見出し画像

With Gentle Colors Ⅱ- powered by Tokko


With Gentle Colors Ⅱは、ふみさんの詩「やさしい色で」に付けた曲の英語訳詞バージョンを、Tokkoさんのアドバイスを頂きまして改作したものです。

改作前のものは、以前こちらで紹介しています

この記事では、改作での大きな変更点を二つ取り上げてご紹介したいと思います。

改作にあたってアドバイスを頂いたTokkoさんは、「いちねんのうた」シリーズのコラボレーターです。
そして、昨年Tokkoさんのオンラインの英会話教室「とことこえいご」に私が歌の作曲者として顔を出しましてから、私の英語の先生でもあります。

こちらは昨年の記事ですが、Tokkoさんの多彩なご活動の一端が伺えます。


さて、今回改作での一番の変更点は、ふみさんの原詩にある

「ねえ」

という言葉の訳語です。

原詩では次のようになっています。

 ねえ いつか言っていた
 たくさんの色で 塗られた
 絵の様に
 (中略)
 たくさんの 景色を
 僕はみつめているよ

ふみ著 天意さん詩集(Kindle版)より

この「ねえ」は、「いつか言っていた絵」を相手に思い出してもらう際に使う言い回しです。

それを私は、機械翻訳で次のように訳しました。 

Guess what!

ところがTokkoさんから、"Guess what"は「何だか当ててごらん」というニュアンスの言葉とのご指摘を頂きました。

「いつか言っていた」のは、相手か、あるいは自分が相手に向かって言ったわけですから、当然相手はその絵を知っている。
ですから「(その絵、どんな絵なのか)当ててごらん」という含みのある Guess what! を使うのはかなり変なのです。
強いて使うとするなら、同じような絵がたくさんあって、「その中のどーれだ?」というニュアンスになるでしょうか。

ですが、「たくさんの色で塗られた絵」は一枚だけという解釈が自然に思えます。

ここは、 

You know!

が適切な訳語になるとアドバイスして頂きました。


もう一つ、Tokkoさんからご助言頂いたのは、歌の最後の方に出てくる英語フレーズに関してです。

その箇所は原文ではこう書かれています。

 何処までも 続く
 水平線の様に

ふみ著 天意さん詩集(Kindle版)より

ここは、改作前の私の英訳では、「何処までも」の訳語として

endlessly

を使いました。

そして全体では

Like the horizon spreading out endlessly, endlessly.

としてありました。

endlesslyが二つもあるのは、原詩に合わせて作ったメロディに訳詩を割り付ける際に、音が余ったことから繰り返したものです。
歌ではこういった単純な反復が、意外にいい効果が得られることが多いです。

「何処までも」の訳語としては、他に on and on も良さそうなので、改作途中のドラフト版では、二つめの endlessly を on and on に変えまして、それをTokkoさんに聴いて頂きました。

そうしたら Tokkoさん、

on and on

がとても素敵な表現だと言われたのです。

そういわれてみると・・・

 endlesslyはごつごつした響きを感じる
 舌が口の中を動き回るせわしい感じが、曲の雰囲気に合わない気がする
 
 その点、on and on はとても柔らかい
 曲の落ち着いた色合いに通じるものがある 


on and on・・・
その発音を仮名表記するならあなんだん
おなんどんの方が近いかしら?)

その響きは、三つの母音と鼻にかかるnによって、とても柔らかく感じるのです。

そして、タイトルにもなっている最後のフレーズ with gentle colors(やさしい色で)を導くのに相応しい・・・。

ということで、on and on 即採用! となりました。


ところで、改作前には都合7個あったendlesslyの処遇ですが・・・。

英語の文章では同じ表現を避ける傾向があると言われますから、両方とも使うのもありです。

でも、これは歌です。
同じフレーズを延々と繰り返すのもあり。 

ならば全部おなんどんにしちゃえ!

と相成りました。(やっぱりあなんだんの方が近いかも)

結果、原題のようにやさしい色で彩られた、優しい響きの歌になったのでは、と思っています。

さて動画には、二つ前の記事で紹介した"Flower Fishing"(花釣り)と同じように、ボーカル譜を付けました。

譜面が細かくて見にくいのですが、動画が全然動きのない背景画というのも寂しいので、枯れ木も山の賑わいといった趣向で入れたものです。

改めてよく見ると、# がごちゃごちゃ付けてあったり、全部 ♮ で消したりと、まさに「山の賑わい」かも(笑)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?