不意

あの花が10周年を迎えたらしく不意に死にたくなった。

当時ぼろぼろ涙しながら見たあの瞬間は10年前なのか。部活で秩父に試合に行けば駅や街にあの花のポスターが貼られていたり、グッズやらが売られていたりした。大学生になってからも車で行くのにちょうど良い距離ということもあり、月に一回くらいのペースであの花の舞台である秩父に行っていた。自分にアナザースカイなんてものがあるとすれば、それは地元から車で1時間とかからない秩父市になるだろう。

10年前という一点を指すような記憶ではなく、中学、高校、大学といつの時もあの花という作品は身近な存在だった。別に何十回とアニメを見直したとかそんなことは全くないが、それでもあの作品は自分の中で何処かしら特別なものであったんだろう。そして、その作品が10周年を迎えた。当たり前だが、アニメのキャラクターもドラマや映画のキャラクターも自分と同じペースで歳を取ることはない。キャラクター達はずっと輝いた時の中にいるから、自分だけが落ちていっているような、そんな気分になる。

この10年の間に俺は中学も高校も大学も卒業した。主題画を歌っていたGalileo Galileiは解散した。西武秩父駅は改装して温泉施設なんかができたりした。

目まぐるしく変わっていく世界の中で、あの物語の青春が心をぶん殴ってくる。あの頃は同じくらいの年齢の子達の葛藤を見ていたはずなのに、今では10歳も年下の子達だ。どう足掻いたってもうああはなれない。

嫌になっちゃうね。

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