストイックであり妥協を許さない人柄が反映されていて、どちらも美味しいと感じましたが、本人的にはペトロール香が出ている方は不満なボトル、もっとレベルをあげられたはずだったと感じているらしいです。

ワインの商品としての定番を決めて、そこに近づけた状態に持っていく事が大事、その中でどこまでブラッシュアップするかが醸造家としての矜持。今回は市場に出たものを買ったので、保管状態は担保出来ていないものの、とりたててその影響は感じない。

Nagiさんのコメントから大意を損なわないように若干脚色


無濾過は味にどう影響する フィルターありなし飲み比べ

左ノンフィルター 右フィルターあり

イタリアのボルゴ サヴァイアン アランサット いわゆるオレンジワイン、ピノグリージョ85%、ソーヴィニヨンブラン15%

左ノンフィルター 右フィルターあり
  • 右フィルターあり 金柑、紅茶や烏龍茶のニュアンス、それでいてクリアな飲み口で個人的には好き。縁日のベッコウ飴のような色彩、グラスを目線より上にして光を透過させてみるとかなり透明感。

  • 左ノンフィルター しっかり雑味があるが悪くない、洗練されていないいわゆるナチュール感が感じられる、光を透過させると粒子は見えないけれど浮遊物により少し濁っている。確かに出汁っぽい雰囲気は強め。

同じ生産者さんのものでもえらく違う、アミノ酸がフィルターで濾し取られるので、出汁感や旨味感は減るという話、味わいについてはお好みではあるも、保管期間が長ければ安定性についての疑義はあるかもしれない。

Nagiさん

ナチュラルワイン好きな方はノンフィルターの方に好感度を持たれていたよう。

飲んで知ろうクリーンナチュラルとワイルドナチュラルの違い

ドメーヌ デ ザコルのグリフ SO2無添加と南アフリカのテスタロンガ ベビー バンディート 、両方とも品種はカリニャン
  • 左のボトル ドメーヌ デ ザコルのグリフ ワイルドナチュラル なかなか強い野生感、馬小屋の臭いと同席したAikoさん、うえむらさん、自分は苦手な野草感ではなかったし、少し置いていたらネガな要素はかなり減ったと認識でギリギリ許容範囲。率先して買わないSO2無添加ボトルを試せるのは貴重な体験でした。

  • 右のボトル テスタロンガ ベビー バンディート フォロー ユア ドリームス クリーンナチュラル、ボトリング時に少量のSO2を加えてクリアに出来ている、ネガな要素はほとんどなく、エレガントさもあって良い。

残糖量が(❌多い方が)⭕️少ない方が微生物の活動は抑えられるので醸造、ボトリングにおいてはSO2の使用量を減らせる、そこをどうするか考えながら収穫タイミングも変えたいところ。

*重大な記載ミスを訂正しました。

Nagiさん


生産者さんの能力により、ナチュラルワインにも振り幅が多い、ユーザーに届いた時点でもネガな品質にならないちゃんとしたものを売りたい。
潮流は変わりつつある、ニューヨークでもワイルドナチュラルは下火になってきている。ここ15年間で変わったのは、コスト上昇の問題はあるが、傷んだ葡萄を取り除く選果をどれだけ丁寧にしたかが重要、しっかり選んでるハイレベルな生産者は上手なボトルを生み出している、フランスでもSO2はゼロではなくてもボトリング時のみとか限定的に使用している。

