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エクアドル★家政婦がキタ

突然だけど、家政婦を雇った。「掃除は自分で」と思っていたけど、フローリングの犬の毛が目立つし、一日中掃除をしている気がしてきたので、夫が「家政婦さんを週に1‐2回雇ったら?」と提案してきた。「いつかはね~」と呑気に考えていたけど、突然雇うことになった。

きっかけは、週1回、空き缶回収にくるマリアさんが、夫の大量のビール缶を回収しに来た時だった。スペイン語がほとんど話せない私に「エクアドルは好きか?」とか色々聞いてきた後、「家政婦いらない?」と聞いてきた。たどたどしく、「え~と。Si. But, uno o dos en una semana(でも、週に1-2回).」と、短い文に日本語、英語、スペイン語の3か国語を混ぜた滅茶滅茶な返答をした。マリアさんは「じゃー、後で旦那さんにメールするね。」といって帰っていった。当然、私の語学力では「今すぐ雇うつもりはないよ・・。」という情報を伝えることはできなかった。空き缶と瓶をカートに載せて、立ち去るマリアさんを見送りながら、「後から夫に言わせればいいか…。」と考えていたのだが・・。

その夜、早速マリアさんから夫にメールが来た。そのメールには「今日奥さんとお話しして、家政婦をご要望と聞きました。家政婦の友人が5月から失業中です。信用できる友人です。どうか雇ってくれませんか?」と書かれていた。それを読んだ夫は、急遽その人を雇い「明日から来るって~。」と事後報告してきた。急に言われても、何をさせればいいのか…。取り急ぎ、床の掃除とアイロンがけをお願いすることにした。夫に、「初日のコミュニケーション大事だから、家でテレワークしてくれ。」と頼んだが、夫は「どうしても明日は職場に行かないといけないから、がんばって!」と言って出勤していった。バカ―。(ノ ゚Д゚)ノ ==== ┻━━┻

翌日、時間通りにマリアさんの友人の、マリセラさんが来た。マリセラさんは、小柄でぽっちゃりした、おとなしそうな人だった。玄関からお迎えしようとすると、裏庭に続く横の小さなドアを指さして、「ここから入らないでいいのですか?」と聞いてきた。そういえば、散歩に出かけた時、近所の家政婦さん達が玄関横の通用口から出入りするのを見かけた覚えがある。もう玄関にいるので、「こっちからはいっちゃいなよ。」といって中に招き入れた。とりあえず、グーグル翻訳を使って訳した「やることリスト」を見せた後、掃除用具置き場を見せた。そしたら、「洗剤はー?床と家具を拭く布はどれですか?」とか聞いてきた。スペイン語の掃除用具の名称がわからん。( ̄ω ̄|||)。とりあえず、またPCでグーグル翻訳してやり取りをした。便利な世の中になった・・・。ありがとうグーグル。(〇'∀`○*)

家政婦初体験の私は、何をしてよいかわからず、録画の「イッテQ」を観て、そのあとスペイン語の勉強をした。お昼時間になっても、休憩することなく、マリセラさんは、ずっと立ちっぱなしで働いていた。「休みたいときは休んでください。」といって、一応飲み物とコップを置いたけれど、使っている様子はなかった。南米の人のランチタイムは遅く、2時位だそうだ。マリセラさんが来たのが10時だから、2時までには終わらせて、その帰り道にでも食事をするのかもしれない、と思ったのだけど・・・。

5時間過ぎても、マリセラさんのお掃除は終わる様子がない。時間がたつにつれ、だんだん不安になってきた。マリセラさんは20ドルで仕事を引き受けてくれたらしい。いくらなんでも、これで20ドルは安すぎる。しかし結局、マリセラさんは6時間以上かけて頼んだことだけじゃなくて家中を掃除してくれていた。マリセラさんがお掃除した部屋は、ホテルみたいに綺麗になって、適度に洗剤の匂いがした。私が毎日使っている同じ掃除用具を使って作業したとは思えない。結局、朝仕事に行った夫が戻ってくるまでマリセラさんはいた。仕事が終わり、夫としばらく雑談したあとマリセラさんは、「来週も来ていいですか?」と聞いてきた。夫は私に「この人と上手くいきそうか?」と小声で英語で聞いてきた。家政婦のいいも悪いもわからない。一番大切な家の掃除は完璧だったので、私は「大丈夫」と答え、マリセラさんは翌週から週1回来てくれることになった。夫と相談して、その日は40ドル払うことにした。マリセラさんは嬉しそうに笑って「グラシアス」とお金を受け取り、帰っていった。

後日、夫の同僚の奥さんたちに聞いたら、家政婦さんの日給は20ドルが相場だそうだ。住み込みの家政婦さんでも160ドル位(週末は休み)。聞くとほとんどの皆さん、家政婦さんに不満があるようだった。「住み込みの家政婦が、私が教えたとおりにラザニアを作らない。」「こないだの家政婦は、化粧ばっちりだったけど、掃除が下手だし態度が悪かったので3週間でクビにした。\(`△´!)/」などなど言っていた。私も数か月後にはそうなるのだろうか・・・。日給20ドルで家の掃除をしてくれるなんて、私にはとてつもなくありがたい話だ。でも、いくら物価が安いからと言って労働力をこんなに安く提供してもらっていいのだろうか・・・。そう考えると、自分がとてつもなく贅沢な生活を送っている気がしてきた。

今日はマリセラさんの3回目の勤務日だった。彼女が来る日は軽食を準備して、「いつでも好きな時に休憩して。」と伝えている。夫には「家政婦を夫以上にもてなす女」と笑われている。フルタイムではなく、4時間だけお願いしていて、その間は私の限られたスペイン語と、グーグル翻訳と、マリセラさんの私の滅茶滅茶なスペイン語を理解しようとするあきらめない姿勢のおかげで、何とか笑顔で快適に過ごせている。最初はおとなしく、お互いどういう風に接していいかわからなかったが、私の犬に「Hola!」と声をかけてくれたり、私も「この仔は私の息子だから・・」とちょっとした、おしゃべりもできるようになった。昨日は、私が週一回受けているオンラインスペイン語クラスの宿題の「自己紹介文」を見せると、胸に手を当てて、とても嬉しそうに、自分のことも話してくれた。もしかしたら、あまり雇い主の事を知る機会が過去になかったのかもしれない。彼女は19歳で結婚して、すでに20歳を超える子供が二人いるそうだ。旦那さんは建設業らしい。深い話はできないけれど、少し相手のソフトな部分が見えてくると、親近感がわいてくる。今のところ、家政婦さんの良し悪しもわからないが、私にとってマリセラさんは100点である。これからも、うまく一緒に仕事が出来たらいいなと思っている。

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