沼田さん


スクリューキャップは熟成する? 2014と2021を比較

スペインのガルナッチャ、2021と2014

フランク マサール テッラ アルタ エル マゴ

  • 左のボトル2021 綺麗な濃い目なルビー、明らかに若々しく見え、しっかりした香り、口当たりは果実味の華やかさが良い。

  • 右のボトル2014 若干オレンジがかるもルビー感残る明るい色調、適切な酸味とのバランス感が良い、上手く枯れ始めていると思いました。

このボトルはSO2無添加、スクリューキャップには熟成のポテンシャルはあるのかが疑念、まだ歴史が浅いのでさらなる期間追いかける必要があると思う。

沼田さん

スクリューキャップらしい熟成で良い、厳しめな見方をしても許容範囲にギリギリ入るレベルは達成できている。

・ボトリングの際には窒素とか二酸化炭素とかの不活性ガスを入れるケースが多い、おそらく入れてると思われる、これにより微炭酸感が出ることがある、また状況により再発酵の可能性はある。

・ボトリング時に、ヘッドスペースはコルク、スクリューキャップごとに決めるが、液体の温度をどうコントロールするかを考えて液量を決める。出来たら20℃未満にはしたい。

Nagiさん


フリー質問コーナー

Q : 保管時にボトルは立てるのか倒すのか?

コルクでも密閉状態において乾燥することはなく、可能ならば立てて保管が安全、特にコルクの傷みを回避できるのでは? 

Nagiさん

立てて保管はセラーではスペース効率が悪く、なかなか実現が難しいケースが多いのが現実ではある気がします。

Q : 酸素が遮断されていても酸化熟成はする?

ワインの液体自体にも酸素は含まれている、またヘッドスペースの僅かな量でも酸化熟成はある、成分自体のイオン反応でも熟成と呼べるかは別として変化はある。

Nagiさん


ほとんどの方々が参加したぽい2次会

2次会に用意されたワインとか

シャンパーニュ フルーリー エ フィス2010

熟成を普通のコルク栓でやってるもの、熟成香が好きな方は高評価、アタクシはちょい苦手でした(貧乏舌)

ヴィエ ディ ロマンス チャンバニス シャルドネ2021

アロマティック品種をイメージするイタリアのシャルドネって何?  (大好き

ボット チョントス2017

ハンガリーの辛口フルミント、未経験の方は割と多かったよう、近くの方にはカルディや大手酒販流通で買えるアレを紹介しました。

フーバー シュペートブルグンダー2013

輸入元ヘレンベルガー ホーフがある茨木市のキャラクター、茨木童子ラベル、泥ぽい雰囲気と、うえむらさん(笑)、自分はドイツというよりイタリアピノネロをイメージしました、あまり冷涼地感はなかったような。

クロ ド メ フルーリー ラ ド2015

ガメイ 濃く品種のイメージの湧かないガツンとした風味のボトル、ボージョレのフルーリーですが以前いただき高評価したやつとは別物、ブラインドならこれはガメイとは答えられないです。

アルテ レーベン シャルドネ2020

樽香強い個人的には苦手系、今後温暖化に苦労するドイツのバーデンはこの方向に行くのかしらん? 地域のイメージは変化して行くと感じたボトルでした。

ドメーヌユイさんの2本
左ピノノワールに白品種を足したもの、右ピノノワールをスティルの白で仕立てたもの

普通にゲストで参加されていた北海道のドメーヌ ユイの醸造家、杉山氏がアウトレットとしてサンプル的に貴重なボトルを持ち込んでくださいました、少し揮発酸が出ていると思われるとの話でした。

2種の味わいは以下のような感想

  • 白というかまるでオレンジ こちらはピノノワールを使ったブランドブラン、紫蘇、梅干し感 うえむらさんは甘口梅干しと言われてました(いちいち面白い感想

  • 赤 ピノノワールを主にシャルドネ、ピノグリ足してるよう 香りには若干の癖あるも、酸味は割と綺麗

数が揃わないから市場には出ないかもとのことでした。

シャンパーニュとともに
サラダ、ポテト、これ以外には美味しいペンネがありました

NagiさんヒマワインさんによるYouTube番組のNagiさんとワインについて考えるChannelを見るとさらに知識が深まるバランスの良い素敵な会でした。貴重なお時間をつくっていただきありがとうございました。

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